三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

イスラエルとパレスチナへの旅(3)

2018年09月02日 | 戦争

パレスチナ人の置かれている状況は教えてもらわないと見えてきません。
イエスが生まれたベツレヘムは観光客で賑わい、若者たちは明るく元気そうだし、人々は普通に生活しているようです。
どこが入植地で、どこにパレスチナ人が住んでいる村か、通りすがりの観光客には見分けがつきません。
分離壁もだんだんと見慣れてきます。

しかし、パレスチナ人は追い詰められた生活をしています。
パレスチナ人の問題の一つは住居だそうです。

家屋の建設はイスラエル政府の許可が必要ですが、まず認められることがないので、自分の土地でも家を建てることができません。
許可なく家を建てると、罰金が科せられたり、家は壊されたりします。
昔からある家でも、土地の権利証がないからというので立ち退かされます。

そうして、イスラエルは住居や農地を破壊し、土地を没収して、入植地を作ります。




http://www.afpbb.com/articles/-/2550165?pid=3617349

入植地の中にはアメリカの企業が作ったもの、アメリカ人の入植地もあるそうです。
満州の日本人開拓村は、初期には中国人を追い出して作られたことを思い出しました。

アースキャラバンの日程に井戸の浄化作業があります。
これは、井戸に土を入れて使えなくされるので、その土を除去する作業です。
https://taosangha.com/2017/09/14/j-20170914/

アースキャラバンの旅行は今回で4年目ですが、以前行った村への道路に岩を置いて通行できなくされたので、その村に行けなくなったと聞きました。
そういういやがらせをパレスチナ人は日常的に受けているわけです。

東エルサレムのパレスチナ人地区では、パレスチナ人を家から追い出し、その家にユダヤ人が住んでしまうこともあります。
家を追い出されようとしている男性の話を聞きました。
向かいの家は、もともとパレスチナ人が住んでいたのを追い出し、今はユダヤ人が住んでいます。
その家の壁にはヘブライ語で「自分たちの土地に帰れ」と書いてありました。

https://satoshi-suzuki.com/palestine-east-jerusalem/

ある村は、1948年に完全に破壊され、その後、村人の一部が戻ってきました。
現在の人口は2千人ですが、もとは2万5千人いたそうです。
村は90%がC地区で、分離壁、すなわち入植地に囲まれています。

ほとんど住民が許可なく家を建てましたが、98%の家が家屋の破壊を宣告されています。
3回破壊され、3回再建し、また壊されて家もあります。(家の再建は村人や支援者たちの寄付による)


同じ場所からまわりの景色を眺めると、フェンスの分離壁はあるものの、普通の農村風景です。
説明を聞かないと、この家がなぜ壊れているのか、この村で何が起きているのかがわかりません。



いつでも壊せるんだという無言の脅しに村人はさらされています。

南ヘブロンの村に行きました。






ここの村では、家を壊され、家を建てる許可が下りないので、洞窟を家にしています。
入り口です。


中はこんな感じ。


完成するとこうなります。


便所が離れたとこにありますが、この便所が無許可建築として破壊すると宣告されているそうです。(便所の写真を撮っておけばよかったと反省)
そこまでしても村にとどまるのは、とどまることが抵抗になるからだと話されていました。

パレスチナ人の住んでいる地区・村は水道、電気、ガス、道路などのインフラが整備されていません。
ヨルダン川西岸地区は水の豊富な土地だそうです。
それなのに、水道は月に1回とか、給水車が週に1回来るとか、そういう状態です。
もちろん、入植地にはそういう制限はありません。

パレスチナ人は家の屋上にタンクを設置し、そこに水をためています。


屋上にある黒いタンクがそうです。




屋根を見れば、その家はユダヤ人のものか、パレスチナ人が住んでいるかがわかるわけです。
入植地の家です。

https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/24147e1e135a0c2d2596e1ea8ef46d67

飲み水はペットボトルを買うので、収入の3分の1が水代なんだそうです。
家を追い出されようとしているおばあさん(孫が4人いる)は、私たちにその貴重なペットボトルをくれようとしました。



パレスチナ人は、これは自分のものだという意識があまりないそうです。

道路が悪くても、整備が許されていません。
勝手に道路を補修すると逮捕されます。

エルサレム旧市街はきれいにされてゴミはあまり見かけませんが、イスラム教徒地区だけは道にゴミが落ちていて、他の地区とはちょっと違った雰囲気です。
聞くところによると、行政はパレスチナ人の住む地区のゴミを回収しないそうです。
たしかにゴミが多い。
旧市街はさすがにゴミの収集をしてるかもしれませんが、回数は少ないでしょう。

それと、男の人がおしゃべりに興じている姿をよく見かけます。
男性がぶらぶらしているように見えるのは仕事がないからです。
説明をしてくれた人に、失業率はどれくらいかと聞いたら、8割ぐらいではないかという返事でした。
パレスチナ中央統計局によれば、2017年の青年(15~29歳)の失業率は2007年の30・5%から41%に増大しています。
ヨルダン川西岸では25.6%から27.2%の増加、ガザ地区では39.8%から61.2%へと悪化しました。
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/5399251.html
ちなみに、イスラエルの失業率は4.8%です(2016年)。
賃金もユダヤ人とパレスチナ人とでは格差があるそうで、ネットで調べると半分から3分の1です。
http://www.afpbb.com/articles/-/2683688?pid=5153216

壁の中での生活は、夢も希望も、そして仕事もありません。
イスラエル政府は、パレスチナ人の生活を困難にし、圧力を与えることで、パレスチナから出ていかせようとしています。

ただし、パレスチナ人がパスポートをもらうのは難しい。
パスポートがあれば、外国に出ても戻ってくるからです。
そうしたことを多くのユダヤ人は知らないし、気にもかけないそうです。

テロリストを作るのは貧困じゃないんだよ。絶望なんだ。将来に希望があれば貧乏だって耐えられるし、人を愛することだってできるんだ。(『まんがパレスチナ問題』)

エルサレム旧市街では銃を持つ軍人たちをあちこちで見かけました。


野菜を売る女性たちという日常と、武器を持つ軍人(=暴力)という非日常が同居しているわけです。

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