玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

小さなこだわり

2006年06月20日 | 捨て猫の独り言

 私が勤め始めた頃、男子学生は詰襟の制服で黒革のカバンと黒革の靴であった。黒の制帽は殆んど着用されなくなっていた。そのうち黒革の靴はスニーカーになった。黒革のカバンの中は空でサブバッグが愛用されていた。服装の規則はなし崩し的に変化する。若者の感覚を後追いすることが多い。

 ある時型破りの2人の若い男性教師が同時にやってきた。そのうちの一人はリュックで登校することを認めるべきだと主張した。私は制服にリュックは似合わないと保守的な態度でその意見を押し止めた。そのことを記憶しているのは私自身だけ。2人はいろいろなことがあって評価相半ばのうちにほぼ同時に去った。今でも押し止めたことをほろ苦く思い出す。

 あれから十数年経過してカバンの規則は完全に自由化されている。今はさまざまなカバンが見られる。運動部の特注スポーツバックは目立っている。高校生はそれほどでもないが中学生にはリュック姿が結構多い。詰襟の制服は私立ということもあっていまだに健在。意外にも黒革の靴がスニーカーより多数派である。

 世の多くの女性が背中に蝉が止まった風情のバッグを背負った。今ではこれも下火になったようだ。スーツにネクタイ姿の中年男性がリュックを両肩にかけ、背に負う姿を見かけるようになった。私は長い間ショルダーバッグを持ち歩いていたが、それが使えなくなって偶然リュックを手に入れた。そしてなぜかリュックを両肩にかけることにかなりの抵抗感をもっている。だから片方の肩にかける。これは正しくない着用の仕方だ。そんな私が出会ったのが斜めがけの背負いリュックである。スリングバッグという。SLINGとはつり包帯の意味だという。江戸時代の旅装束にこんなのがあったなとひそかに気に入っている。

コメント (1)
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