「将棋の多面打ちのようだね」と友人に言われる程多くなった私の海外のペンフレンド達。
私自身、始めた当初はこんなに多くのペンフレンドを持つとは思ってもいませんでしたが(現在8人)、今では皆かけがえのない人達です。
彼らは皆日本に興味がある人達で、そのきっかけを話してもらうのは楽しいです。
フィンランド人のペンフレンドは40代前半男性。
「10歳のとき、黒澤監督の『七人の侍』をテレビで見た。その翌日の昼休み、僕ら仲間は学校の裏の森でチャンバラごっこをし始め、何も知らない先生をハラハラさせた-それがすべての始まりさ。剣道も習ったから今でも1から10なら日本語で数えられるよ。」
彼の日本に対しての思いは、大学時代に知り合った当時60歳の日本人留学生の影響もあると言います。この男性はフィンランドの巨匠建築家アールトの研究をするため、単身フィンランドにやって来ていました。ペンフレンドとその仲間達は彼の中に『現代の侍』を見たのです。
ドイツ人のペンフレンドも40代前半男性。彼のきっかけも映画、そして日本文学。
「日本学を勉強し出したきっかけが、二つありました。一つは現代文学、川端の『古都』を独訳で読んだことです。
もう一つは、やっぱりドイツのテレビで小津の映画を観たことです。こんな作風の映画を作る国の文化を知ってみたかった・・・」
彼の日本語は非常に流暢で、日本語でやり取りできる唯一のペンフレンドです。
デンマーク人のペンフレンドは女性で40代後半。彼女も映画がきっかけでした。ただ、前出の二人と違って、その映画はハリウッド製作映画『将軍』。
今年の誕生日に友人からシリーズ版DVDをプレゼントされた彼女は、それを観て着物の袷が男女共左が上ということに気がつきました。
「西洋で男性の洋服の袷の左が上なのは、銃を懐に持って抜きやすくするためと聞いたことがあります。日本の場合、着物も短刀などを隠し持てるようにでしょうか。」
着物の袷が左上になった由来はともかく、DVDを観ながらもこんな細部も見逃しません。
他のペンフレンド達が日本に興味を持ち出したきっかけも、この3人と似たりよったりです。まあ、私達が海外の国に興味を感じ出すきっかけも似たようなものでしょう。
しかし、彼らと私達が大きく違うところは、彼らが皆自国の文化に対しての愛情と誇りを持った上で日本に興味をもってくれているという点です。
「愛情、誇りと言う前に、日本人は自国の文化に関心がなさすぎる。」
海外のペンフレンド、外国人の知人とのやりとりで、いつも反省させられるところです。