駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

習い性となるが

2011年08月06日 | 小験

  官僚と話す機会があった。不機嫌ではなくどちらかと言えばにこやかできちんと人の話を聞く。データをよく知っており、事情やからくりはわかりやすく事細かに説明してくれるが、自分の意見を表明しない。現政府の政治家をあの人は困るねえなどと誘い水を出しても、にこやかに微かに首をかしげる程度で見事に何にも言わない。方針を聞けば可能性を色々言うが結局様子見ということになる。賢い人だなあと思ったが、正直ちょっと物足りない。それは私が割と本音でものを言い、不十分な知識や根拠で大胆な結論を出す医者仲間と話しているせいかもしれない。どちらが良いということではないが、違う人種の感じがした。

 果たして生来の気質か、仕事柄そうなってゆくのかはよく分からない。おそらく元来そうした振る舞いが苦手でない人が多く、組織に染まり伝統としてそうした生きる技術に磨きを掛けたのだろうと思う。

 いづれにしても業界には伝統と気風というものがあり、濃淡はあっても人はいつの間にかそれに染まるものだ。其れはよしとしても、それを自覚し、広い世間の風を浴びる機会を忘れないようにしたい。勿論、これは自分自身へのメッセージでもある。

コメント (4)
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