同じ物事(ものごと)でも気分で結果が変化する。どのように変化するのか? という疑問を解(と)くのも面白い。年が明けたというのに、あんたの頭はまだ明けてないのかっ! と言われればそれまでだが、それもそうなので多くは語らない。^^
とある町の商店街である。朝から気分がいいのか、八百屋の店主が
鼻唄交じりに店頭で品出しをしている。そこへご近所のご隠居が通りかかった。
「♪~~~♪」
「やあ! 朝からご精が出ますなっ!」
「! ああ、これはこれは向こう三軒隣の横丁を入って、右に折れたところを突き当たった家のご隠居!」
「ははは…なにを、まどろっこしいことをっ! ほんそこのご隠居でいいじゃないかっ!」
「いやぁ~こりゃどうも。あっしね、ご隠居。気分がいいと舌が流暢(りゅうちょう)に滑(すべ)るんですよっ!」
「ほう! そうかい。ははは…なんとも気分屋の舌だねっ!」
「そうなんですよっ! そうしますと、上手(うま)くしたもので客足が伸びましてねっ! えへへ…」
「そりゃ、いいことじゃないか。で、気分が悪いと、どうなるんだい? 客がつかんか?」
「ええ、その通りなんで…。そこら辺、ご隠居、どうお思いになられます?」
「どうもこうもないじゃないか。それはねっ、あんたの身体(からだ)から見えないオーラが出てるんだよ、きっと」
「そうでがしょうか?」
「ええ、そうでがすよっ! 気分がいいと+[ブラス]、悪けりゃ-[マイナス]!」
「ご隠居、ほんとですかぁ~?」
「そりゃ、そうさっ! 当の本人が信じないで、誰が信じるっていうんだいっ!」
「ははは…、そりゃ、そうだっ! どうも、すいません! …おやっ! あっし、なぜ謝(あやま)ってんでしょうねっ! とんだ疑問だっ!」
「勇み足だよっ! あんたの負けっ!」
気分がいいと、勇み足で負けて謝ることになるようである。それがなぜか? という疑問は解けない。^^
完