駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ありごこち

2011年08月08日 | 人生

 

  じりじりと強い日差しが照りつける午後、窓から医院の庭に置いてある花(名前を知らない)を眺めていると蟻が数匹忙しげに茎を上ってゆく。おいおいこの暑いのに大丈夫かいと声を掛けたくなる。火傷しそうな敷石の上を歩いて垂直の植木鉢をよじ登り、よく平気だなあ。蟻の足の裏はどうなっているんだろう。わかったぞ。右前足が熱いと感じる前に左の前足に体重を移し左の前足が熱いと感じる前に右中足に体重を移し、そうやって順繰りに歩いているに違いない。

 それにしても、おまえ達はいつも忙しげに庭中を歩き回り、一体何をしているのかね。どこに巣が在るか知らないが、そんなに出鱈目にほっつき歩いて、よく迷子にならないなあ。

 ほんの一瞬立ち止まるが、直ぐ歩き出す蟻を見ていると、生きていることは歩き回ることなのだと気付く。医者なんかに用はなく、倒れて後已むのが蟻の蟻生ということか。まあ、感心することもない、我らも大して変わらん。

コメント (2)
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