この冬はどこも大雪で、3メートル、4メートルと雪が積もっているところもある。
独り暮らしのお年寄りに雪かきをしますと持ちかける悪徳業者がいるそうだ。
そんなことをある人と話していたら、「自衛隊が出動して雪かきをしてくれたらいいのに」と言う。
これが以前だったら、自衛隊なんて税金の無駄づかいだから、こういう時にこそ働いてもらわないと、という感じだったが、今はそうではなく、何か困った時には自衛隊が手助けしてくれるという、便利屋さんみたいな感覚があると思う。
それだけ愛される自衛隊というか、信頼される自衛隊になったということかもしれない。
自衛隊は海外派遣なんかするよりも、国内のこと、たとえば災害救助などをしてほしいと思っている人は多いと思う。
昔だったら、年寄りしかいなくて雪かきができずに困っている家があったら、共同体の相互扶助精神で助け合ってたと思う。
そういう助け合いは薄れつつある。
知り合いの某氏がみかん狩りのボランティアに行ってきたという。
みかん狩りではなく、ボランティアである。
1月3日に、娘たちと瀬戸田町の観音山に登った。
車を置いているところに戻ったところ、なんと鍵がかかっているではないか。
真っ青・・・
私は山歩きの時には、歩いている最中に車のキーを落としてはいけないので、いつも車の中にキーを置きっぱなしにしている。
ところが、娘が気を利かしてロックしてしまったんですよ。
最寄りの民家(といっても車を置いている所から2.8キロ離れている)で電話を貸してもらい、ガソリンスタンドの人に来てもらった。
なにせ正月なもんだから、スムーズにはいかない。
滅茶苦茶手間取ってしまい、妻にスペアキーを持ってきてもらうか、それとも尾道からJAFをよぶか、瀬戸田町に泊まるか、と一時は悩んだ。
それはともかく、電話を借りた民家は70代の夫婦二人暮らしで、みかん農家である。
その方の話。
みかんはもうからない。
損をしなければいいという程度だ。
1キロ100円だったら赤字。
だから、子供に跡を継いでもらおうとは思わない。
子供たちは島を出て、サラリーマンをしている。
ということで、70代の老夫婦二人でみかんを作っているそうだ。
奥さん、かなり腰が曲がっていて、これで作業ができるのだろうかと思った。
こういうことがあったので、「みかん狩りのボランティア」とはどういうことかわかった。
この方たちがミカンを作るのをやめてしまったらどうなるのかと心配になる。
葬式についても同じことが言える。
村八分とは八分は無視するが、二分は手伝う。
その二分とは火事と葬式のことで。それだけ葬式は手がかかる大変なことだったわけだ。
それを今は葬儀会館がすべてやってくれる。
某葬儀会館では祭壇だけで60万円、あれこれ合わせて最低100万円はかかるそうだが、東京ではもっと高いと聞く。
家族葬は安いというイメージがあるが、金額的には変わらないし、香典をもらわないから、かえって高くつく。
だけど、自宅で葬儀をするのは面倒だし、近所の人には頼みにくい、お金がかかっても楽をしたいということで、葬儀会館は次々と建てられている。
自分たちでやっていたことを、金を出して頼むようになったという傾向の表れの一つが、地域での助け合いよりも自衛隊に、となってるんじゃなかろうか。
そんなことを考えていたら、「雪害地域への自衛隊派遣を検討」というニュース。
自衛隊員が民家に泊まり、屋根の雪下ろしを、喜ぶお年寄りの笑顔、というような映像がテレビに流れることになるのだろう。