マイク・ニコルズ『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』は、どうにもうさんくささを感じさせる映画だった。
なにせテキサスの極右富豪が好意的、肯定的に描かれるのだから。
ソ連のアフガニスタン侵攻を食い止めるため、下院議員のウィルソンは下院の国防歳出委員会のメンバーを味方につけて、アフガン支援の秘密予算の大幅増額を図る。
当初500万ドルだった支援額は、7年のうちに10億ドルという規模に達した。
そうしてアフガニスタンからソ連を追い出し、ソ連の崩壊、ひいてはベルリンの壁の崩壊、つまりは「冷戦の終焉」をもたらしたとして、ウィルソンは表彰されたことになった。
アフガニスタンからソ連を追い出したまではよかったが、その後の対策をおこたったために、9・11が起きたというお話である。
この映画はチャーリー・ウィルソン、そしてアメリカの自画自賛映画としか思えない。
チャーリー・ウィルソンはパキスタンのアフガン難民キャンプでの難民たちの惨状を目の当たりにして、ゲリラへの支援を決意する。
しかし、たとえばタイのカンボジア難民キャンプを視察し、親ソのベトナムに後押しされているヘンサムリン政権を打倒するためにポルポト派に武器を供与するのと同じ話になってしまう。
あるいは、ゴマのルワンダ難民に話を聞いて、フツ族に支援するということも起こりうる。
悲惨な状態を見てかわいそうと思い、許せないと義憤を感じるのは情だが、しかし感情論で政策を決めていいものかと思う。
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完全に削除したメールがどこかに残っているなんてことはないのだろうか。