水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スピン・オフ小説 あんたはすごい! (第百二十七回)

2010年10月31日 00時00分02秒 | #小説
  あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第百二十七回
あとから気づいたことだが、会社で何げなく話していた時、それは発覚した。
 早希ちゃんとの初詣も終わり、数日すると新年の初出勤となった。
「いやあ、参りましたよ。お邪魔になるだろうと思い、早々に退散しましたが、まさか課長が若い娘(こ)と歩いてるなんて、思ってもいませんでした」
「ははは…、私だってまだひと花、咲かせるつもりなんだ。まさか、とは聞き捨(ず)てならんぞ」
 私は笑いながら、児島君に冗談めかして云った。
「あの時は云ってなかったんですが、妙なことがありましてね。それで私は新眠気(しんねむけ)の友人を訪ねたんですよ」
「なんだい? 妙なことって」
「いや、それがですね。あの日は、正月二日でしたよね?」
「ああ、そうだったな」
「それが…」
「どうした?」
「信じてもらえないでしょうが、お話しします。実は、あの日の朝はいい気分で一杯、飲んでたんですよ」
「そりゃ、正月だからね。…それで?」
「銚子を一本ばかりチビリとやってますと、急に友人の顔が浮かびましてね。無性に会いたくなったんですよ」
「そりゃ、そういうことだってあるだろうさ。仲がいいなら尚更(なおさら)だ。思い出した訳だなあ。…完璧に信じられるられる話だが、それがどうかしたの?」
 私は児島君がなぜ云い渋るのか不思議で、しようがなかった。

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残月剣 -秘抄- 《残月剣④》第五回

2010年10月31日 00時00分00秒 | #小説

        残月剣 -秘抄-   水本爽涼

          《残月剣④》第五

幻妙斎も、それが分かっているから、千鳥屋で細かな注文はつけなかったのだ。ただ、左馬介が編み出した新技を盤石のものとせよ…という内容を云ったに過ぎない。
 小部屋で行灯に火を入れ、その灯りを頼りに、懐紙を小机に広げて筆を取る。その筆は、かつて一馬から左馬介が貰った舶来の一品である。矢立ては兄の市之進が道場へ入門する前に持たせてくれたものだ。矢立てを見、この筆を握ると、兄や一馬が力を与えていてくれるような気がする左馬介であった。机に向かい、脳裡に座した自分を思い浮かべ、更には、その自分を空中から見て想う。 計略づくで身を躱(かわ)すことなどは出来ないが、或る程度は場合別けて考えることが出来る。その為に紙に書き留める腹なのだ。静かに眼(まなこ)を閉じて自らを解脱すれば、脳裡に浮かぶのは面防具を着けて座す己(おのれ)自身である。そして辺りはと見れば、長谷川と鴨下が周りを取り囲むように静かに円周を回っているのだ。その円の径は凡そ三間(げん)、即ち、左馬介から各々が一間半ばかりの距離で回っている寸法である。当然、左馬介の脳裡に浮かべた下に見える自分の右脇の床板には、竹刀が置かれている。その自分は胡坐をかいた両膝の上へ手を乗せ、二人を待ち構えているという寸法なのだ。


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スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第百二十六回)

2010年10月30日 00時00分00秒 | #小説
  あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第百二十六回
「分かりましたよ、課長。そう向きにならなくてもいいです」
「なに云ってる!」
 私は少し意固地になっていた。そこへ早希ちゃんがタイミングよく、割って入った。
「こちらは?」
「ああ…、会社の部下だよ」
 少し偉(えら)ぶって早希ちゃんに説明する自分がいた。云ったあと、なんだか私自身がちっぽけな人間に見え、嫌(いや)になった。
「あっ、僕、児島っていいます。課長にはいつもお世話になってます」
「そうなんですか? 私、みかんの早希っていいます。是非、お店にいらしてね」
 早希ちゃんは児島君にバッグの名刺を手渡しながら、愛想よい笑顔で云った。誰にもこの笑顔かい…と、私は自分がそう思われている訳じゃないんだ…と気づき、意気消沈した。
「ところでさ、君がなぜここにいるんだ?」
 落ちつくと、最初の疑問がまたぶり返した。
「あー、そのことですか。なあに、友達の家がこの近くだからなんです。寄った帰りに神社があったもんで、そういや初詣してなかったなあと思いだし、お参りさせてもらったんですよ」
「なんだ、そういうことか」
「ええ、そういうことなんです」
 私と児島君は顔を見合せて笑った。どうもこれは、玉の霊力による出来事じゃなさそうだ…と思うと、急に私の心は軽くなった。ところがそれは、玉の霊力が児島君をその気にさせた…というのが事実で、私はまだそのことに気づいていなかった。

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残月剣 -秘抄- 《残月剣④》第四回

2010年10月30日 00時00分00秒 | #小説

        残月剣 -秘抄-   水本爽涼

          《残月剣④》第四

残月剣のことのみを慮(おもんばか)っていなければならぬ左馬介なのだが、そういった眼の前に映るもので心を擽(くすぐ)られたりすると、自分は未だ駄目だ…と、思えるのであった。廊下を曲がり小部屋へと左馬介は近づいた。ここも、賑わっていた二年も前は、各部屋とも満杯で、ぎっしりと詰まっていたものが、今は蜘蛛の巣が戦(そよ)ぐ部屋の方が多い有様だった。左馬介の使っている小部屋は、そういうことはない。どれほど暇がなくとも、最小限は整える左馬介だった。寝床に布団を敷いて眠ると、久しくなかった足冷えがした。もうそんな候になったのか…と思う左馬介であった。道場裏で夏場にやっていた隠れ稽古も、残月剣の形(かた)が一応の完成を見てからというもの、少し遠退いていた。と云うものの、皆無というのではない。怠れば、未だ盤石とは云えぬ残月剣の腕が萎える恐れがあった。それは取りも直さず、技の冴えを失するということなのだ。それくらいのことなのだが、流石に左馬介には分かっていた。とは云え、もはや技として上を目指すには、他人を交えての稽古でなければ結果が出そうにはなかった。そんなことで、隠れ稽古を怠っているという訳ではないが、遠退いているのである。裏を返せば、それだけ左馬介の剣技が向上して、冴え渡っていることを意味した。


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スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第百二十五回)

2010年10月29日 00時00分02秒 | #小説
  あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第百二十五回
だから、どうなんだ? と問われれば、答えに窮する私であった。自分でも、もどかしいのだが、なんか今一、アグレッシブさに欠けるのである。一歩一歩、石橋を叩いて渡る…独(ひと)り相撲的性格の私だから仕方がない…と云えばそれまでだが、寄り切り、寄り倒し、上手投げ、猫だまし…何でもいいから勝ちたいとは思った。二人の関係に進展がないのには早希ちゃんの性格が幾らか影響しているようでもあった。私が彼女の気を引こうとすると、決まって出鼻をくじかれたから、私の攻めは続かず、その場で絶ち切れとなるケースが多かった。まあ、それはともかく、私達は三十分後、私が住む新眠気(しんねむけ)の氏神様をお祀(まつ)りする安楽(あんらく)神社へ詣(もう)でていた。何人かの初詣の人が通り過ぎ、私達を見てニタリ顔でお辞儀した。『これはこれは、お二人で…』とか云いたげなニタリ顔に思えるのだが、私としては笑顔の軽いお辞儀で返すしかなかった。これが知り合いなら事情を云い、変な先入観を取り除けるのだが、赤の他人だから仕方がなかった。玉の霊力ではないのだろうが、そう思った矢先、不思議にも進行方向の拝殿前に児島君が立っていた。
「おい! 児島君じゃないか。こんなところで遭(あ)おうとは…」
「いやあ、課長…。こちら、誰ですか?」
 他人と同じニタリ顔で児島君は私達を見た。
「そ、そんなんじゃないんだ!」
 私は噛みながらも、弁解に努めていた。

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残月剣 -秘抄- 《残月剣④》第三回

2010年10月29日 00時00分00秒 | #小説

        残月剣 -秘抄-   水本爽涼

          《残月剣④》第三

「いや、用向きというのではないのです。先生にひと目と思うた迄です…」
 左馬介は、すんなりと要点を語った。
「先生? 先生が千鳥屋に逗留されておられると云うのか? 何ゆえ、先生が千鳥屋におられるのだ。どうも俺には合点がいかぬ」
「話せば長くなりますので、故あって…とだけ、今は申し上げることにしましょう。委細は改めて、少しずつお話しさせて戴きます」
左馬介は角が立たぬよう、下手に出た。長谷川も、左馬介にそう云われては二の句が継げず引き下がるしかない。故あって、と左馬介が云う以上、そうなのだろうし、今は話せぬようだから、煽って語らせるというのも、師範代として如何なものか…と思えたのである。
 庭で、晩秋を告げる枯れ落ち葉が、時折り、かさこそと風に流されるのが見えた。季節は既に冬に向けて真っしぐらで、日没の早まったことが、更にその到来を間近に感じさせる。午後の稽古を終える刻限も、酉の上刻から申の下刻に変わっている。今では叩かれることもなくなった魚板が、土埃を浴びて、寂しく風に揺れていた。左馬介は廊下を歩きながら、ふと、大男の神代伊織が早朝に叩いていた姿を思い浮かべた。入門の頃、物音に興味が湧き、何げなく覗いたのだ。大勢の門弟で咽返っていた道場が、今では自分を含めても三人なのである。それは誠に寂しい限りなのだが、幻妙斎が新入りを採用しない以上、仕方がなかった。


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スピン・オフ小説 あんたはすごい! (第百二十四回)

2010年10月28日 00時00分02秒 | #小説
  あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第百二十四回
そんなことはないだろう、と笑われるかも知れないが、早希ちゃんに下心があった訳ではなく、ただ今までの鬱憤(うっぷん)を思い浮かべただけだった。それが、霊力の波、ここでは敢(あ)えて霊波と呼ばせてもらうが、私が思ったその霊波が、みかんの酒棚に置かれた水晶玉へと届き、…これも正確には背広ポケットに入れた小玉を中継してなのだが、その玉の判断により霊波で早希ちゃんに電話をかけさせた…という筋に思えた。それは、彼女がタイミングよく私に電話してきたからだが、確信できるとまではいかず、偶然、私の思いが早希ちゃんの電話と重なったんだ…ぐらいに流していた。早希ちゃんはそんなことを私が考えているとは全然、知らぬげで、食べ終えた食器を洗っていた。
「ママがね、満ちゃんによろしく、って云ってたわよ」
「えっ? ママはここへ来たのを知ってんの?」
「もちよっ。だって、あのあと、私、電話したもん…」
 そうか…早希ちゃんは私に、そこまでの気はないんだな、と思った。気があれば、ママに電話などせず、ここへ来るはずだからである。それでも、彼女の一挙手一投足を見ていると、そうでもないような、またあるような感じで、今どきの娘(こ)なんだ…という気になっていた。どうも玉は、そこまでの霊波を彼女に送っている訳ではなさそうだった。
「どうだい? これから初詣(はつもうで)にでも行こうか?」
「そうね…、別にいいけど」
 中途半端ながら一応、早希ちゃんはOKした。

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残月剣 -秘抄- 《残月剣④》第二回

2010年10月28日 00時00分00秒 | #小説

        残月剣 -秘抄-   水本爽涼

          《残月剣④》第二

「そんなことでしたか。そりゃ、よかった。実は少し、そのことが気掛かりだったのですよ」
 二人は互いの顔を見合わせ、大笑いした。その時、玄関へ長谷川が現れた。
「おう! 帰ったか、左馬介。心配かけおって」
 そうとだけ、ひと言、長谷川は漏らすと、また奥へと消えた。左馬介としては、幻妙斎に対する心配ごとは、ひとまず消えていたし、今の鴨下や長谷川への気遣いも無用と分かり、全く蟠(わだかま)りは消え去っていた。
 結局、そう大ごとにもならず夕餉となった。左馬介としては、それでも一通りの説明は必要だと思えたから、千鳥屋での経緯(いきさつ)を夕餉が済んだ後に世間話でしようと思っていた。ところが、夕餉の最中に長谷川の方から話題にしてきた。それは左馬介の意表を突いた。
「で、どこへ出掛けておったのだ、左馬介」
 唐突に長谷川の口が開いた。
「えっ? ああ、はあ…。千鳥屋です」
「千鳥屋とな? 詳細は、どうでもよいが、何か、用向きでも出来たのか?」


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スピン・オフ小説 あんたはすごい! (第百二十三回)

2010年10月27日 00時00分02秒 | #小説
  あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第百二十三回
 早希ちゃんが来た…というか、堂々と我が家へ乗り込んだのは、電話が入ってから小一時間した頃だった。電話は七時過ぎだったから、八時頃には来襲したことになる。ということは、その小一時間の間に食材を買ったことになり、彼女の無駄のない動きに私は、ただただ脱帽した。その早希ちゃんの家を私はまったく知らない。でも、小一時間で来れるんだから、そうは遠くないだろう…と私は思った。これは何ヶ月も経ってから分かったのだが、この日の朝、私が一人で雑煮の準備をしながら思っていたことが、現実となったのだった。しかし、ふと私の思ったことが玉に伝わり、その都度、玉か霊力によって早希ちゃんに電話をかけさせたとしたらこれはもう脅威で、今風に云えばチョーキショイ! ってことになる。それに、こんな簡単に私の意志で世の現実が変化するというのも恐怖だった。それはともかくとして、早希ちゃんの手料理が瞬(またた)く間にテーブル上を賑(にぎ)わし、この年の正月は近年、稀(まれ)にみる豪勢な食卓となった。ただ私は、美味い手料理を二人で食べながら手放しでは喜べない心境だった。それは、霊力の介在が影響を及ぼしていたのである。

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特別寄稿(シナリオ) コント ━ バナナを見続ける男 ━

2010年10月27日 00時00分01秒 | #小説

 ━ バナナを見続ける男 ━    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
  登場人物

  男…中年男性(希望キャスト・松本人志氏)
  バナナ… N(男声、女声、どちらでも構わない)


○ 安アパート とある部屋 夜

 うす汚れた部屋。机の上。ただ黒ずんだひと房のバ
 ナナだけがある。それをじっと腕を組んで見続け、
 考え込む一人のうらぶれた男。男を照らす吊り下げ
 られた電球一個の灯り。

○ メインタイトル「バナナを見続ける男」

○ 同 部屋 夜

 両手を合掌して、食べようとするが、ふと思いとど
 まる男。そして突然、絶叫し、ブツブツと呟き始め
 る男。

男「なんでや! なんでお前は黒うなるんや。一週間
  はいけると思てたんや! いや、十日はな(涙声
  で)。お前は生命線なんやで…あかん! 黒うな
  ったらあかん! あかんにゃで~(言い聞かせる
  ように)」
 
 突然、語りだすバナナ。

バナナ「私はバナナです」

男「えっ? (自分の耳を、指で擦りながら)ええ~
  っ! それは分かったるにゃ。分かったるにゃで
  ぇ~~。お前はバナナや。(バナナが話すという
  こと自体を疑うように、バナナを覗き見て)」

バナナ「私は黒くならなければダメなのです。それが
    生命線なのです。私は食べられてナンボのも
    のなのです。分かって下さい~(懇願するよ
    うに)」

男「いや、いやいやいや、それはおかしいわ。それは
  あまりにもワガママや。自分勝手や。そんなら、
  このワイはどうなる? どうなるんやいな? 云
  うて! 云うてんか!(やや切れぎみに)」

バナナ「わ、私にどうしろと云われるんですか?」

男「そんなん…。今、云うたやないか。黒う、黒う
  ならんとってくれたらそれでええんや。簡単な
  ことやないか。バナナな君なら分かるやろ。…
  バナナな君か・・、これは自分でも上手いこと
  云えたな。ほめてあげたい。自分をほめてあげ
  たい。なんや、こんなこと云うてたマラソン選
  手いたなぁ~」

バナナ「何を云っておられるんですか?」

男「なんや! なんにもないわい! 馬鹿にしくさっ
  て…(泣いて)」

バナナ「馬鹿になんぞしておりません。ただ、私は
    私の存在価値を述べたまでです」

男「ほなら、ワイの存在価値はどこへ行ってしもたん
  や? わいはバナナ以下かい! バナナ以下なら
  なんやねん!」

バナナ「…知りません」

男「まあ、ええわ。…百歩、譲って黒うなるのは我慢
  しよやないかい! (急に懇願調の声になり)ほ
  んでいったい、どれだけもってくれんにゃいな?
  十日はいけるんか? 三日は、かなんでぇ~。ほ
  れはあかん。きつい」

バナナ「分かりました。こうしてお話ししてても、切り
    がありません。何とかしましょう」

男「えっ!? どないすんにゃいな?」

 バナナ、突然、純金に変身する。

男「かなんなぁ~。これでは食えんがなっ!(悲しそ
  うに)

 頭を抱えて、考え込む男


○ エンド・ロール

  スタッフ、出演者等

  T「おわり」


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