水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

涙のユーモア短編集 (78)時差

2023年10月31日 00時00分00秒 | #小説

 なにも悲しいそのときに涙が出るとは限らない。それは恰(あたか)も、鋭利(えいり)な刃物で深い切り傷を負ったときによく似ている。浅い剃刀(カミソリ)傷なら、すぐ血が噴き出るが、深く鋭い傷の場合は、しばらくしてから血が激しく出る訳だ[静脈の出血であり、動脈なら、たちまち激しく噴き出る]。そのときは悲しくなかったものが、あと後(あと)になって時差を経て涙に暮れることもある訳だ。今日はそんな時差で流す涙のお話です。^^
 不慮の出来事でご夫人が身罷(みまか)られた、とある家庭のその後である。葬儀も過ぎ、四十九日を経てお骨納めも過ぎ、そろそろ悲しみも薄れる頃のある日である。
「ぅぅぅ…」
 家族を囲んで楽しい夕食が始まろうとしていた矢先、それまで気丈で涙すら見せなかったご主人が突然、嗚咽(おえつ)を上げて泣き出した。それも特上のサーロインのすき焼き肉を鍋か箸(はし)で摘(つ)まみ上げた瞬間だった。
「…どうしたの?」
 訝(いぶか)しげに長女が父親のを窺(うかが)った。
「あいつ、このサーロインのすき焼きが好物だったんだっ! ぅぅぅ…」
 ご主人の時差の涙は、その後も続いた。残された三人の子供は、箸が進まないご主人を無視し、美味(うま)そうに炊き上がったすき焼きのサーロイン肉を、卵につけてパクパクと食べ尽くした。
 悲しい時差の涙は、個人だけのもののようです。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (77)混合型

2023年10月30日 00時00分00秒 | #小説

 笑いながら泣くという混合型の涙の出方もある。むろん、笑いながら怒るという特技をお持ちのお方もおられようが、そこはそれ、今日の場合は笑いながら涙を流すお方のお話です。これが天然ではなく、特技で笑いながら流される涙なら芸能方面にお向きで、一般社会でお暮しというのはもったいないと言えるでしょう。^^
 とある市役所の生活環境課である。血相変えて庁舎へ飛び込んできたのは
この課の職員、平藤(ひらとう)である。苗字のとおり平藤は定年間近い万年ヒラ職員で、出世の見込みはない、と自他ともに認める天然の男だった。^^
「どうしたっ!?」
「課長、豚が子豚を産みましたっ!」
 平藤は課長の凧坂(たこさか)に笑いながら涙を流し報告した。
「そ、そうか。それはよかったじゃないか、ははは…」
 毎度のことだったから、凧坂は適当にあしらって笑った。平藤の話に付き合えば優に小一時間は取られ、仕事どころの話ではなかったからである。
「それも、僕が思っていたより二匹も多かったんです、課長っ! ぅぅぅ…、ははは…」
 死にかけていた豚が、全快して子豚を産んだのが余程(よほど)嬉(うれ)しかったのか、天然の平藤は涙を流しながら笑い続けた。
「そうかそうか、それはよかったな、ははは…」
 課長の凧坂は、混合型かっ! 笑うか泣くかどちらかにしろっ! …とは思ったが、長話になるのもなんだな…と判断し、思うに留めた。
 このように、天然のお方は混合型で涙が流せるのです。ただし、他の人達の迷惑にならないよう注意しましょう。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (76)泣いて…

2023年10月29日 00時00分00秒 | #小説

 泣いて馬謖(ばしょく)を斬る・・という故事が中国にはある。斬りたくはないのだけれど、やむを得ず涙して斬る・・という辛(つら)い決断を意味する。今日はそんな泣いて…涙するお話です。^^
 とある物流会社、豚足(とんそく)物産である。会社の業績が前年度より半減し、会社は経営規模を縮小し、多くの事業からの撤退を余儀なくされていた。
「会社の方針で君には誠に申し訳ないんだが、早期退職をしてもらうことになってね…」
 課長の山羊岡(やぎおか)は社員の牛田(うしだ)に言い辛(づら)そうに小声で告げた。
「分かりました…」
 牛田は頷(うなず)くと、言い返しもせず素直に自席のデスクへと戻った。会社が飛ぶ鳥を落とす勢いの頃は稼ぎ頭(がしら)と呼ばれた牛田だったが、斜陽の会社ではその実力を発揮できなくなっていたのである。山羊岡は牛田の後ろ姿に、泣いて…涙した。その数分後、山羊岡のデスク上のインターホンが鳴った。部長の馬坂(うまさか)からだった。山羊岡は部長室へ向かった。
「会社の方針で君には誠に申し訳ないんだが、早期退職をしてもらうことになってね…」
 部長の馬坂は課長の山羊岡に言い辛そうに小声で告げた。
「分かりました…」
 山羊岡は頷くと、言い返しもせず素直に部長室から出ていった。会社が飛ぶ鳥を落とす勢いの頃は出世頭と呼ばれた山羊岡だったが、斜陽の会社ではその実力を発揮できなくなっていたのである。馬坂は部長室を出ていく山羊岡の後ろ姿に、泣いて…涙した。その数分後、馬坂のデスク上のインターホンが鳴った。専務の鹿尾(しかお)からだった。馬坂は専務室へと向かった。
「会社の方針で君には誠に申し訳ないんだが、早期退職をしてもらうことになってね…」
 専務の鹿尾は部長の馬坂に言い辛そうに小声で告げた。
「分かりました…」
 馬坂は頷くと、言い返しもせず素直に専務室から出ていった。会社が飛ぶ鳥を落とす勢いの頃は経営の神様と呼ばれた馬坂だったが、斜陽の会社ではその実力を発揮できなくなっていたのである。鹿尾は専務室を出ていく馬坂の後ろ姿に、泣いて…涙した。その数分後、鹿尾のデスク上のインターホンが鳴った。社長の鳥目(とりめ)からだった。鹿尾は社長室へと向かった。
「君には誠に申し訳ないんだが、我が社が会社更生法の適用を受けることになってね…」
 社長の鳥目は専務の鹿尾に言い辛そうに小声で告げた。
 結局、豚足物産の全員が、泣いて…涙することになったのである。
 世の中とは、そんな世知辛(せちがら)いものなのです。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (75)怒られる

2023年10月28日 00時00分00秒 | #小説

 怒られる事態となれば、誰だって青菜に塩となる。反発して怒り返せば事態はさらに深刻となり、トラブルあるいは口喧嘩へとエスカレートするから注意が必要だ。怒られることで、ぅぅぅ…と涙が出る事態は子供時代が多く、大人になって涙を流す場合は、怒られる内容が本人にとって非常に辛(つら)い場合に相違違ない。今日は怒られるときに出る涙のお話です。^^
 (74)に引き続き、とある町役場である。課長の蒲田(かばた)は次長昇進が見送られたのが堪(こた)えたのか、すっかり落ち込んでいた。
「課長、最近元気がないな…」
「ああ、そうだな…」
 大船(おおふな)は隣のデスクに座る太秦(うずまさ)に小声で呟(つぶや)いた。その声は敏感な課長の蒲田の耳にも当然、聞こえていた。蒲田はどういう訳か無性に腹が立った。大船と太秦ではなく、ショボい自分の心に腹が立ったのである。
「大船、ちょっと来てくれっ!」
 蒲田のそんな心が大船を呼びつけた。
「はいっ!」
 少し驚いて、大船は蒲田のデスクへと急いだ。
「この、議事録書な、少し脱字があったぞっ! 注意してくれないと困るじゃないかっ!」
「はあ、どうもすいません、昨日、お渡ししたのも間違ってましたか…」
 怒られることになった蒲田は意味が分からず訝(いぶか)った。というのも、脱字があった個所を修正し、昨日、蒲田に手渡したからだった。
「昨日?」
 蒲田はそのとき、ふと気づいた。昨日の差し替えの紙を見落としていたからである。怒った蒲田は心で、ぅぅぅ…と涙した。
 怒られる人が必ず涙するとは限らないようです。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (74)影

2023年10月27日 00時00分00秒 | #小説

 表立っては見せないものの、影で流す涙というのがある。グッ! と我慢して抑えた涙である。辛抱してトイレへ駆け込み、用を足してホッ! とした気分に似ていなくもない。^^ 今日は梅雨前の薄墨色の空を見ながら、そんなお話をしようと思います。^^
 早春のとある町役場である。春の人事異動が近づき、誰もが浮足立っていて、心が地に着いていない。
「蒲田(かばた)課長、どうも次長らしいぜ…」
「そろそろ、だからな…」
 課員の声が小さく耳に入り、課長席の蒲田は満更(まんざら)でもない気分でデスク上のパソコンのキーを叩いた。数年に一度は異動がある・・というのが通例になっていたから、職員全員が保身に身を窶(やつ)す時期でもあった。
「大船(おおふな)君! ちょっと!」
 蒲田は小声で呟(つぶや)いていた二人のうちの一人、大船を呼んだ。
「はいっ! なんでしたか?」
「いや、なに…。この前の議事次第書ね、アレでいいよっ!」
「ああ、でしたか…」
 大船にすれば、なんだそんなことか…くらいの気分である。
「これからも、よろしく頼むよ…」
 いよいよ次長か…という気分を影で隠し、蒲田は今年もこの課に居座ることを暗に示した。
「はあ、こちらこそ…」
 そう返すしかない大船は、今の話、聞こえたか、拙(まず)いな…という気分を隠し、笑顔で軽く礼をすると自席へと戻った。
 その二日後、内示が発令された。しかし、待てど暮らせど、蒲田にはお呼びがなかった。
「おいっ! 課長、居残りらしいぜ…」
「なんだ、今年もかっ!」
 そんな大船達の小声が課長席の蒲田の耳に、また届いた。蒲田は席を立つとトイレへ向かい、トイレの大便器の中で水洗音とともに泣き、影で涙を流した。
 課長さん、来年がありますよっ!^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (73)法律

2023年10月26日 00時00分00秒 | #小説

 法律で涙された方も最近の世の中では多いことだろう。法律で涙した者が多い…はて? と、訝(いぶか)られると思うが、ズバリ言えば労働者派遣法である。誰がお考えになった法律かは知りませんが、戦後最悪の労働法制と巷(ちまた)で囁(ささや)かれるほどの悪法のようだ。人権を物件と同じようにエクスペンタブルズ[最近、観た三大巨頭ご出演のハードアクション外国映画^^]、要するに派遣社員などと称して消耗品扱いする労働者泣かせの法律なのである[この文面は左に傾いていますが、事実だから仕方ありません]。ということで、でもありませんが、今日は法律で涙する一労働者のお話です。^^
 とある市のハローワークである。一人の男がハローワークの係員と対峙(たいじ)し、涙している。
「ぅぅぅ…そんなっ! それじゃ、うちの家族が食べていけませんっ!」
「そんなことはないでしょ。次から次へと派遣されればいいんですから…」
「ぅぅぅ…そんな上手(うま)くいきますかねぇ~?」
「それはあなたがお勤めになる会社との折り合い次第でしょ」
「ぅぅぅ…そんな無責任なっ!」
「私は責任ある紹介をしてるつもりです。社会の法律が、そうなってるんですから…」
「そこを、なんとか…」
「…私に言われてもねぇ。個人的には、なんとかしてあげたいんですが…」
 係員は男の応対に苦慮し、言葉を濁(にご)した。
「ぅぅぅ…」
 男は、ふたたび泣き始めた。デスクの上が涙でビチョビチョになっている。係員は自前のハンカチをそっと男に差し出した。
 このように、困る法律が一度(ひとたび)定まると、人々は涙に咽(むせ)ぶことになるようです。永田町の皆さん、ご参考に…。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (72)見えるもの

2023年10月25日 00時00分00秒 | #小説

 同じものを見ていても人の目はそれぞれ感覚が異なり、違って見えるようだ。例えば青空にポッカリ浮かぶ雲の形一つとってもそうで、ある人はアンパンに見えるかも知れないし、またある人はホンワカ湯気(ゆげ)を立てる肉饅(にくまん)を想像するかも知れない。今日はそんな視覚で涙した人のお話です。^^
 とある河川敷の草原(くさわら)に座り、二人の老人が青空に揚(あ)がったゲイラカイトを見上げている。風も適度に吹いていて、凧(たこ)揚げには絶好の凧日和(たこびより)である。
「時代も変わりました。洋風凧ですか? ずいぶん高く揚がりましたな…」
「そうですなぁ、私も凧はよく揚げたものですが…」
 頷(うなず)いた老人の目には涙が光っていた。
「どうかされましたか?」
「いや、なに…遠い昔を、ふと想い出したもので…」
 その老人の想い出は、子供の頃、凧揚げをして帰った夕暮れ、揚げてくれた祖父が突然、急死した・・という悲しい出来事だった。老人には青空に揚がるゲイラカイトが子供の頃に揚げた凧に見えたのである。もう一人の老人には高くまで揚がるただの洋風凧としか見えていなかった。
「ほう…そんなことがありましたか。それはそれは、お気の毒なことで…」
 涙の訳を聞かされた老人は納得し、悔(く)やみを言った。
「ははは…遠い昔の話です」
 涙ぐんだ老人は、愉快に笑った。
 このようにフツゥ~に見えるものでも、時として涙ぐむこともある訳です。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (71)思わず

2023年10月24日 00時00分00秒 | #小説

 思わず、ぅぅぅ…と涙することがある。それは突然、感極まったときが多い。今日は、そんな涙のお話です。^^
 とある田舎の役場である。
「餅肌(もちはだ)君、言っといた資料は出来てるか?」
「はい、議会用の資料でしたね…」
「ああ、そうだ。見せてくれっ!」
 課長の井路目(いろめ)は餅肌にそれとなく小声で言った。明日のことだから、餅肌も用意周到に準備はしていた。餅肌が井路目に言われた資料を取り出そうとしたとき、突然、餅肌の携帯が鳴った。
「はい、餅肌ですが…。えっ! はいっ! すぐにっ! ぅぅぅ…」
 突然の電話に、餅肌は思わず涙した。
「どうかしたのかね、餅肌君?」
「妻が出産したらしいです…」
「ええっ! そりゃ目出度いじゃないかっ! おめでとう!! すぐ病院に行ってあげなさいっ!」
「はいっ! しかし、明日が議会ですし…」
「議会は議会だけのもんさ。すぐ行ってあげなさいっ! 届けはあとから出せばいいから…」
「はいっ!」
 餅肌は取るものも取り敢(あ)えず 役場を飛び出した。餅肌の目には、思いもしない涙が思わず溢(あふ)れ出た。

 ※ 本作は(69)のスピン・オフ作品です。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (70)涙を出す成分(せいぶん)

2023年10月23日 00時00分00秒 | #小説

 涙を流し、それが頬(ほお)を伝って口へ入ればショッパい。薄々ながらも、涙には塩分が含まれてるな…くらいのことは、思うでなく誰もが感じることだろう。事実はそのとおりで、検索結果によれば<98.0%が水で、その他は約1.5%のナトリウム・カリウム・アルブミン・グロブリンなどと、0.5%の蛋白質が含まれている>とある。感じるショッパさはナトリウムの成分(せいぶん)によるものらしい。では、涙を出す成分とは? 今日はそんなお話です。^^
 とある大学の研究所で、とある実験が行われている。
「先生っ!!」
「どうした、丸禿(まるはげ)君っ!」
「め、目から涙が…」
「ああ。それは見りゃ分かるよ…」
「どうして出るんですか?」
「んっ!? どうしてって、君。そのフラスコに入れた物質の成分じゃないか?」
「でも、先生は涙を流してませんよね?」
「ああ、私は大人物だからね。これくらいの成分では、ははは…」
 助手は自分が小人物だと言われたような気がしたのか、少しショボくれた。
 涙を出す成分に影響されるのは個人差があるようです。^^

                   完


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涙のユーモア短編集 (69)赤ちゃん

2023年10月22日 00時00分00秒 | #小説

 赤ちゃんは、よく泣く。そんなに泣くことがあるの? と首を傾(かし)げたくなるほど、よく泣く。声が大きい割に涙の量は少ないようだ。理由は、赤ちゃんに直接、訊(き)いていないから分からない。^^ 今日は、そんなお話です。^^
 とある産院である。生まれたばかりの赤ちゃんに会おうと、父親が役所を抜け出して駆けつけた。生まれたばかりの赤ちゃんは母親の横でスヤスヤと寝息を立てている。
「ちょっと、抜けてきたよ…」
「明日は忙(いそが)しいって言ってたでしょ。夜でいいのに…」
「ははは…初めての我が子だぜ。そんな訳にはいかないさ…」
「そおう?」
「おおっ! よく眠ってるなっ!」
 そのとき、父親の動きで目覚めたのか、赤ちゃんが目を開けた。
「あっ! 起きた起きたっ!」
 父親は興奮ぎみに声を少し大きくした。その途端、赤ちゃんは涙を浮かべ大声で泣き始めた。父親はギクッ! と驚いてベッドから少し遠のいた。
『…本当に俺の子か?』
 心の中でふと、そう思った父親だったが、女性の看護師のオムツを取り替える動きを見て、『まあ、そうなのか…』と安堵(あんど)した。よくよく考えれば、何に安堵したのか? という訳が父親にも分からなかった。父親は知らず知らずのうちに、指を折りながら頭の中で何やら数え始めた。
「やはり俺の子か…」
 そう呟(つぶや)き、ふたたび安堵した父親は、もう一度赤ちゃんを覗(のぞ)き込み、心の中で嬉(うれ)し涙を流した。赤ちゃんはそんな父親の心を知ってか知らずか、オシメを取り替えてもらった心地よさで無邪気に笑い始めた。
 赤ちゃんが泣いて涙すると、いろいろと関係者は戸惑うことになるようです。^^

                   完


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