玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*税と不平等

2021年01月21日 | 捨て猫の独り言

 税と不平等の研究者の著作「つくられた格差」の書評欄を偶然読んだ。著者二人はともにカリフォルニア大学バークレー校の教授だ。その中でアメリカには付加価値税がないという箇所があった。調べてみると、アメリカは「消費税」ではなく「小売売上税」だという。前者は卸売業者、小売業者、消費者に税金が課せられるが、後者は消費者のみに税金が課せられる。

 その理由は、アメリカでは企業が日々立ち上げられその企業を助けることが経済の流れをよくすると考えられている。税率は州によって異なる。また小売売上税は免税・軽減税率の適用が容易である。本題にもどろう。富裕層の税率が逆累進になっているのは、その所得の多くが、配当、利子などの分離課税で、その税率が一定率のためであろう。このことは日本でも同じである。

 1980年代のレーガン政権以後、経営者の租税回避が拡大した。経営者は株主のために株価を上げねばならない。そのために、資金の社外流出である税を少なくしようと、租税回避に走る。著者たちの主張は「巨額の資産を持ち、それを増加させながら、税をほとんど支払わない人がいる。こうした人たちの資産に富裕税をかけよ」それが本書の結論であると書評は結ばれている。(野火止用水沿いを小平霊園へ)

 

 翻って日本では1970年代から80年代にかけて、一億総中流という言葉が盛んに使われていた。他国と比べて貧富の差を小さなレベルに抑え、貧困を駆逐したかのように思われていた。しかし、90年代初頭のバブル崩壊以降、一億総中流の幻想は崩れ、所得格差は拡大の一途を辿る。日本の「貧困率」はOECD加盟41カ国中ワースト8位という。世界第3位の経済大国にもかかわらずこの位置というのはかなり深刻といえる。

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