玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*江戸文化研究者

2021年01月25日 | 捨て猫の独り言

 大学以外でも多彩な活動を行っている法政大学総長の田中優子(1952年生まれ)はこの3月で総長任期が終了し、同時に大学教員も退職する。現在購読している週刊金曜日および毎日新聞のコラム「江戸から見ると」の二つを窓口に、田中の切れ味鋭いレトリックに接する機会を得ている。週刊金曜日編集委員は2009年から、総長就任は2014年からである。

 総長就任前を回顧している。繰り返し聞かれた質問の一つが「女性がどのようにここまでキャリアアップしたのか?」で、もう一つが「女性の総長であることで困ることはないのか?」だった。ガバナンスを担うことは研究や教育の延長線上にはないからキャリアアップではない。後者については、女性は男性に対し同僚や上司としての態度がとれないという想像からだろうが、これは一種の偏見とした。

 

 1月13日のコラム「江戸から見ると」にNHKBSプレミアム「英雄たちの選択 伊能忠敬」に出演したとあった。放送はちょうど同じ日の午後8時である。「英雄」と題するこの日のコラムは、放送番組の内容紹介になっていた。出演依頼のきっかけは、2019年3月に田中が佐原で「忠敬の名主としての姿勢や生き方」を講演したのを番組のディレクターが知ったからだった。

  今回の番組も測量の話よりも、18歳で伊能家に婿入りし名主としての忠敬の佐原時代が中心だ。天明の飢饉で打ち壊しの可能性が迫った時、武力で抑えるのではなく、困窮者を支援することで佐原を守った。忠敬の日本測量の初期において費用の8割は自己負担だった。それは豊かな忠敬の「隠居料」で賄われていた。番組で田中は「忠敬には宇宙から見た地球と同じように、天文から見た日本が見えていた」と語っていた。

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