三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

山崎浩子『愛が偽りに終わるとき』と『自立への苦闘』2

2011年04月14日 | 問題のある考え

統一協会を強制脱会させられた後遺症で苦しむ元信者がいるということ。
後遺症の原因は脱会カウンセリングだと米本和広『我らの不快な隣人』は主張するが、全国統一協会被害者家族の会編『自立への苦闘 統一協会を脱会して』は脱会が原因ではなく、統一協会のマインド・コントロールの後遺症だと言う。
『自立への苦闘』にこういうたとえが書いてある。
結婚詐欺師にだまされている女性に、その男の正体を教えたことから、その女性が詐欺師から離れたが、女性は深く傷つき、精神的にもなかなか立ち直れない。
この場合、結婚詐欺師の正体を教えた人が責められることはない。
心の傷を与えたのは結婚詐欺師のほうである。
なるほど、『自立への苦闘』のほうが説得力があるように思う。

「統一協会の問題は「脱会」によって解決するものではなく、強いて言えば、脱会しても「心」が奪われたままの状態で苦しんでいる脱会者がいます」
脱会者は、不眠、焦燥感、不安定、頭痛などの症状が出たり、自責の念を持つ。
なぜ脱会したら後遺症が出てくるかというと、信者にとって脱会することは非常な恐怖だからである。
まず、脱会することは今まで統一協会信者として行なってきたことをすべて否定することになる。
そもそも、入信するにあたってはそれまでの人生を全面否定し、家族や仕事や友人・恋人、趣味などを捨てて、新たな人生をスタートしている。
ところが、脱会すれば信者として活動してきたことを全面的に否定しないといけない。
二重の自己否定であり、今まで何をしてきたのかということになる。
それに、統一協会からすり込まれた教義は簡単には消えない。
たとえば、信者は脱会する罪の重さ(霊界で罰せられる、妊娠すると身体障害者が生まれるなど)を繰り返し教え込まれる。
信者は脱会しても原理的思考から脱することが難しい。
自己卑下、従順(断れない、言い返せないなど)、完璧を求める、能力以上に頑張る、自分で判断できない、感情を押し殺す、自分を責める、誰かに依存する、など。
また、強制脱会の恐怖も教え込まれている。
「信者は、特に独身の若者は、統一協会内で繰り返し「家族による拉致監禁の脱会強要」がなされているという虚偽の事実を教え込まれ、そのことの恐怖をあおられています。信者らは、統一協会に反対する親が、同じく統一協会に敵対する牧師らにそそのかされ、彼らを精神病院に閉じ込めたり、信仰を変えるために注射を打ったり、長期間拘束して、中には強姦されるなどの被害もあると再三教え込まれているのです。そのための冊子やビデオ、講義マニュアルが統一協会内で作成され、使われています」

また『我らの不快な隣人』には、強制説得、強制脱会は信者本人だけでなく、家族の心にも傷を残し、親子、兄弟の関係が壊れることもあると書かれてある。
しかし『自立への苦闘』によると、統一協会では文鮮明夫妻を親とし、実の両親は偽りの父母だと教え込んで親子関係を断とうとするので、脱会しても親に嫌悪感を持ちつづけ、関係の修復が難しいと説明する。

それと統一協会は、自発的脱会者よりも、牧師が関与したディプログラミング(強制棄教・改宗)によって脱会した元信者のほうが精神的・肉体的後遺症に悩むケースが多いと、デビッド・ブロムリーやジェームズ・ルイスの研究(米本和広『教祖逮捕』に紹介されている)を根拠にして主張している。
しかし『自立への苦闘』には、彼らはカルト擁護論者として有名だと書かれてあって、はてさて、どちらを信用するかということになるわけです。

コメント
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