水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (69)原因

2020年09月30日 00時00分00秒 | #小説

 全(すべ)てのことに言えることだが、原因が分からないと、どうも気分が悪くないだろうか? 誰もがそうだと思うのだが、どうですかっ!?^^ 今日はそんな話を読んでいただきたいと思います。^^
 とある家庭の一(ひと)コマである。朝から断水した訳でもないのに、水が出ない、水が出ないっ! と走り回りながら、一家の主人が騒いでいる。
「お隣(とな)りに訊(き)いてみたらっ!? 家(うち)だけか? って!」
 奥さんがナイスな助言をする。
「あっ! そうだな…。その手があったか!」
「そうよっ!」
 断水の原因を探(さぐ)ろうと、主人は隣りの人家を訪(たず)ねた。
「えっ! 断水なんかしてませんよっ! お宅(たく)、水が出ないんですかっ?」
「ええ、まあ…。お騒がせしました、どうもっ!」
 主人は罰(ばつ)悪く、早々と隣家(りんか)から撤収(てっしゅう)した。
「どうだった?」
「お隣りは出てるとさっ!」
「じゃあ、なぜっ!」
「元栓(もとせん)はっ!?」
「あっ! 俺だ…。昨日(きのう)の夜、洗車してたんだよっ!」
「洗車とどういう関係があんのよっ!」
「まあ、聞けっ! 洗車してなっ。終わって水を止めたんだ。ところがさっ! 蛇口を締めてもポタポタ水がでてるじゃないかっ!」
「それでっ!?」
「それでっ? って、そういうことさっ!」
「どういうことよっ!?」
「巡りの悪いヤツだなっ、もう!! パッキン替えたんだよっ! パッキン!!」
「はは~~ん! そのとき元栓(もとせん)締めて、そのままにしてたんでしょ!」
「正解!!」
「原因は洗車かっ!!」
「申し訳ないっ!」
「だったら、早く開けてきてよっ! お弁当が作れないじゃないっ!!」
「はい…」
 主人は借り物の猫になり、家の外の元栓へと急いだ。
 このように、分からない原因というのは、案外、他愛(たわい)もないのである。^^ 
 
                               


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分からないユーモア短編集 (68)心(こころ)

2020年09月29日 00時00分00秒 | #小説

 心臓は医学的に身体(からだ)の場所がはっきりしているから、はっきりと分かるが、^^ 分からないのは実態がない人の心(こころ)である。見えないということもあるが、非常に移ろいやすいのだ。要は、変わりやすく得体が知れないということになる。女心と秋の空などと例(たと)えられる類(たぐ)いである。^^
 日曜の昼、木漏れ日の下、二人の暇(ひま)そうな男がコンビニ弁当を食べながら、とある公園ベンチで話している。食べるか話すか、どちらかにして欲しいものだ。^^
「以前に比べりゃ、なんか安っぽくなった気がしねぇかい?」
「ああ、一品(いっぴん)減ったしなっ!」
「それだけじゃねぇ~ぞっ! チュバチュバがなくなったし、値が20円も上がっちまった!」
「なんだっ? そのチュパチュバってぇ~のはっ!」
「チュバチュバかっ!? チュバチュバはチュバチュバさっ! 醤油(しょうゆ)、ソースとかのっ!」
「ああっ! アレかいっ?」
「ああ、アレさっ! それよか、20円アップ!」
「20円といったって馬鹿にならねぇ~よっ! ひと月で600円だぁ!」
「お役所の心は分からねぇ~よ、おいらにはっ!」
「ああ、俺にも分からねぇ七不思議の一つだっ!」
「ははは…七不思議というほどのこっちゃねぇ~がなっ!」
「ははは…そりゃまあ、そうだっ!」
「庶民の心は、お上(かみ)にゃ分からねぇ~のよっ!」
「違(ちげ)~ぇねぇ!」
「まあ、一日、500円しか小遣(こづか)いくれねぇ、かみさんの心も分からねぇ~がなっ!」
「だなっ!!」
 二人は、持ってきた魔法瓶の茶を飲みながらニンマリと笑った。
 このお話のように、人の心は身近な人でも分からないのである。^^ 
  
                               


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分からないユーモア短編集 (67)やりきる

2020年09月28日 00時00分00秒 | #小説

 物事は、やりきることが肝心らしい。^^ 途中で止(や)め、「ちょっと、休憩!」などと呑気(のんき)に合いの手を入れている間に、なにくそっ!! と頑張り続ける方が先にゴールする・・などという話は、[ウサギとカメ]の童話で皆さん、よくご存じのはずだ。^^ よくは分からないが、どうもその休憩中に魔が暗躍(あんやく)するようなのである。^^ 皆さん、ご油断なされぬがよろしかろう![ここは古典の時代劇風表現 ^^]。
 とある映画がロケ地で撮られている。監督は雨模様を気にしながら空を見上げ、撮影中だ。
「監督、どうも降るようです…」
 セカンドの助監[助監督]が腫(は)れ物に触(さわ)るかのように遠慮(えんりょ)しながら監督の顔を見る。というのも、この監督の怒(おこ)り性(しょう)は業界屈指(ぎょうかいくっし)で、食事タイムと眠っている間以外は、ほぼ怒っているのでは・・と揶揄(やゆ)されるほどの怒り監督だった。^^
「くそっ!! 降りやがるのかっ! 俺が撮影してんだぞっ!! おいっ! 聞こえてんのかっ!!!」
 監督は全天を覆(おお)う薄墨色(うすずみいろ)の空を見上げながら、ひと声、吠(ほ)えた。
「ど、どうされますっ!? 一端(いったん)、止めますかっ?」
「馬鹿野郎っ!! やりきるんだよっ! 雨が降ろうと槍が降ろうとっ!! や・り・き・るぅ~~~!!!」
 助監は、上手(うま)いっ! と監督のダジャレ風の返しに一瞬、思ったが、とてもそんなことは言える訳もなく、思うに留(とど)めた。サード[三番目の助監督]に取って変えられる恐れがあったからである。
「は、はいっ! や、やりきりますっ!!」
 助監は撤収(てっしゅう)した方がよろしいのでは…と言おうとしたが、それも言えず、素直に従った。そのとき、全天を劈(つんざ)くような稲妻(いなずま)が走ったかと思うと、ザザァ~~!!! と雨粒(あまつぶ)がきた。助監は、そら見たことかっ! …と一瞬、思ったが、一瞬思わない方が身のためか…と思い返し、監督の顔色(かおいろ)を、もう一度、窺(うかが)った。
「よしっ! 始めるぞっ!!」
「はいっ!!」  かくして撮影は、スタッフ、キャストともズブ濡れになって続けられることになった。
 後日、この作品が世界のアカデミー賞に輝いたというのだから、世の中はどうなるか分からない。
 よく分からないが、やりきらないより、やりきる方が結果はいいようだ。^^ 
  
                               


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分からないユーモア短編集 (66)断舎利(だんしゃり)

2020年09月27日 00時00分00秒 | #小説

 断舎利(だんしゃり)という聞き馴(な)れない言葉を耳にしたので調べてみると、いらなくなった物を捨てること・・だと分かった。なぜ、舎利[遺骨]を断(た)つことが物を捨てることなのか? が分からなかったから、さらに検索を進めることにした。すると、インドのヨーガの行法で、断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう)から来ていることが分かった。検索は便利で、分からないことが分かるのである。^^ さらにヨーガを検索すれば、古代インドの修行法であることが分かったのである。まあ、分からないとしても、取り分けて生活に不自由する知識ではない。^^ 今日は、そんな断舎利のお話である。^^
 歳末の大掃除たけなわの、とある夫婦の会話である。
「そんなもの、捨てちまいなっ! もう、20数年、使ってないぜっ!」
「だって、どこも傷(いた)んでないのよっ! また使うかも知んないじゃないっ!」
「そういって、ほらっ! こんなに溜(た)まったんだぜっ! ここは、断舎利、断舎利っ!」
 大掃除が滞(とどこお)るのを避(さ)けようと、夫は妻に断言するかのように諭(さと)した。
「そおう? あなたが、そこまで言うなら…」
「そうそう! 断舎利、断舎利っ!!」
 かくして大掃除は再開された。
 その後、全(すべ)ての掃除が終わり、二人は和(なご)やかに昼食を食べた。かくして、一件は落着したかに見えた。
「さっぱりしたなっ!」
「えっ!? ええ…」
 二人は和やかに談笑した。
 さて、ここで問題です。^^ 断舎利され、多くの不用品は捨てられたのでしょうか? ^^ 正解を言えば、妻は密(ひそ)かに物置へ不用品を収納(しゅうのう)していたのです。^^ もちろん家庭不和を避けるため、夫に気づかれないように・・。^^
 このように、断舎利が成立するまでには、いろいろな分からない心理の葛藤(かっとう)を越えねばならないのである。^^ 
  
                               


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分からないユーモア短編集 (65)物流(ぶつりゅう)

2020年09月26日 00時00分00秒 | #小説

 世の中の物には全(すべ)て流れがある。物流(ぶつりゅう)と呼ばれるその流れは、無論、誰の目にも見えず分からない流れである。この流れが滞(とどこお)ったり加速したりすることで物の過不足が生じ、物価が変動する・・と、まあ経済学の理論的にはこうなるが、現実的には、あっ! みたらし団子パックがねえやぁ~…チェッ! くらいの話である。みたらし団子が売り切れ、そのあとの入荷が遅れて物流が滞ったのだ。^^
 とある町の定食屋である。
「おばちゃん! いつもの味噌煮込みうどん定食っ!?」
「ごめんなさいね、顎川(あごかわ)さん! いつもの味噌がねっ! 長雨で入ってこないのよっ!」
「長雨で入ってこないって、どういうことっ?」
「それがね…。話せば長くなるからっ!」
「語れば短い話だったとか…」
「ふふふ…馬鹿、言ってんじゃないわよっ!」
 そこへ別の客が戸を開け、空(あ)いたテーブルに座った。
「らっしゃい!!」
「ちょいと寒いなっ。しっぽく出来るっ!?」
「はいっ! しっぽく一丁!!」
 奥の厨房(ちゅうぼう)へ威勢(いせい)のいいおばちゃんの掛け声が響(ひび)く。 
 顎川は、味噌は滞ってしっぽくは滞ってないんだ…と、ふと物流を思った。そのあと、味噌しっぽくってあるんだろうか? と、空腹による分からない物流を思った。^^ 
 
                               


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分からないユーモア短編集 (64)正直(しょうじき)

2020年09月25日 00時00分00秒 | #小説

 正直(しょうじき)という言葉がある。耳にしただけで、よくは分からないが、なんとなくいい気分にさせる言葉の一つだ。ただ、不正直な人が聞けば、身を隠したくなる言葉でもある。^^  正直の頭(こうべ)に神(かみ)宿(やど)る・・などというから、そのように生きていると、正直者が馬鹿を見る・・ということになり、ガックリと肩を項垂(うなだ)れる。そういう人が増えつつある昨今(さっこん)の世相(せそう)は、実に嘆(なげ)かわしい。実は私もその中の一人である。笑っていただきたい。^^
 とある家庭である。
「だから言ったろっ! 接待ゴルフのニ次会で使ったんだって!」
「ほんとかしらっ!? 減ってる額が少し多いんじゃないっ!」
 妻は夫の財布の中身を確認しながら、その日の小使いの紙幣を加えた。
「嘘(うそ)じゃないって! 俺が馬鹿正直なのはお前が一番よく知ってるだろっ!」
「そりゃまあ、そうだけど…」
 そこへ小学一年の長男が、さりげなく子供部屋から顔を出した。
「ママ! ご飯、まだっ!」
「もう少し待ってねっ! ハンバーグ、もう焼けるからっ!」
「じゃあ、呼んでねっ!」
 長男は、ふたたび子供部屋へと姿を消した。
「そうそう! 馬鹿正直って点では、あなた、あの子に負けてるわよっ!」
「ははは…かもなっ! やつには勝てんっ!」
 夫は素直に順位を子供に譲(ゆず)った。
 よくは分からないが、正直という点では、邪気(じゃき)のない子供に大人は勝てないようだ。^^ 
 
                               


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分からないユーモア短編集 (63)秋休み

2020年09月24日 00時00分00秒 | #小説

 どうも分からないのが学校の休みだ。とは言っても、なにも2時限目と3時限目の間の休みとか、病気や異常気象による臨時の休みを言っている訳ではない。では、何が分からないのか? という話になるが、それは秋休みがないということだ。^^ 春休み、夏休み、そして冬休みがあることは誰もが知っている。ところが行楽シーズンである秋の休みがないのである。別に秋を毛嫌(けぎら)いしてのことではないと思うが、秋は休めず実に物悲しい、辛(つら)い季節なのだ。^^ 今日はそんな内容を盛り込んだお話である。^^
 どこにでもあるような、とある家庭の子供部屋である。二つ並びの机に座(すわ)って勉強する兄と弟の会話である。兄は小学校の高学年、弟は低学年だ。
「そろそろ2学期だなっ! 早く夏休みの宿題、やっちまわないとなっ!」
「兄ちゃん! なぜ、秋休みはないのっ!?」
「…さあ? どうしてかなっ?」
「学校、始まったら先生に訊(き)いてみてよっ!」
「お前が訊きゃいいだろっ!」
「僕はクラス委員だから、そんなことは訊けないよっ!」
「クラス委員だと訊けないのかっ?」
「うんっ、訊けない。だって、立ち場がないだろっ?」
「立ち場がなきゃ、座(すわ)りゃいいじゃないかっ!」
「あっ! そうだね。座って先生に訊いてみるよっ!」
「そうしなっ!」
「うんっ!」
 なぜ学校の秋休みがないのか? という分からない質問は、教室の椅子に座って先生に訊(たず)ねてください。^^ 
 
                               


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分からないユーモア短編集 (62)個人情報

2020年09月23日 00時00分00秒 | #小説

 最近の社会は個人情報を重視する傾向が強まっている。なぜか? は分からないが、それだけ他に対する不信感が大きくなった所為(せい)ではないか? と思えてならない。今日はそんなお話である。^^
 未来の、とある市役所の住民課である。
「いやっ! 08354567家(け)だよっ!」
「そうだったかっ? 個人情報によれば、08345567家だぜっ!?」
「いやいやっ! ここにその家から提出された書類があるんだから間違いないさっ! こっちは提出者の直筆(じきひつ)だぜっ!?」
「そおかっ? それじゃ、やっぱり入力ミスか…」
「入力ミスかどうかは分からんが、信用度は直筆だろっ!?」
「まあ、そうなるわな…」
「なっ!」
「ああ…」
 二人は過去、多く消えた年金情報の入力ミスを、ふと思い出し、そう言った。
 よくは分からないが、個人情報が間違わない、流出してはいけないことだけは確かなようだ。^^
 
                               


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分からないユーモア短編集 (61)鮮(あざ)やかとお粗末(そまつ)

2020年09月22日 00時00分00秒 | #小説

 人々は鮮(あざ)やかな結果を求め、お粗末(そまつ)な結果にならないよう、日々、頑張っている。そうはいっても、お粗末な結果になることは避(さ)けられない。どうしてそうなるのか? という理由が分からないとしても、必ずそうなるのだから仕方がない。^^ もっとも分かりやすい例がスポーツの試合である。AとBが対戦したとしよう。Aが鮮やかに勝てば、必然的にBはお粗末な負けになる訳である。逆にBが勝てば、言わずもがな、Aはお粗末な負けになる。こう考えれば、世の中の事象は[お粗末]+[鮮やか]=0という数式で成立していることが分かる。取引に成功した会社があれば、必ず逆に、してやられた会社がある、という現実が存在するのだ。今日は、そんなお話である。^^
 二人の老人が碁会所でヘボ碁を打っている。
「おっ! さっそく、三々ですか…。鮮やかですな?」
「ははは…いや、それほどでも。今、流行(はや)りのAI風です」
「そう早く入られるとは思っとりませんでした。いや! この一局は私の完敗ですなっ!」
「なにをおっしゃる! 今、始めたばかりじゃありませんかっ!」
「まあ、そらそうですが…。それじゃ、お言葉に甘えて、もう少し打ちましょうかな…」
「はい! ぜひ、そのように…」
 その後、碁盤上は、二人によって白黒の石が交互に打ち進められていった。
 そして、時が流れた。 「ははは…入るんじゃなかっですなっ! 外の壁がやはり厚うございました。残念ながら、私のお粗末な負けでございます…」
「はあ、孰(いず)れ、また一局…」
「はあ、またお願いいたします…」
 軽く一礼し、二人の老人は対峙(たいじ)していた席を静かに立った。
 このように、[鮮やか]は[お粗末]に変化することもあるのだ。ただ、その変化はどのタイミングで起こるのか? は分からない。^^ 
 
                               


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分からないユーモア短編集 (60)どうでもいい

2020年09月21日 00時00分00秒 | #小説

 よく分からないことが出来たとき、どうするか? それを考えてみると、徹底して突き詰(つ)める人と、まっ! どうでもいいか…と、軽く流す人の二(ふた)通りに分かれることが分かる。^^ 分からないこんなことを書いていること自体、時間を取るほどのことでもなく、まっ! どうでもいい訳だが…。^^
 花火大会が行われている、とある会場である。大勢の見物客で賑(にぎ)わう中、二人のどこにでもいるような二人の中年の男が話さなくてもいいのに話をしている[周囲のお客が静かに見物している・・ということもあります ^^]。
「やはり夏は、コレだねぇ~!」
「そりゃそうさっ! 花火抜きで夏はねえやなっ!」
「だなっ!」
 お隣りで花火見物をしている男の気分である。
『なにをゴチャゴチャとっ! どうでもいいだろっ! 黙って見てろっ!!』
 そうは思うが、言うほどのことでもないか…とも思え、男は煮え切らない気分で空を見上げた。するとそこへ、大会本部のマイクが響いた。
「おっ! 大会提供花火だっ!」
「だなっ!」
『そう言ってんだろっ!』
「これが毎年、楽しみなんだよ、俺はっ!」
「だなっ!」
『俺もだっ!!』
 そうこうしていると、大会提供花火が華(はな)やかに打ち上がった。
 このように、訳が分からないどうでもいいことは、どうでもいいなりに盛り上がるのである。^^ 
 
                               


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