生活保護適正化条例案 小野市会が可決 4月施行へ
生活保護費や児童扶養手当などの受給者がパチンコなどで過度に浪費することを禁じ、不正や浪費の情報提供を市民に求める「小野市福祉給付制度適正化条例」案が27日午後、小野市会本会議で可決された。生活保護などの適正支給を目的とした条例は全国でも例がない。4月1日から施行される。
条例案では、生活保護費などの不正受給や、ギャンブルなどによる過度の浪費を禁止。受給者の不正や浪費を見つけた場合、市に通報することを市民の「責務」として定めている。また、生活困窮者を速やかに救済するため、困窮者情報も市民に求めている。(神戸新聞2013年3月27日)
またまた旧聞に属する話ですが、困った条例です。
よその家がパチンコなどに「過度に浪費」しているかどうかをどうやって知るのかと思うし、密告することが「市民の責務」になるというのも恐い話です
生活保護を受けている人は税金でのうのうと暮らしている、というイメージが強い。
ある人と話していて生活保護の話題になり、「あの人たちは……」と言うので、生活保護の受給額を下げることは問題があってと説明したが、納得してもらえなかった。
私自身も生活保護について知らないのだから仕方ないけれど。
というわけでもないのだが、生活保護利用者本人が書いた和久井みちる『生活保護とあたし』を読みました。
和久井みちる氏は2007年から3年半の間、生活保護を利用しており、生活保護利用者の声を伝えるために『生活保護とあたし』を書いたという。
2007年の生活保護利用者は161万人、2012年11月では212万人に増えている。
怠け者が増えたから?
いいえ、そうではありません。
生活保護利用者は怠け者ではありません。
生活保護制度は人間をダメにする制度でもありません。
「世の中の多くの方が、「生活保護利用者=働いていない人」と思っているのではないでしょうか。
生活保護世帯の母子家庭の方たちなどは、実に8割以上が働いています。残りの2割は病気などで働けない状態の方たちです。「稼働年齢層」と言われる、病気や障がいがなくて、年齢的にも働ける年代の人たちの多くが、短期や日払いのアルバイトやパートをしています。しかし、家賃や光熱費を払って、そのうえで生活できるほどの収入にはならない多くの方たちがいます。その方々は生活保護を利用せざるを得ないのです」
和久井みちる氏はDV夫から逃げ出し、ウツ病になり、月2回の通院。
体調に波があり、フルタイムで働けないので、週3回のパート。
それじゃ生活できないので、市役所で社会福祉協議会の生活貸付金について聞いたら、「あなたには返すアテがないでしょう? そういう人にはお貸しできません!」と決めつけられた。
捕捉率(最低生活基準を下回り、生活保護を必要としている世帯全体の中で、実際に生活保護を利用している世帯の比率)は30%と言われている。
現在利用している212万人の他に、800万人とも1000万人とも言われる人たちが生活保護を利用していないのである。
生活保護はそう簡単にはもらえないらしい。
和久井みちる氏が生活保護の申請してから決定までの調査記録は70ページに及ぶそうだ。
「とことん徹底的な調査がなされていることを改めて知りました」
生活保護の申請では「扶養照会」といって、親兄弟に「少しは扶養(援助)できませんか」といった趣旨の通知が送られる。
自民党の憲法草案の第24条に「家族は、互いに助け合わなければならない」とある。
そりゃまあそうだけど、親兄弟のためとはいえ、12万円以上の援助を毎月できる人がそんなにいるとは思えない。
この扶養照会を三親等にまで広げようという動きがあるそうだ。
「これをやろうとしている人たちは、それが拷問であることをちゃーんと知っているのだと思います。知っているからこそ、苦痛なら申請を諦めるだろうと見込んで、義務化しようとしているわけです」
札幌で福祉事務所からDV元夫の扶養を求められた女性(3人の子持ち)が、生活保護の利用をあきらめて餓死するという事件があったという。
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