信が迷う・・というのが迷信である。^^ 信が迷う・・のは少し疑問だが、その迷信には人々をそう思わせる力があるのに違いない。でなければ、人々は信じず、迷信とはならないからだ。迷信には人々を説得させる力が必要・・ということだろう。
とある宗教団体の集(つど)いである。興味本位で訪れた人々が教主のマジックに踊らされ、すっかりその気になっている。
「古くから私達は迷信と思ってきました。しかし、このように、現に迷信ではない事実を、皆さんは目(ま)の当(あた)たりにされたはずです。疑問など少しもないのです…」
教主は入信しようとする人々を見回し、厳(おごそ)かな声で、そう言い放った。誰も話す教主の言動を疑問に思う者はなかった。しかし、そのときである。一人の子供がポツンと小さな声で言った。
「なんだっ! 僕、そのマジック、知ってるよっ!」
マジックと言われた教主は形無(かたな)しである。その途端、人々から割れんばかりの拍手が湧き起こった。宗教団体の集いは、いつの間にやらマジックの集いへと変化したのである。
このように、迷信への疑問は、いとも容易(たやす)く解(と)けることになる。^^
完