毎日新聞(5月21日)の裁判員制度特集に下の表が載っていた。
■起訴罪名別の裁判員制度対象事件数■
起訴罪名 04年 05年 06年 07年 08年
強盗致傷 1146 1111 939 695 590
殺人 761 690 642 557 543
現住建造物等放火 357 322 331 287 234
強姦致死傷 316 274 240 218 189
傷害致死 229 205 181 171 173
強制わいせつ致死傷 167 132 161 168 136
強盗強姦 197 165 153 129 125
覚せい剤取締法違反 145 118 125 94 106
強盗致死(強盗殺人) 136 123 72 66 86
偽造通貨行使 151 244 40 62 36
通貨偽造 53 76 30 17 23
集団強姦致死傷 - 14 16 23 18
危険運転致死 38 43 56 51 17
麻薬特例法違反 20 19 14 13 10
保護責任者遺棄致死 8 8 14 10 8
爆発物取締罰則違反 6 3 1 4 8
銃刀法違反 23 37 40 29 6
その他 47 49 56 51 16
総数 3800 3633 3111 2645 2324
殺人件数が減っているのは知っていたが、他のいわゆる凶悪犯罪も減少していたとは。
デーヴ・グロスマン『「戦争」の心理学』(2004年刊)によると、「重大な暴行事件」は世界的に増えている。
「米国における加重暴行事件の人口あたりの発生件数は、1957年から1993年までに七倍近くに増加している」
「2002年現在の暴力犯罪の発生率は1957年の五倍なのである」
「カナダでは、暴行事件の人口あたりの発生件数は1964年から四倍近くに増加している。1977年以来、人口あたりの重大な暴行事件の発生率は、ノルウェーとギリシアで五倍近く、オーストラリアとニュージーランドではおよそ四倍に増加している。同じ時期、人口あたりの重大な暴行事件の発生率は、スウェーデン、オーストリア、フランスで三倍、ベルギー、デンマーク、イングランドおよびウェールズ、ドイツ、ハンガリー、オランダ、スコットランド、スイスでおよそ二倍に増えている」
もっとも、「日本やシンガポールなどの国々でも、未成年者による暴力犯罪は未曾有の増加を見せている」ともあって、ほんまかいなとも思う。
アメリカでも犯罪は減っているそうだし、実際のところはどうなのだろうか。
で、日本の場合、1950年代に比べると殺人件数は2分の1以下に減っている。
1954年が3081件、1955年は3066件で、2007年は1199件、2008年は1300件である。
犯罪を減らすためにはどうすればいいかを考えるなら、いたずらに厳罰を科すのではなく、どうして日本では「重大な暴行事件」が減少しているのか、その原因、理由を考察したらいいと思う。
殺人が減ったのはそれは若者の殺人率が減少、つまり人を殺さなくなったからだそうだ。
殺人以外の犯罪も減っているわけで、マスコミはいたずらに犯罪報道を事細かに伝えるよりも、そちらのほうを考察してほしいと思う。