水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疑問ユーモア短編集 (16)自由

2020年01月20日 00時00分00秒 | #小説

 誰もが自由に生きたい…と思うだろう。だが、そんなに世の中は甘くない。いくら財産のある人だって、もちろん、普通に暮らしている人や貧乏な人も含むのだが、そう簡単にすべて自由になれる・・ということは、生きている以上、不可能なのである。世の中は目に見えない魔の力で私達の自由を削(そ)ごうと虎視眈眈(こしたんたん)とつけ狙(ねら)っているのである。それが何故(なぜ)なのか? という疑問が湧(わ)くが、たぶん魔は人を幸せにはしたくないのだろう。^^ これが、魔の魔たる所以(ゆえん)なのだが…。^^ そんな疑問を吹き飛ばすには自由にならず物事に拘(こだわ)らないことだが、これがどうしてどうして、なかなか難しく、私達は小さなことについ拘ってしまい、いつの間にか自由から遠ざけられている。お金を持っていても使わなければなんの価値もない、ただの紙切れや金属に過ぎない。魔は自由に使わせないないよう、マインド・コントロールという悪辣(あくらつ)な手法で使う自由を削いでいるのである。^^
 とある街通りに一人の男が寝そべっている。
「どうされました?」
 自転車で通りかかった交番の巡査が、不審に思えたのか訊(たず)ねた。
「どうしたって? 見りゃ、分かるだろっ! 寝てんだよっ! 疲れたから寝てるの…」
「ここは人が通ります。通行の邪魔になりますから…」
「分からねえ巡査だなっ! どこで寝ようと人の自由だろっ!」
「そんなことはないんですっ! ここは自由に寝られません。交通妨害は立派な法律違反なんですよっ!」
「あっ! そうなの? だったら、もっと早くそう言ってよっ! ちっとも知らなかったなぁ~! 道路じゃ自由に寝られないんだ。どうも…」
 男は申し訳ないように立つと、楚々(そそ)と巡査にお辞儀して立ち去った。
 このように真の自由とは、疑問が湧くほど少ないのである。^^

 ※ 考え方には個人差があります。^^

                             完


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