三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

『現代アメリカの陰謀論』と『現代オカルトの根源』4

2014年01月25日 | 陰謀論

陰謀論者は異星人には善意の異星人と悪意の異星人がいると考えている。

この世は不可視の存在によって支配されているとするオカルティズムの発想は、楽観的な姿勢としては、人類は卓越したマスターたちに導かれることによって精神的向上を果たすことができるという進歩主義を生み出し、悲観的な姿勢としては、人類は悪しき勢力によって密かに利用・搾取されているという陰謀論を生み出す。(大田俊寛『現代オカルトの根源』)

善意の異星人は、人類の進化を手助けしようとしている。
悪意の異星人は、霊性進化に向かう人類の歩みを阻み、地球侵略をもくろみ、人類の奴隷化、家畜化をたくらんでいる。
悪意の異星人の手先の中にはアメリカ政府の高官など特権エリート層もいる。

まずは善意の異星人から。
1947年にケネス・アーノルドが「水面をスキップする円盤のように」飛行する不思議な物体を目撃して以来、空飛ぶ円盤の目撃事例が急増する。
1951年、ロバート・ワイズ監督の『地球の静止する日』が公開される。
人類による核兵器の使用を危惧した宇宙人が警告のために円盤で地球に飛来するという話である。
この映画には元ネタがあるかどうか知らないが、善意の異星人論者に与えた影響は大きいそうだ。

キリスト教根本主義の団体に、UFOは本当は天使であり、キリスト再臨と最後の審判を告げにやってきたと信じる連中がいる。(テレンス・ハインズ『「超科学」をきるPartⅡ』)

レオン・フェスティンガーが『予言がはずれるとき』(1956年刊)で取り上げたキーチ夫人の団体がその一例である。
1954年にキーチ夫人は、大洪水が起きるが、少数の人は空飛ぶ円盤によって他の惑星(高次の世界)に連れて行かれる、という予言をした。

これは携挙の宇宙人版である。
携挙とは、正しいキリスト教徒だけが神によって天に引き上げられることである。
ところが、イエスによってではなく、宇宙人が天に引き上げてくれると考える人たちが出てきた。
ニューエイジで言うアセンション(人間もしくは世界そのものが高次元の存在へと変化すること)は携挙と関係がある気がする。

キーチ夫人は若いころ神智学に興味を持ったという。
『現代オカルトの根源』によると、なんと空飛ぶ円盤で有名なジョージ・アダムスキーも神智学と関係があるそうだ。
アダムスキーは『地球の静止する日』と似たり寄ったりのことを主張している。(どちらが先なのかはわかりません)
アダムスキーが接触した宇宙人(スペース・ブラザーズ)は神智学で言う「大師」である。
高い知性を持つ友好的な人類の導き手タイプで、人類は惑星間を転生しながら生き続けることを伝え、核兵器の開発によって人類が破滅の危機に瀕していることを警告する。

スペース・ブラザーズ(というか、アダムスキー)によれば、地球は罪人の追放場所で、「厄介な利己主義者が集められた更生施設」なのである。
そのために地球は戦乱が絶えない惑星となってしまったので、スペース・ブラザーズは何度も救世主となる人物を地球に送り込んだが、人間によって殺害されてしまい、地球の状況は改善されず、このままでは地球は終末を迎えてしまう。
こうしたアダムスキーの主張には批判が多く、アダムスキーは「自分を批判する動きは、「サイレントグループ」という名称の陰謀勢力によって引き起こされている」と主張した。

次は悪意の異星人です。
秘密結社を牛耳る悪の権力は、実は爬虫類型宇宙人(蛇族)だと主張する人たちがいる。

宇宙から飛来した「爬虫類型異星人(レプティリアン)」である。彼らは「変身」の能力を用いて、あたかも地球人であるかのように振る舞い、世界各国の政治や経済における指導者として君臨し、その他の人類を家畜として管理・利用している。(略)
今や彼らは、政治・軍備・金融・メディア・宗教等のあらゆる分野を通して、人類を思うがままに操作している。(大田俊寛『現代オカルトの根源』)


私が小学生のころ読んだ「少年マガジン」に、なぜ人は蛇を見ると気持ち悪く感じるのかというと、はるかな昔、蛇族(爬虫類人)と人間との戦いがあり、その記憶が我々に残っているからだという話が載っていた。
『現代アメリカの陰謀論』によると、身体が人間で頭が蛇の形をしており、任意に人間に姿を変える能力を備えているという蛇族を最初に思いついたのは「コナンシリーズ」のロバート・E・ハワードで、『影の王国』(1928年)という小説なんだそうだ。

森達也『職業欄はエスパー』に、秋山眞人氏がグレイという爬虫類が進化したタイプの宇宙人がいると話しているので、ネットで「グレイ」で検索すると、画像がたくさんあった。
グレイは『E.T.』に出てくる宇宙人みたいな姿で、蛇族という感じではない。

大田俊寛『現代オカルトの根源』によると、驚くことに大川隆法氏も悪意の爬虫類型異星人について注意をうながしているそうです。

近年の大川は、宇宙人に関する理論を積極的に展開しているが、そのなかではエンリルという神に対して、さらに特殊な性質が付与されている。それによればエンリルの正体は、宇宙から飛来した「爬虫類型の異星人である。

古代シュメールの神である「エンリル」という霊格は、世界の裏側を支配する神で、その系統からは祟り神、悪魔、邪術を操る者が生み出されたとのこと。
さらには、大川隆法氏に大きな影響を与えた師と言うべき高橋信次もエンリルの系統と位置づけが変更されている。
話題のものはなんでもと取り入れる大川隆法氏の懐の広さを讃えるべきかもしれません。

さらには、空洞になっている地球内部に住む蛇族の高度な文明が作り上げたUFOが地球の内部から飛来すると主張する人たちがいる。

ここ(地球の内部)は邪悪なグレイの住処であった。グレイとは、一般的に想像される大きな頭をもつ短躯の生き物であるが、最近ではグレイはレプトイド=爬虫類人と結び付けられている。(大田俊寛『現代オカルトの根源』)


悪の異星人は地球に飛来したり人間の精神を操るなど、高度の科学技術を持っているんだから、とてもじゃないけど地球人が太刀打ちできるとは思えません。

もし陰謀論者が信じるほど陰謀者が強大な権力と狡猾さを備えているとすれば、善の力が最後の勝利を収めることをいったいなにが請け合ってくれるのか。(マイケル・バーカン『現代アメリカの陰謀論』)

陰謀論者は人類の未来に楽観的だと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする