今日から八月、夏休みの小学校の前を蝉の声を聞きながら医院へやって来た。今年は既に何処か秋風を感じ、蝉の声も耳をつんざくようではなく心なしか例年より弱い感じがした。
もう学生時代のような長い夏休みはないのだが、例年八月はゆっくりした時間が流れる。僅か三日間ではあるが盆休みを中心に今年ものんびりしたい。
私も既に書いたことがあるし、多くの人が指摘しているのだが、八月の午後の日差しはどこか懐かしい。夏の思い出を再掲しておこう。
T君を尋ねる裏通り、茶色の板塀にジリジリと夏の陽が差し
油蝉の鳴き声に混じりプールで騒ぐ子供の声が聞こえる
二人で釣り竿片手に草いきれの農道を行けば無人の踏切
見渡せば銀色の鉄路が緑の水田の中を延びて紺碧の空へ吸い込まれていた
誰にも懐かしいあの夏の日差しに目を細める。