スペイン人の征服者達が始めてこの地を訪れたのは1563年。彼らはその美しさを称え、「天国のような谷」という意味の名称を与えたといわれるチリのパルパライソ。19世紀頃の面影を留める旧市街は世界遺産に指定され、湾を囲むように丘陵地帯が広がっていた。
丘を登りきると、この地を愛しノーベル文学賞を受賞したパブロ・ネルーダの過ごした館が博物館として一般公開されていた。特別な陳列物はなかったが、詩人が生活していた素敵な館は私を興奮させた。注意事項は2点。触ってはいけない。室内の写真撮影はしてはいけないだった。写真を盗み取ろうにもアチコチに職員がいるのだ。屋外を写すフリをして広角で撮ろうとするとXサインがでる。そんな訳でヤット盗み撮ったのが、部屋の隅にあった風呂場のみであった。(館の外観 丘陵に建っているので室内からの見晴らしは抜群)
リビングのテーブルにしつらえられたランチョマット。その上に置かれたプレートやナイフ、フォーク、スプーン。おそらく静かな音楽が流れ、暖かい陽射しが射し込み、窓ガラス越しに家並みや港の風景を眺め、食事を楽しみ、思索にふけったのではなかったろうか。
盗写したい。何故?実は私の長年に亘る趣味は家の設計図を見たり、書いたりする事なのだ。図書館で本を借りると5冊のうち1冊は必ず「家の設計」の本が入る。本の一角に「設計図を作って」と題して、 設計図に入れたい条件が明記されている。それに基づいて設計士が製図しているが、素人ながら私もそんな事が好きなのだ。(屋外撮影はOK 室内を入れるのはこの程度が限界)
館を出て丘の縁まで歩いていたら、結婚式を挙げたばかりのカップルが写真を撮ってもらっていた。本人達の笑顔ははじけ、周りの祝っている人々も微笑んでいる。彼らはどんな家に住むのだろうか? その家でどんな家庭を築こうとしているのだろうか?遥か彼方日本では・・未だ我が娘は極楽トンボを楽しんでいる・・・のだろうか?(丘の上の新婚さん。停泊中の白い船舶が私達のBoat。日付けが変わる頃船は出港した。穏やかなオレンジ一色に近いネオンは、チカチカと忙しくと点滅することもなく丘の稜線までクッキリ描き出しており、見えなくなるまで私達を楽しませてくれた)