目にするのはソメイヨシノが多いが、最近は桜を見ても、かつてように心が動かない。なぜだか自分でも分からない。それでも、日をおいて二回の花見をすることになった。どちらも初めての場所だった。一回目は新宿御苑の予定を変更して神田川の桜見物だった。
高田馬場駅を降りて近くを流れる神田川に出る。しばらく行くと都電荒川線が、ほぼ直角に曲がる高戸橋に出た。ここから面影橋あたり、桜が覆う川の両岸を見物の人たちが行き交う。下流は江戸川橋、飯田橋だが、その途中にある椿山荘辺りで花見を終えて、早稲田大に近い夏目坂、そして文化センター通りを新宿駅まで歩いた。
この日は親族の宴席が世田谷であり、そこで私はカメラを忘れた。長男が世田谷の自宅から小平の我家まで、野川沿いを歩いて来たことがあった。それを思い出し、翌々日、忘れ物を取りに野川沿いを自転車で行くことにした。サイクリングロードが整備され片道100分だった。河川敷には花見の家族連れなどがいる。思いがけない野川の桜見物となる。
武蔵野台地には2種類の発達した河岸段丘が見られる。JR中央線が走る高位面を武蔵野面、甲州街道が走る低位面を立川面と呼ぶ。武蔵段丘と立川段丘は国分寺崖線によって分けられる。国分寺崖線の湧水を集めて流れるのが野川である。神田川も武蔵野台地東部の湧水である。武蔵野台地の成り立ちに思いを馳せる花見になった。