イラン核協議には、国連安保理事会の5常任理事国以外に、ドイツが入っています。
これを疑問に思って、知人に質問したことがありました。
これに対してはこう回答いただきました。
「確かに、常任理事国でないドイツがイラン核協議に加わっているのは不思議ですが、もともとイランではヨーロッパの国が歴史的に大きな影響力を持っています。ヨーロッパから、英仏露プラス欧州の大国ドイツが入るのは、自然なのかもしれません。経緯は知りませんが。ちなみにドイツは個別の国としてはイランの輸入先国として、中国に次ぎ第2位で、ドイツからイランには46億ドルの輸出(10年)。日本からイランへの輸出は16億ドルでした。経済的にも関係が深いのだと思います。」
このほか、これを調べていると、元々[イランが核開発をしている」という情報を発表したのが西ドイツだったり(1984年)、いろいろ裏でもありそうです。
さてこうしてイランを監視(?)しているドイツ、この国は、ユダヤ人に対しての贖罪、そして本来イスラエルの地ではなくて、自国でひきとるべきだったユダヤ人たちをそうしないですんだという良心の呵責なのか、イスラエルに対しての批判は行いません。
作家のギュンター・グラスが最近、『言わねばならないこと』という詩で、ドイツのイスラエルに対する武器売却を非難し、イランに対して敵対行動をとり続けているイスラエルこそ世界の脅威とイスラエル批判をし、物議をかもし出しました。
(ギュンター・グラスは、若い頃ナチ親衛隊に属していたこと、それを公表していなかったとして大きく叩かれました。だからこそ、この詩を書いたことはなおさら賞賛に値すると思います。)
(参照:ニューズウィーク『ドイツ人作家の直言にイスラエル激怒』
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/04/post-2517.php)
しかし、ユダヤ、イスラエル批判ご法度の国では、ごく当たり前に思えることを言っても、政治家は耳を貸しません。
そんなイスラエルですが、今日はこんな記事がありました。
ニューズウィーク『イスラエルの過激なアフリカ系移民排斥運動』
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/06/post-2569.php
イスラエルはアフリカ諸国からの不法移民が押し寄せる移民大国。貧困国からの経済難民や母国での政治的抑圧を逃れてきた亡命者など、およそ6万人ものアフリカ系移民が暮らしている。
だが、彼らの存在はイスラエル社会にとって頭痛のタネ。犯罪の増加や社会の不安定化の元凶だとして、アフリカ系移民に対する市民の反感は爆発寸前に高まっている。
亡命希望者は砂漠の真ん中に収容
ベンジャミン・ネタニヤフ首相は6月3日、エチオピアやガーナ、コートジボアール、南スーダンなどから来た不法移民2万5000人を迅速に国外追放するよう指示。さらにエリトリア、ソマリア、スーダンからの亡命希望者の収容施設を砂漠の真ん中に建設するよう命じた。ネタニヤフは「(国外)に送還できる人は全員、できるだけ早くそうすべきだ」と閣僚らに語ったと伝えられる。
英BBCは、不法移民を射殺すべきだと訴える年配のイスラエル人男性や、アフリカ系移民によるセクハラや犯罪行為を糾弾し、彼らがイスラエル人の雇用と住宅を奪っていると訴える若い女性のインタビューを放映した。アフリカ系移民が「侵入者」と呼ばれることが多いなか、与党のある政治家は彼らを「癌」だと言い切った。
イスラエル人とアフリカ系移民コミュニティの反目は数カ月前から一段とヒートアップしている。イスラエル政府は昨年12月、不法移民の侵入を食い止めるために1億6000万ドルを投じると表明。先月、テルアビブで行われた反移民デモでは一部のデモ隊が暴徒化し、対立が納まる気配はない。
アフリカ不法移民が増えてしまっても放置していたのは、おそらく昔は安く使える彼らが都合がよかったからではないでしょうか。
それにしても、「砂漠の真ん中に収容所施設」とは。
パレスチナの人もそうですが隔離や抹殺が頭に浮かぶ人たちの国を、世界はなぜ特別扱いするのでしょうか。