三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

青草民人「戦争の美化」

2006年01月02日 | 青草民人のコラム

8月6日の広島の原爆の日、9日の長崎の原爆の日、15日の終戦記念日は、戦争というものに対して深く考えさせられる日である。
戦争を体験したことのない私にも、この日は、人が傷つけあうことの愚かさと時代の波に飲まれて死んでいった人々の無念さを痛切に感じる。
もう一つ、12月7日は、日本が真珠湾を攻撃した開戦の日。

戦後60年の節目を迎え、最近では日本人の危機意識に警鐘をならし、国家としての独立性を軍備の再編に求める気風が増している。
自己防衛力を高めることは、世界の警察を自称する米軍との安全保障条約にもかない、日本の自衛隊がある程度自立することで、米軍の国際的役割もさらに強化できるとする意見もある。

最近、頻繁に太平洋戦争中の潜水艦や戦艦、自衛隊の護衛艦を扱った映画が公開されているが、国民のナショナリズムに訴え、自国を武力で守ることの正当性を強調し、軍備の増強を肯定する風潮にある。
白い軍服を身にまとい、統率のとれたたくましい海軍の男たち。
人気のある俳優が演じ、かっこよく死んでいく。
愛するものを守るために命をかけて戦うことの美しさ、すばらしさ。
そういった、現実とはまったく違う戦争の世界を、映像は美しく描き出す。

戦争の愚かしさは、愛するものを守るために他人が愛するものを殺すことである。
戦う相手は未知の国からきたエイリアンではない。

自国民以外を鬼畜とよび、人間扱いしなかった歴史をしっかり見つめ、戦争を美化することなく、回避する感性を大切にしたい。

戦争とは、自分以外の人間を見失うことである。
自分にある命と同じ命を相手ももっている。
自分が愛する家族と同じくらい愛されている家族が相手にもいる。

戦争で尊い命を犠牲にされた方々に捧げるのは、強い日本国の姿ではなく、平和な世界の繁栄の姿であるに違いない。

コメント (3)
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