急成長した、とある小さな会社の部長室である。部長が机の内線電話で話をしている。
「なにっ! 副部長が今日は休んどるだとっ!!」
『はっ! 生憎(あいにく)体調を崩されたとかで、さきほど奥様からお電話が…』
「だったら、部長代理を呼びなさいっ!」
『はっ! 部長代理は、つい今し方、契約先の会社へ向かわれましたっ! すみませんっ!』
「なにも君が謝(あやま)るこたぁ~なかろう」
『はあ…』
「部長代理補佐がおるだろっ!」
『はっ! 部長代理補佐は昼食に出られました』
「課長はっ!!」
『はっ! 課長もご一緒です…』
『だったら、副課長はっ!!』
『はっ! 副課長も、課長代理も課長代理補佐もご一緒です…』
「まだ何も言っとりゃせんじゃないかっ! 先に言うなっ! まあいい…。ということは、係長兼社員の君、一人かっ!」
『はっ! そのようで…』
「じゃあ、君、すぐ部長室へ来てくれたまえっ!」
『いや、いけません、部長!』
「どうしてだっ!!」
『電話番が誰もいません!』
「…」
部長は沈黙し、内線電話をガチャリ! と切った。
よくは分からないが、むやみに肩書きを増やしたとしても、なんの意味もないということだ。要は、肩書きは自己満足のためにある・・という結論になる。^^
完