裁判員制度は経費と労力がかかる。
裁判員やその候補者に支払う日当が約20億円、旅費が約12億円で年間32億円、施設整備などの費用は約300億円。
約30万人に調査票を送るなど、裁判所職員の手間も馬鹿にはならないだろう。
「たとえば陪審制の国では、抽選で集めただけの素人に判断させようとするため、おかしな判決にならないよう、さまざまな技術を盛り込んで訴訟法・証拠法が非常に複雑なものとなっています。それくらいなら最初から専門家(裁判官)だけにやらせる方が簡単で、信頼性が高いうえに、費用も手数もかかりません」(西野喜一『裁判員制度の正体』)
司法や裁判への国民の理解を深めるために裁判員制度を導入するというのなら、まずは学校教育で教えるとか、もっと安上がりの方法があるように思う。
たとえば中学生が裁判を傍聴したらどうだろうか。
死刑相当の事件などではなく、交通事故や万引き事件などの軽微な事件がいいと思う。
中学生が聞いていてもわかるような審理の進め方をするよう裁判官、検事、弁護士が努力するだろうし、そうなれば「裁判が身近で分かりやすいもの」となる。
中学校時代に裁判について勉強し、傍聴するようになれば、「国民の司法への理解を深める」ことにつながって一挙両得。
「より国民の理解しやすい裁判を実現する」安上がりで効果的な方法は裁判員制度以外にいろいろあると思う。