玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*公開講座

2019年05月20日 | 捨て猫の独り言

 午前中は前日の深酒のせいで自分の体を持て余しながらぶらぶら過ごしていた。お昼時に津田塾大学に出かける。正門で住所氏名を書き込んで聴講券を手に構内の食堂に向かう。1時開始の講座の前に食事をとることにしたのだが、なんと食堂は二重の長蛇の列ができて混雑している。周囲は若い女性ばかりで、どこか不思議な世界に迷い込んだようだ。

 それでも食べ終わる頃には列は解消していた。来週の受講のときはこの経験を生かして少し遅れて家を出ることにする。今回の講師である國分功一郎氏の専門は哲学で、我が家の近くに住む44歳である。小平市都道328号線問題の住民投票実施について中沢新一氏らを招いた集会で初めて見かけた。この日の演題は「意志について考えてみる」だった。

 

 日本語表現豊かな著書に毎年贈られる小林秀雄賞を「中動態の世界」で2017年に受賞している。私たちは様々なことを、「する」か「される」に分類してしまいます。しかし、かつてはこの分類に入りきらないものをきちんと認める文法・中動態が存在していました。これを初めて知った人にとっては確かに驚きであろうと思います。私も大変驚きましたと話す。例えば能動と受動の対立では「謝る」という心に深く結びついた行為をうまく説明できない。

 「自己責任」という言葉が幅を利かせるようになったが、実のところ意志と結びついていない責任はいくらでも存在する。中動態について考えることは、「意志」と「責任」という概念と不可分かのように考えられている〈わたし〉を解きほぐしていくことでもある。キリスト教以前の古代ギリシャには意志の概念はない。意志はキリスト教の使徒・聖人のパウロの「信仰」がつくったともいわれる。短時間の講演であれば消化不良やむなしだろう。

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