「主人を亡くして一年以上経つが、私は何のために生きているんだろうって思う事がしょっちゅうあるよ」
ふっと友人のHさんがつぶやいた。
一緒に老後を過ごすはずだった最愛の夫を病気で亡くし、一人で迎える老いに不安を感じている彼女。
さぞつらいだろうと想像し、理解はしているが、私達は経験していないから共感はできない。
それを聴いたWさんがすかさず、
「ご主人がまだ来るな、って言ってるんだよ。あなたが死んだら、あなただけの命じゃない。息子さん達を含め、又悲しむ人がいるんだから・・・。生きることが義務なんだよ」
Wさん、良い事言いますねえ。
動物を飼ったり、植物を育てたりする日々の世話があると気も紛れるだろうが、それもできないようだ。仕事や子育てはすでに終わっている。
悲しみは分かち合えないものね。
せいぜい外に引っ張り出したり冗談を言ったりして、生きられなかったご主人の分まで生きてもらうえるように願うしかない。