水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

逆転ユーモア短編集-4- 思惑(おもわく)

2017年10月31日 00時00分00秒 | #小説

 思うように物事が進まないとき、思惑(おもわく)を逆転すれば首尾よくいく場合がある。もちろん、すべて逆の思惑にすれば上手(うま)くいくのか? といえば、それは保証しかねるが、まあ、そういう場合だってある・・くらいに考えておいて頂ければいいだろう。
 課長の立花(たちばな)は気分が萎(しぼ)んでいた。というのも、また、あの嫌(いや)な来年度予算のガイドライン作成の時期が到来しようとしていたからである。立花が予算要求書に纏(まと)めた案は、すべてがすべて修正され、今まで何一つとして思うように予算計上されなかったからである。それが繰り返し繰り返しとなれば、それは気分も褪(あ)せた花のように萎むというものである。
 だが、何があったのか、その日の立花のテンションは妙に高かった。
「ああ、それね…。桜田君! 今年は同額でいいよっ!」
「ええ~~っ!! 毎年ならもっと削(けず)られるじゃないですかっ、課長!」
 課長補佐の桜田は訝(いぶか)しげに立花を見た。
「もう、いいんだよ、桜田君。削って他へ回したところで、その予算はまた復活するんだから…」
「そうでしたね…。ということは、諦(あきら)めの境地(きょうち)・・というやつですか?」
「いや、そうじゃないんだ桜田君。物事は思惑、一つでね。もう、正面攻撃はやめたんだ俺は。ははは…討ち死にが増すばかりだからな。逆転の発想・・というやつだよ、君。搦(から)め手、搦め手!」
「…搦め手? ですか?」
「そう、搦め手! ヒヒヒ…いつの日か、あんた方、困ることになりますよっ! ってヤツさっ。絡め手は、その日が来るまで、言われるとおりにやるという思惑さ」
「長いスパンってヤツですね」
「そう! 長いスパンさ。人生は長き道を往くが如し。焦(あせ)るべからず・・だ。言ってもダメなら?」
「引いてみなっ!」
「そう、それ…」
「分かりました。では、同額で諮(はか)ります」
「うん、そうしてくれ…」
 立花の気分は咲き誇(ほこ)る花のように開いていた。

                              


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逆転ユーモア短編集-3- 劣化(れっか)

2017年10月30日 00時00分00秒 | #小説

 物は時が経(た)てば劣化(れっか)する。いくら新しくピッカピカの一年生でも、時が経てば、ものすごく、むさくるしいオッサンやオバサンになる。ウッワァ~~! 君があのっ! 可愛(かわい)かった子供かい!? などと言われ、思わずムカッ! としても、それはそれで事実なのだから仕方がない。逆転の発想は、ならば、それなりの年の味わいを見せてやろうじゃないかっ! と、卑屈(ひくつ)にならず開き直る発想だ。開き直る・・ここがポイントである。確かに、年相応の生き方、過ごし方、身嗜(みだしな)みが、あるにはあるのだ。ただ悲しいかな、大半の高齢者がそれに気づいていないのが残念ではある。なにも、高い、あるいはド派手な衣装を身につけて着飾るのが逆転の発想ではない。地味(じみ)な出(い)で立ちの中にも、ピカッ! と隠れて光る瑠璃(るり)色の輝きもある訳だ。もちろん、青紫の瑠璃の光だけでなく、橙(だいだい)色の光もあれば黄色、緑…と、いろいろ光もある訳で、そこはそれ、各人各様なのだが…。
「小林さんは、いつも地味だねぇ~~。立ち居振る舞いもさることながら、身嗜みもシックでさぁ~」
「そうですか? いや、まあ…」
 課長の目館(めだち)とは同期ながら、万年平に甘んじている不居(いず)は、罰(ばつ)悪く、暈(ぼか)して返した。
「私なんか、一日も持たんよ。ははは…」
 そう言いながら、目館は誂(あつら)えの高級背広に付いた埃(ほこり)を片手で払いながら嫌味(いやみ)な笑いを浮かべた。だが、不居は取り分けてどうこう思っていなかった。不居には、誇(ほこ)らず・・という見えないオーラの輝きがビカッ! とあった。課員達が[先輩]と呼んで尊敬する不居と、立場上、仕方なく従っている目館とは、明らかに存在感が逆転していた。目館はすでに人間として劣化していたのである。

                              


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逆転ユーモア短編集-2- 開票

2017年10月29日 00時00分00秒 | #小説

 天雲町(あまぐもまち)の町長選の真っ只中(ただなか)である。天雲町では突然、湧(わ)き起こったスキャンダラスな不倫騒動で女性町長の大神(おおかみ)が憤懣(ふんまん)遣(や)る方なく辞職し、元議長で無所属新人の岩戸(いわと)と元助役で無所属新人の田力(たじから)の二人による選挙へと突入したのだった。対決の構図は、すでに1年前から始まっていた。岩戸に肩入れしていたのは有りもしないスキャンダル記事掲載の雑誌を出した地方雑誌編集長の須佐野(すさの)である。実は、これには収賄の汚職の事実が隠れていた。岩戸による大神町長追い落とし工作だった。無実を訴える町長を擁護(ようご)して立ち上がったのが田力だった。二人の選挙戦は有権者2万数千の町全体を選挙一色に染め、熾烈(しれつ)を極(きわ)めた。
「清廉潔白な新しい町づくりこそがっ! 私の目ざすところでありましてっ! …」
 岩戸は悪役顔を笑顔に変え、訴えた。そして金に物を言わせ、次第に田力を追い詰めていった。なにせ、小さな町である。法に触れないギリギリの買収(ばいしゅう)工作は暗黙の内に着々と進んでいったのである。一方の田力陣営は無実を訴える元町長の大神の支援もあったが、なにせスキャンダラスな雑誌販売は、町民の心に暗い影を落としていた。それでも田力陣営は懸命に戦い、選挙戦は終結を迎えた。
 さて、選挙当日となり町民による投票が開始され、その日は暮れていった。投票率は、95.4%という天雲町、始まって以来の高得票率を記録した。開票作業は即日の午後9時から開始された。田力は善戦したが票が数十票足らず、敗色濃厚となっていた。
「大神さん、やるだけのことは、やらせていただいたのですが、どうもいけないようです…」
 田力は選対事務所で心なしか弱含(よわぶく)みな声で、隣(となり)の椅子に座る大神に呟(つぶや)いた。
「いえ、私の責任です…」
 大神も弱含みな声で返した。そのときだった。
「やっ! やりましたっ!!」
 田力陣営の選対本部長が息も絶え絶えに戻(もど)ってきた。
「…何を?」
 田力と大神は異口同音に訊(たず)ねた。
「ぎゃ! 逆転ですっ!! つっ! 月読(つきよみ)地区の票が漏(も)れ落ちていたようですっ!」
「ええ~~っ!!」
「選管本部が…」
 その頃、選管本部では開票作業が終わろうとしていた。最終開票結果は、僅(わず)か百数十票の差で田力の当選だった。鮮やかな逆転劇だった。
 物事(ものごと)は最後の最後までどうなるか分からない・・という、良くも悪くも戒(いまし)めとなる話である。

                              


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逆転ユーモア短編集-1- 逆転試合  

2017年10月28日 00時00分00秒 | #小説

 テレビ画面にはプロ野球中継が映し出されている。枯葉(かれは)は風呂上りのビールを飲みながらポカ~~ンと、その画面を眺(なが)めていた。公平な立場から、ここでは敢(あ)えて実名は出さず、仮にAチームとBチームの試合としておこう。
 回は4回の表、先攻のBチームが1アウト3塁の好機に犠牲フライで1点を入れた。観ている枯葉としては、おお、入れたかっ! くらいの軽い気分で、Bチームを応援している訳ではないから取り分けて喜ぶでもなく、当然、興奮もしなかった。ところが、観ているうちに[判官びいき]という日本人独特の気分となり、枯葉は得点されたAチームに肩入れしたい気持に傾いていった。夕飯は終わり、風呂も入ったあとだった。加えて、この夜は妻へのサービス日ではなかったから、精を吸い取られない安堵(あんど)感が加味(かみ)され、時間のゆとりも、たっぷりとあった。枯葉は次第にテレビ画面へ埋没(ぼっとう)し、試合に釘(くぎ)づけとなっていった。
 試合は両チームの投手の出来がよかったせいか膠着(こうちゃく)状態となり、回が流れていった。7回の裏、後攻のAチームが2アウト2塁でタイムリーヒットを放った。1-1の同点となり、枯葉は思わず、ふふふっ、よぉ~~っしぃ!! と興奮の声で叫んでいた。妻はすでに寝室の人となっていた。たぶん、今頃は高鼾(たかいびき)だろう…と、絶対に本人の前では口に出来ないような怖(おそ)ろしいことを思うでなく浮かべながら、枯葉は冷蔵庫へ追加の缶ピールを取りに歩いた。チェンジして8回の表になったこともある。そのとき、だった。
『打ちましたぁ~~っ!! これは大きいっ! 入ったかっ?! 入った入った!! 場外へ突き刺さる怒涛(どとう)の打ち上げ花火っ! まさしくっ、火の玉ホームランと言っても過言ではないでしょうっ!!』
 興奮したアナウンサーの雄叫(おたけ)びのような声が大きく響いてきた。2-1となる逆転打である。冷蔵庫にビールは入っていなかった。どうも切れているようだった。
「チェッ! 逆転されるわ、ビールはないわ、 かっ!」
 枯葉は腹立たしくなりながらテレビ前のソファーへ戻(もど)った。その後は悪い意味でコトもなく流れ、いよいよ9回裏となった。このまま2-1で終わると思われた2アウトで打席に立った打者に投手が投げた球がボークとなったから試合は最後の最後まで分からない。
「おおっ! よしよしっ!! いいぞっ、落ちつけっ!」
 枯葉は腕を組み、そう言いながらソファから立ち上がると、ふたたび冷蔵庫へと歩いた。落ちついて探せば、もう1本くらい缶ビールがあるように思えたからである。落葉が、落ちつけっ! と思わず呟(つぶや)いたのは、実は自分に対してだったのである。そのとき、だった。またしても、アナウンサーの叫ぶ声が枯葉の耳に聞えてきた。
『げっ! …劇的なっ!! サヨナラですっ!! サヨナラ、サヨナラ、サヨウナラ~~ッ!!』
 アナウンサーは泥酔状態になった酔っぱらいのような訳が分からない言葉を口にした。そのとき枯葉も劇的な逆転場面を迎(むか)えていた。冷蔵庫の野菜入れの下に隠れるように落ちていた1本の缶ビール・・それは紛(まぎ)れもなく缶ビールだった。枯葉と冷蔵庫の試合も枯葉の逆転で終わったのである。枯葉は心地よい缶ビールで喉(のど)を潤(うるお)しながら、いつもは応援していないチームの勝利に酔いしれた。

                              


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隠れたユーモア短編集-100の2- 皮算用

2017年10月27日 00時00分20秒 | #小説

 儲(もう)けてもいないのに、儲けがあった計算をする・・これが皮算用(かわざんよう)と呼ばれるものである。猟師が狸を獲ったつもりで見入りの金を当てにしたことを[獲らぬ狸の皮算用]と比喩(ひゆ)したことに始まるらしい。思わずニンマリとして、隠れた利得の喜びに北叟笑(ほくそえ)む訳だが、実際に利得があった訳ではないから、その結果にガックリと肩を落とすことになる。まあ、一時(いっとき)の儚(はかな)い夢ともいえる。
 経営者の金有(かねあり)は労働者派遣法を利用して人件費を減らすことで当期純利益を増やそうと、皮算用で考えた。最初のうち収益は改善されたが、企業を考えず、金のためにだけ働く労働者を増す結果となり、企業の力は衰微した。外国資本傘下に身売りする大手企業も出始めた。金有は利益の少なさに、私は金有だが、金が無いなあ…と、儲けの出ないことを馬鹿のように思った。だが、上には上があった。国は世に流通する通貨や紙幣量を増やすことでデフレを克服しようとした。しかし、このデフレはデフレではない隠れた国力の衰微(すいび)に起因していた。分かりやすく言えば、先行き不透明な不安に伴う国民の購買力[需要]低下によるものだったのである。正常な市場(しじょう)の経済状況における需給バランスの崩れに伴うデフレではなかったのだ。その結果は明々白々(めいめいはくはく)、国民は物価高に苛(さいな)まれ益々(ますます)、息苦しくなっていった。ところが、国はこれで景気回復による財源確保が…と獲れない皮算用をした。金有が考えたのは、ほんの小さい皮算用に過ぎなかったということだ。夢を見るのはいいが、皮算用はよくない。

                              


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隠れたユーモア短編集-100の1- 追っかけ

2017年10月27日 00時00分00秒 | #小説

 追っかけ・・とは、好きなタレントや俳優を追っかける人の隠れた俗称(ぞくしょう)である。タレント、俳優が出てくるのを今か今か…と密(ひそ)かに待つ[出待ち]と俗に言われるのが、追っかけの最たる一例だ。ただ、この追っかけも程度もので、一線を超えるとセクハラとかストカー行為として訴えられるから考えものだ。追っかけられる側もある程度なら自分の知名度を知り優越感に浸(ひた)れる・・という特典が加味されている。一般人が有名人になりたい…との想いでプロの道へ入った以上、追っかけられることは、その希望が叶(かな)った現象なのだ。だから、追っかけは、追っかけられる側にとって神様、仏様、キリスト様なのだが、中には、ふん! 追っかけてりゃいいわっ! … などと内心で思っている高慢(こうまん)ちきなタレントや俳優もいるにはいるだろう。だが、概(がい)してそういう上から目線のタメ口思考の者は、いつまで経っても真のタレントや俳優にはなれないか、いつの間にか忘れ去られる・・という哀(あわ)れな末路を辿(たど)ることになる。そのことが、当の本人には分からないのだから、一層、哀れを誘い、ぅぅぅ…と泣ける訳だ。
「えっ? ○□%$…そんなタレントいたか?」
「いただろっ、 #&%に出てたっ!」
「ああ、いたいたっ! 若いやつが結構、追っかけてたもんなっ」
「そうそう。あの高慢ちきな娘(こ)、どうしてるっ?」
「どうしてるって、俺に訊(き)かれても…」
「そりゃ、そうだ…。今は、ただの人か…」
「ただの人じゃないとは思うが、追っかけられてはいないだろうな」
「ああ…」
 追っかけに追っかけられなくなるのは、ある意味で幸せなのかも知れない。

                              完 


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隠れたユーモア短編集-99- 欲求

2017年10月26日 00時00分00秒 | #小説

 欲求する心は程度差こそあれ、誰にでもある。ただ、その欲求は社会ルール、正しく言えば、法律が赦(ゆる)す範囲内でなけれぱならないことは当然だ。ただ、この法律というのが厄介な代物(しろもの)で、一端、成立した法律は、いい悪いに関係がなく社会に蔓延(はびこ)るということだ。いい法律ならまだしも、悪い法律は長く蔓延って個人に芽生えた欲求を損なったり摘み取ったりすることになる。これは許されないことなのだが、隠れた強制力を意味する[法は法なり]の言葉どおり、悪法も法律である以上、欲求に従ってその範囲を逸脱(いつだつ)すればアウトということになる。そこはセーフだろっ! と、プロ野球のダッガウトから飛び出し、審判に抗議する監督のように言い返したところで、返ってくる答は、『そのように存じ上げてはおりません!』とか、『・・と、かように考える次第でございます』とかいった国会答弁のようなことになり、まったく要領を得ない,
「もう、いいだろ! それだけ食えばっ!」
 沼川(ぬまかわ)は妻の葦美(よしみ)と久しぶりに食事に出かけたのはいいが、妻の底知(そこし)れぬ食いっぷりに辟易(へきえき)としていた。ステーキ2枚にパスタ、加えてピラフである。お前は相撲の関取かっ! と言いたくなった沼川だったが、あとが怖くなり、思うにとどめた。葦美の隠れた食への欲求は沼川に比べれば数倍高く、とてもその食欲に沼川はついて行けそうになかった。
 その人により欲求の種類と高低(たかひく)は異(こと)なるが、孰(いず)れにしろ、程度ものだということは確かなようだ。

                              


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隠れたユーモア短編集-98- 崩壊(ほうかい)

2017年10月25日 00時00分00秒 | #小説

 物や組織が崩壊(ほうかい)する場合は、内からの場合[内因]と外からの場合[外因]がある。ほうかい…[関西地方の言い回し]程度の隠れたダジャレ気分で、そうかい…と、のんびりお読みいただければ有り難い話である。^^
 まず、物を生死で分かち、生物と死物[ただの物]という観点から学問的に考えてみよう。なにも考えなくてもいいっ! と言われる方もおありになるだろうが、そこはそれ、話を進める上で欠伸(あくび)をしながらでもお聞き願いたい。
 生物は人や動植物がそれに当たるのは当然の話だが、一時的な病気は外因に影響されることが多い。人の場合だと菌の体内進入による風邪(かぜ)などがそうだ。虫だと歴史大河ドラマの真田丸ではなく[失礼!]真田虫という寄生虫などがそれに相当する。人意外だと、お猿さんが風邪を引くのか? までは、動物園の専門家にお訊(たず)ねしないと分からない。^^ 植物の場合だと、虫害とかがそれに当たる。内因だと細菌による枯葉病などとなる。人の場合は老衰とかの生理機能の低下などによるものだろう。
 私達が暮らす3次元空間の死物[ただの物]の場合、一端。崩壊すれば、なかなか厄介(やっかい)な話になる。これも、ほうかい! とダジャレ気分でお読みいただければいい話だ。まだ金属の場合は溶解による接着が可能だが、陶磁器や木製の物の場合、一端、壊(こわ)れると接着が難儀なことになる。というより、外見上、接着しても、ふたたび一体となることは、ほぼ不可能なのだ。
 組織の場合を考えれば、内的には経営や運営状態の悪化、組織基盤の内紛による崩れ・・などが挙(あ)げられる。外的には他組織の攻勢により弱体化して崩壊する・・といった内容だ。
 まあ、生産物は遅(おそ)かれ早かれ、いつしか崩壊して滅するという当然の馬鹿馬鹿しい隠れた結論となるが、これだけは私達には、どうしようも出来ないから、考えず、崩壊するその日まで、ドンチャン騒ぎするかは別として、^^ 楽しく快適に暮らす方がいい・・というのが結論となる。むろん、暮らせれば、というニラレバ炒(いた)めのダジャレ話にはなるのだが…。^^

                              


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隠れたユーモア短編集-97- 集中力

2017年10月24日 00時00分00秒 | #小説

 物事をやろうとしているとき、集中力は欠かせない。しかし、そのときの状況や各々(おのおの)に備わった人間性の違いによって集中力は違いを見せる。加えて、隠れた影響・・というのも関係する。例(たと)えば、やろう! と意気込んで集中力を高めたのはいいが、前日、薄着で眠った結果、寝冷えをして俄(にわ)かに腹具合が怪(おか)しくなる・・といったような場合だ。当然、やろう! としてもやれないから、トイレへ駆け込むことになる。こうした隠れた影響が集中力を削(そ)ぐ訳だ。だから、各自に備わった人間性だけで集中力は極まるものではない・・という結論に至る。
「どうも疲れ過ぎたようだ…」
 魚乃目(うおのめ)は集中力を欠き、寝起きが遅(おそ)くなった休日の朝、目覚ましを見ながらそう呟(つぶや)いた。その結果、いつも日課にしている軽い屈伸運動を忘れてしまった。なんということだっ! と腹立てても、集中力を欠いた自分のせいなのだから仕方がない。そしてその夜、明日は絶対、忘れないぞっ! と、集中力を高めたまではよかったが、魚乃目は何枚も着込んで眠ったため、今度は寝汗で風邪を引いてしまった・・という、お粗末な話である。

                              

 ※ 修練を積んだ達人ともなれば、集中力はどのようなことがあろうと途切れないそうです。^^


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隠れたユーモア短編集-96- 可処分所得

2017年10月23日 00時00分00秒 | #小説

 可処分所得・・難(むずか)しい言葉だが、分かりやすく言えば[手取り額]ということになる。この可処分所得の仕組みには、実に狡猾(こうかつ)な騙(だま)しテクニックが潜(ひそ)んでいるのだ。金額の貰(もら)い手である働く人々からは、そのマジックのような騙しテクニックが見えない。たとえば年金は、65才になれば確かに満額の年金額が貰えるようになり、手元に入る金額は増える・・と誰も試算する訳だ。ところが、どっこい、そうは問屋が卸(おろ)さない。年金額が増えた以上に介護保険料が年金から差っ引(び)かれてチャンチャン! ・・という恐ろしいシステムなのだ。結果、年金を受け取ったときの可処分所得は、65才以前より下がるという最悪の老後を迎(むか)える・・ということになる。これは、いわば国家による弱い国民への苛(いじ)めだ。
 そんなこととは露(つゆ)ほども知らず、鹿馬本(かばもと)は、振り込まれた通帳を手に喜んでいた。
「んっ? 少し少ないな…。まっ! いいかっ。ははは…貰えるだけ有り難いと思わにゃなっ!」
 鹿馬本は通帳を両手で天に仰(あお)ぎ、軽く頭を下げた。
 このように、軽く考えれば幸せな気分となり、可処分所得! などと欲深く考えれば不幸せな気分になるということかも知れない。要は、隠れた罠には素直に引っかかった方がいいということになるだろう。まあ、もらえる額が多いほどいいことは確かだが…。^^

                              


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