玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*わび住まい

2008年12月09日 | 捨て猫の独り言

Photo_2  気心の知れた人達が久しぶりに集まった。集まりを始める前にメンバーの一人が最近偶然知り合ったという我が家の近くの個人宅に山野草盆栽の見学に連れ出してくれた。近くに住みながら私はこのお宅に気付いていない。2名は日が暮れて駆けつけることになっているので見学できたのは6名である。バス道路に面したお宅の敷地一面は数え切れない山野草で埋め尽くされている。四方のブロック塀の上も、南に面した一部屋も山野草に占拠されている。

 私の知らない世界だった。山野草を育てているのは私達と同年輩の女性だ。関西から引っ越してきたこの家は借家だという。特に畳の部屋にある作品群は見事だった。招き入れられて菓子と抹茶をいただく。種苗を欲しがる者には封筒にその山野草名を記して渡してくださる。無報酬でもてなしてくださる女主人が不思議に思える。山野草を育てている長い静かな彼女の時間のことを思った。そして時折訪問客を迎え入れるのだ。

 清々しい気分で引き揚げてさっそく宴の準備が始まった。持ち寄った食材が多すぎて混乱している。手持ち無沙汰の男どもは祭りでも宴でも始まるまでのこの時間がいいのだなどと言い合っている。そしてそれもいつか終わる時が来るのだと感傷的な物言いをしながら待つ。

 このように年に二、三回集まるメンバーがいることはありがたいことだ。そうしたにぎやかな談笑の後で我が家に一人だけ取り残されて夜を迎えた。さすがにその落差に戸惑う。以前は祭りの後などは寂寥感にさいなまされることなどあったが今はそのようなことは無い。一人だけで静かに過ごす時はいいものだ。西行や円空や芭蕉や良寛さんなどはわび住まいの達人ではないかと考える。わび住まい良きかな。山野草を育てる心も少しはこのこととどこか通じているような気がしている。   

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« *廃仏毀釈とは? | トップ | 大小2つのおもてなし »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
山野草の世界は私も初めてですが、写真で見てびっ... (盆栽以上森林未満)
2008-12-10 19:26:21
山野草の世界は私も初めてですが、写真で見てびっくりです。すごいもんだなーと思います。
返信する
玉川上水の先、砂川近くに住み、山野草が好きで自... (なか)
2008-12-15 19:35:52
玉川上水の先、砂川近くに住み、山野草が好きで自分でも趣味にしています、ブログを見て私も訪ねてみたいとおもいました。差し支えなければ、場所又は住所、目印をおしえて頂ければと思います、よろしくお願いします。
返信する
先方様にご了解を得ないままでの返信ですが、在宅... (ご案内)
2008-12-16 06:10:40
先方様にご了解を得ないままでの返信ですが、在宅されていたら案内いただけると思います。私の知人も、フェンス越しに覗いていたら導き入れてもらったと言ってました。当主もおっしゃっていましたが、今は丁度冬枯れの時期に当たっていて、最盛期に較べると花の時期は過ぎ、室内に飾られた紅葉の美しさが主でした。武蔵野美術大と玉川上水緑道の間にあります。美大正門の近くです。
返信する

コメントを投稿

捨て猫の独り言」カテゴリの最新記事