今年もいよいよ師走。
街中にクリスマスツリーの明かりとジングルベルの軽快な音楽が流れ始めた。
今年は一体どんな年だったのだろう、と感傷にひたる間もなく、忙しさに追われて毎日を送っている。
雪がちらつく時期になんだが、日本人の好きな花は何といっても桜であろうか。
毎年のように「桜」という歌がヒットチャートに上がってくる。
年が明けて三学期の卒業式間近になると、哀愁をおびたメロディーとともに、別れを意識した歌詞が中高生の心をゆさぶる。
本来ならば、四月の入学シーズンを彩る桜だが、春爛漫の華やかさよりも散り際の潔さやはかなさのほうが、日本人の心をとらえるようである。
師走といえば忠臣蔵。
浅野内匠頭の辞世の句も「風さそう花よりもなお我はまた春のなごりをいかにとかせん」と、散る桜を自分に喩えた歌であった。
今年の師走も有終の美を飾るような話題は見当たらない。
巷をにぎわすクリスマスの軽快な音楽とは裏腹に、暗く横たわる現実の闇の深さに戸惑いを覚えるのは、私一人だろうか。
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