三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

ホメオパシーと『神との対話』と真宗

2010年08月28日 | 問題のある考え

「溜息通信」60号の〈シリーズ 親鸞〉批判にはうなずけることばかりだが、しかし、
「執筆者を身内の教学者(大学のセンセ)で固めてしまうところに、宗門の閉鎖性と硬直性が表れている」
「私だったら版元に一切合切まかせて、宗門外の親鸞好きの方々に、大谷派の教学なんか気にせず、自由に親鸞の魅力を表現してもらう」

とあるのには賛成できない。
たとえば、梅原猛氏が「自由に親鸞の魅力を表現」したら『誤解された歎異抄』みたいなトンデモ本になるだろうし、田口ランディ、帯津良一といった方たちが親鸞について書いたものなんか読みたくない。

ところがですね、東本願寺で「御遠忌テーマ館企画 公開講演会・シンポジウム」全4回が行われるのだが、4回目はなんと田口ランディ氏の記念講演、帯津良一・藤原新也両氏がパネリストである。
何ともむかつく話で、こんなことに金を使うんだったら経常費を返せと言いたくなる。

帯津良一氏は日本ホメオパシー医学会の理事長である。
ホメオパシーとは、毒を限りなく薄めて水と変わらない状態になったレメディー、つまり単なる水を薬として与えるという治療法である。
このホメオパシーによって死亡する事件が起きている。

5600万円の賠償求める 山口地裁 ホメオパシー絡みトラブル
山口市の女性(33)が同市の助産師(43)を相手取り、約5600万円の損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が4日、山口地裁であった。
訴状などによると、女性は2009年8月に長女を出産。助産師は出血症を予防するためのビタミンK2シロップを投与せず、長女はビタミンK欠乏性出血症にもとづく急性硬膜下血腫を発症し、同年10月に死亡したという。
朝日新聞8月5日

代替療法ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常医療拒む
代替療法ホメオパシーを利用している人の中で、病気が悪化して死亡する例が相次いでいる。通常の医療は末期になるまで受けていなかった。東京では5月、国立市の女性(当時43)が、がんで死亡した。埼玉でも昨年5月、男児(同生後6カ月)が死亡した。女性の遺族らは先月、「憂慮する会」を設立し、ホメオパシー療法家らに真相解明を求めて運動を始めた。
朝日新聞8月11日

ホメオパシー信者にもいろんな流派があるらしくて、帯津良一氏は穏健派らしいが、それでも単なる水を薬だと言って処方しているんですよ。
毒にも薬にもならないはずの水が、ホメオパシーとかレメディーという名前がつくことによって毒になってしまう。
たとえ話として使えそうです。

私は未読なのだが、五木寛之・帯津良一『養生問答』という本で、五木寛之氏もホメオパシーを肯定的に扱っているそうだ。
目次を見るとかなりアヤシイ本である。
アヤシイ人の友達はアヤシイという法則に従えば、帯津良一氏との共著が何冊かある五木寛之氏はアヤシイ。

うれしいニュースがあった。
ホメオパシー、学術会議が否定=「根拠なく荒唐無稽」と談話
 日本学術会議は24日、最近広まっているとされる療法「ホメオパシー」について、「科学的に明確に否定されている。治療に使用することは厳に慎むべき行為」との金沢一郎会長(皇室医務主管)名の談話を発表した。
 ホメオパシーは、健康な人間に投与するとある症状を引き起こす物質を患者にごく少量投与することにより、似た症状の病気を治すという療法。植物や鉱物などを入れてかくはんした水を極めて薄く希釈、砂糖の玉に染み込ませて与えるなどする。(略)
 談話は、ホメオパシーについて「科学的根拠がなく、荒唐無稽。今のうちに排除しなければ、『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」としている。
時事通信8月24日
それにしても、東本願寺は疑似科学についてどのように認識しているのやら。

で、田口ランディ氏だが、千葉茂樹『マザー・テレサと生きる』で、山谷で在宅型ホスピスを運営している夫婦の活動を紹介している。
世の中には無名の大した人がいるもんだと感心した。
だけど、奥さんが話している後ろに本棚があって、そこにある本が『神との対話』『神とひとつになること』『魂との対話』『魂の療法』なんですね。
アヤシイと思って、ネットで調べたらやっぱり精神世界、スピリチュアルの本でした。
たまたまカメラが写しただけなのか、意図的なものか、どっちでしょう。
ニール・ドナルド・ウォルシュ『神との対話』『神とひとつになること』は神との口述筆記形式の対話をまとめた本で、大川隆法氏の霊言シリーズみたいなもの。
『魂の療法』の作者は『前世療法』のブライアン・L・ワイス
退行催眠によって前世の記憶を取り戻して云々という本である。
田口ランディ氏は『神との対話』の解説を書いているわけでして、こんな節操のない人物の本を東本願寺は出し、あまつさえ御遠忌記念事業の講師として招聘するという信じられないアホなことをするわけで、またまた怒りがムラムラ。
知識人が親鸞のことをもっともらしく口走ったら、すぐに持ち上げる悪い癖はやめるべきだ。
大谷派のスピリチュアル化はかなり重症である。

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