三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

櫻井義秀、中西尋子『統一教会』1

2012年03月27日 | 問題のある考え

『統一教会』の筆者の立場
「筆者は統一教会の諸活動が社会問題化していると認識しており、布教方法と資金調達方法は違法行為だと捉えている」

筆者のカルトの定義
「筆者なりにカルト的信仰を定義するならば、組織に依存させられた信仰である。個人を既成観念から解放し、自由にするような信仰のあり方ではない。その人の自分なりの考えや親子・友人関係、社会人としての自立した生活基盤を、組織の言葉、教団内の人間関係、教団から与えられる仕事に全て置き換えさせ、信者を個別に管理して初めて成り立つ宗教といえる」

統一教会の教説
「統一教会では、原罪はサタンと人類始祖のエバが姦淫・不倫をおかし、神に背いた悪の血統がアダムを経て人類全てに相続されていると考える(堕落論)。イエスは子孫を残さず天に上げられたので神の救済計画(復帰摂理)は失敗したが、神は人類に再臨主を遣わし、神の王国建設は現在も続くのだという。その再臨主が文鮮明であり、文夫妻の司式による「祝福」(合同結婚式)によって無原罪の子をなし、神を中心とする家庭を完成させるというのが統一教会の活動目標である」
統一教会の教説は文鮮明の独創ではなく、文鮮明以前に同じような教えを説いていた人がいるし、韓国には自称再臨主は文鮮明のほかに何人もいるそうだ。

『統一教会』に書かれてある統一教会の教説と批判を読んでも、私にはどうして多くの人が信仰するようになるのかわからない。
エバのせいで人間は生まれながらに罪を背負っているなんて、無実の罪に苦しむようなものである。
エバが不倫してとか、そういうおとぎ話を信じるのは不思議だと思っていたが、統一教会の教説のもう一本の柱は霊信仰だと、『統一教会』にあり、ちょっとだけ納得した。
「統一教会の教えによれば、人間は死後「霊人体」となって霊界に行く。原罪を持ったまま霊人体となった先祖は地獄で永遠の苦しみを受けているのだが、地上にいる子孫の善行により功徳が先祖に転送され先祖は安らぐのだという。ところが、このことを知らずに功徳を送らなかった人は死後、霊界で先祖の霊達に責められる」
この教説の前半は伝統的、後半と統一教会独自だそうだ。

統一教会の病気治しも悪霊祓いである
病気の原因である悪霊を叩いて追い払う。
この点からも、統一教会は東アジアの民間信仰の影響が強いそうだ。
「霊の働きを中心に据えた教義や儀礼は、祟り信仰に慣れた日本人には現実味があり、霊に対する畏怖の念が、信者の教会にすがる態度、逆らうことの困難さを増幅していたと考えられる」

もちろん、患者を叩いて病気が治るわけはない。
ある日本人女性は大金を払い、総本山である清平でさんざん叩かれても治らず、「ここでは治らないから、帰りなさい」と見放された。
日本に帰って手術をしたのだが、脊髄腫瘍だったという。

先祖を救う方法は祝福(合同結婚式)である。
「統一教会の世界観では、霊界と現実世界があり、相互に交信可能だし、霊人が地上人に影響力を行使することも可能であれば、地上の人間が霊人となった先祖を供養により慰撫することもできるという。信者はこの世において統一教会に入信して祝福を受け、真の家庭を築かなければ救済に与れないし、統一教会の教えを受けずに亡くなった先祖達は、死後において統一教会の研修と祝福を受けて真の家庭を築かなければならない。どちらの場合も、信者が統一教会にしかるべき金額の献金を納入しなければことは進まないとされる」
信者は霊界で救済を待つ先祖達も救う義務を有しているわけである。
「地獄にうごめく悪霊や恨みを抱いた祖霊は極めてパワフルな影響力を地上の人間に行使するとされるのだが、こと天国への門を叩くことに関してはまことに無力であり、子孫のなけなしの献金を鶴首して待つ身の上なのである」

こうして「客観的には青年信者であっても数百万円、壮婦であれば資産に応じて1000万円から数億円の献金を要請されるままに出し続け、それ以外の選択の余地がないような精神状態に追いつめられて」いくわけである。

被害の訴えがありながらも、いまだに統一教会が日本で活動を続けているのは、政権与党の庇護(金丸信、山崎拓、安倍晋三、中山文科相たち)や、統一教会に好意的な発言をする大学人の力も大きい。

強制脱会
「ディプログラミング等外部からの介入行為により強制的に脱会させられたものがいる」
ディプログラミングとは、信者に有無を言わせずに閉所に隔離して脱会を説得する行為。
「(この)人達だが、隔離された体験において精神的に傷つき、その後ひっそりと生活をされている方々も多い」

コメント
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