正義のかたち:償いと更生の間/6 死刑囚
受刑者の処遇について刑事収容施設法は「改善更生の意欲を喚起する」と明記する。死刑確定者については「心情の安定を得られるように留意する」とあるだけだ。それは時に、極刑を宣告された人間が更生を拒絶する理屈にもなる。
<死を受け入れるかわりに反省の心をすて、被害者・遺族や自分の家族の事を考えるのをやめました>
女性を巡るトラブルから2人を殺すなどした尾形英紀死刑囚(31)は08年、東京拘置所から「フォーラム90」のアンケートに答えた。07年に自ら控訴を取り下げ、死刑判決が確定している。
<俺にとって反省する必要ないから死ねということです。人は将来があるからこそ、自分の行いを反省し、くり返さないようにするのではないですか>(毎日新聞7月5日)
いささか古い記事であります。
尾形死刑囚の言ってることはもっともだと思う。
「悔い改めて自ら犯した罪を反省して納得して胸を張って死刑を受け入れることに意味がある」と言う人もいるけれども。
我々は死刑囚に何を期待しているのだろうか。
罪を悔いながら生きる人か、それとも反省のかけらもない人か。