水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

楽しいユーモア短編集 (100)結果

2020年01月04日 00時00分00秒 | #小説

 結果がいいと、楽しい気分になれるのは誰しも同じだろう。人は、いい結果を得ようと試行錯誤(しこうさくご)するが、そうさせまいっ! と妨害(ぼうがい)するのが邪魔(じゃま)である。子供達にも[お邪魔虫]の名で知られた超有名な存在で、悪(ワル)の大スターといったところだ。^^ 残念ながら私達の目には見えず、捕(とら)らえようがないから困りものだ。結果は当然、悪くなり、現実に捕らえられるのは邪魔に刺された人々なのである。邪魔はジャマジャマ…[わははは…]と、いい目をして笑っているだけなのである。人生、出来るだけ邪魔されたくないものだ。^^
 宝くじの当選番号が発表された翌日の、とある会社の屋上である。昼休みなのか、社員達が自動販売機で買った紙コップのコーヒーを啜(すす)っている。
「どうだった?」
「…なにが?」
「なにがって、昨日(きのう)言ってたじゃないか、発表だって」
「ああ! 宝くじの結果か?」
「ソレっ!」
「宝くじは当たったぞ、五等・一万円っ! スゴイだろっ!?」
「よかったなっ!」
 言われた社員は、『なんだ、それっぽっちか…。そんなのは当たったって言わねえんだよっ!』とは思えたが、そうとも言えず、小さく褒(ほ)めた。
「ああ。結果がいいと、いい気分で楽しいぜっ!」
「ははは…だろうなっ!」
 言われた社員は、『そんな額でか? こいつ、小せえなぁ…』と、また思ったが、それも言えず、笑って暈(ぼか)した。
 結果の気分は人の感性で大きく(こと)なり、小さな結果でも、いいと、ものすごく楽しくなる人もいるようだ。^^

                                完


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