水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (29)環境[2]

2022年10月31日 00時00分00秒 | #小説

 (23)環境の環境の別話を書きたい。勝手に書いてれば…と冷(さ)めた目で見られる方もあろうが、そこはそれ、採れたてのトマトに塩をかけ、齧(かじ)ってお許し願いたい。冷麺でもいいですよっ!^^
 環境の違いで、人の暮らしは辛(つら)くもなり、安らぎもする。安らいで生きられる人は少なく、人は多かれ少なかれ、辛い環境の中で生きねばならないように出来ている。その程度はピンキリだが、私達は辛い環境にもめげず頑張っている訳だ。ということで、SF話をお一つ。^^
 未来のとある時代である。この頃、地球全土は劣悪な環境にさらされていた。人類が生きられる環境の地表は消え、地下の一部と月での生活を余儀なくされていた。蔓延した微生物であるウイルスのためである。ウイルスは人類を滅ぼすべく、特殊な進化を続けていた。人類には見えないウイルスは、もはや人類など恐れるに足りぬ存在となっていたのである。
『逃げろ、怯(おび)えろっ私達が暮らす国は有難く、喜んでば生きられる最高の環境なのだ。それなのにポイ捨てとは、これ如何(いか)にっ!? と、お訊(たず)ねしたいくらいのものである。^^ ポイ捨てる人は、捨てても汚いとは感じないような劣悪な環境の国で暮らせばいいだろう。それはさて置き、私達は辛い環境にもめげず、頑張っている訳だ。そこで、(29)環境とは違うSF話をお一つ。^^
 とある未来の地球である。この時代、ウイルスは、もはや人類を恐れるに足りぬほど進化していた。人類は、もはや地上での生活は不可能となり、地下と月への移住を余儀なくされていた。
「すべては、お前達が我々を強くしたのだ、フフフ…』
『申し上げます、大王様っ!』
『どうしたっ!?』
『人類は、もはや地球での生活を断念し、すべて月へ移住するようですっ!』
『そうか、そうかっ! フフフ…これで、もはや地球は、我々ウイルスのものだなっ!』
『そのようでございます…』
『フフフ…大王は地球征服を終え、不敵な笑みを浮かべた。
 こんな環境にならないよう、私達はめげないで頑張り続けたいものです。^^

                   完


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めげないユーモア短編集 (28)意欲

2022年10月30日 00時00分00秒 | #小説

 欲がない者は、残念ながら世間で、そう大した人物にはなれない。この場合の欲は意欲であり、私達が考える食、色、金など下世話な欲ではない。^^ 私達は、グッ! とそれらの欲に負けまいとめげないで意欲を燃やし生きているのである。ところが、日々の生活の中には、その意欲を削(そ)ぐ人や諸事が溢(あふ)れ返っている。それでも私達はめげないで懸命に意欲を持って生き続けているのである。人生とは、ある意味、めげないで自身を高める修行の場なのかも知れない…などと、暑くならない朝早くから畑の除草作業をしながら、お坊さんのように偉そうに思っている訳だ。^^
 とある都会の通勤風景である。列車から降りた乗客がドッと駅から昇降階段へと殺到し、いつもの馴れたパターンで改札口をスゥ~と出ていく。そんなラッシュ時の二人の会話だ。
「教授、最近、ダメなんです、僕。バテちゃって…」
「ははは…なに言ってんだっ! 私なんか意欲がめげるこの年だぞっ! それでも日々、頑張ってんだっ! 君なんか、これからじゃないかっ!」
「そうなんですがね…。昼間は研究所、夜は嫁と・・これじゃ意欲も出ませんよっ!」
「じゃあ~コレ飲んでみろっ!」
「ははは…そういや、そんな通販のCMありましたねっ!」
「なに言ってんだ、君はっ! コレは私の開発薬だから、よく効くはずだ…」
「この前も同じこと言いましたよ…」
「何度でも言うっ! 認可されて市販されてんだから、文句なかろっ!」
「文句はありませんがね…。ただ、意欲が出るかどうか…?」
「君も助手として手助けしてくれてたろっ!?」
「ははは…だから、余計に…!」
「余計に何だって言うんだっ!」
「意欲が出ません…」
 めげない意欲は、本人に確信が持てないと湧かないようです。^^

                   完


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めげないユーモア短編集 (27)寒さ

2022年10月29日 00時00分00秒 | #小説

 (14)で、暑さをタイトルにしたが、めげない我慢(がまん)は、なにも暑さに限ったことではない。冬の凍(い)てつくような寒さも当然、ある訳である。私達は、この厳(きび)しい寒さにもめげず、日夜、頑張っている訳である。何のために頑張るのか? と問われても、私はお坊さんでも牧師さんでもないから分からないが、まあ、頑張る内容があるから頑張るのでしょう・・と返すしかない。そこのところは、よろしくっ! ^^ まあ、静かに落ち着いて考えれば、頑張ることで物事が+(プラス)に向かうからと思える。寒さにめげないで+に傾けば、気分もいいし、お金ももらえ、いい暮らしができるということもある。頑張らない人もいるが、こういう人は私の管轄ではないから、よろしくっ!^^
 十一月末の寒さが増したとある公園である。紅葉の秋の頃は、よくベンチで昼のコンビニ弁当を食べていた二人連れの老人達も、さすがに寒さが身に応(こた)えると見え、コンビニ弁当を買ったあと、敬老会館へと入るようになった。敬老会館は、高齢者の福祉目的で建設された公営施設である。
「ここは、空調が効きますから、暖かでいいですなっ!」
「ですなっ! いくら、めげるなっ! と言われても、寒いものは寒いですからなっ! 私ら老人には、寒さは応えます…」
「さようで…。めげてめげて、めげたおしたいですよ、私はっ!」
「ははは…確かにっ! しかし、寒さに震えても腹は減りますなっ!」
「はい。どうせ食べるなら、敬老会館のような快適なところで食べたいですなっ!」
「ここの¥100風呂を上がって食べるお昼は格別ですなっ!」
「ですなっ!」
 二人の老人の話は尽きない。
 巡る季節の寒さを避けられない以上、快適に過ごせる方法を模索し、敢(あ)えて寒さにめげるのも、めげない一方法なのかも知れない。健康面もありすしね。^^

                    完


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めげないユーモア短編集 (26)時流

2022年10月28日 00時00分00秒 | #小説

 世の中には時流という時の流れがある。その時代独特の流行の傾向である。この流行に逆らえば、世間から白い目で見られる。白い目よりは黒い目で見て欲しいものだ。^^ 人は白い目で見られるのは嫌だから、どうしても時流に流れようとするが、中には反発する人もいる。だが、時流という流れは大きな流れだから、自分一人が抗(あらが)っても、どうにもならない。それでも、めげないで抗う人は、やはり白い目で見られる。黒い目で見られなくても、せめて黄色か赤い目で見て欲しいものだ。^^
 とある時代、とある夕方の学生街である。学生目当ての食堂や本屋が軒(のき)を連ねている。食堂前の通りを二人の若者が歩いている。どこから見ても学生には見えない夜間大学生で、仕事を終え、早めの夕食のあと、これから講義を受けるようだ。
「いや、俺は時流に逆らわん。っていうか、逆らえんからなっ! 気分だけだっ」
「それは、そうだっ! お前は公務員だからな…」
「この大学はバリケード封鎖してる反体制の学生が多いが、俺はな…」
「奴らも、就職に差し障(さわ)りがあるが、めげないで頑張ってるんだぜ」
「だな…」
 会話は途絶え、沈黙したまま二人は大学の裏門を入っていった。
 誰もが多かれ少なかれ時流に逆らい、めげないで生きているのである。^^

                   完


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めげないユーモア短編集 (25)意固地(いこじ)

2022年10月27日 00時00分00秒 | #小説

 意固地(いこじ)は他の短編集でも取り上げたタイトルだが、この短編集では、めげない・・にスポットを当て、話したいと思う。勝手に思えばっ! という方もあろうが、そこはそれ、我慢をして戴きお煎餅でも齧(かじ)りながらお読みいただきたい。
 意固地な性格は時折り、めげない原動力となる。どういうことか? といえば、まあ、そういうことだ。^^ 冗談はさておき、なぜかと言えば、意固地な性格だと、何がなんでも自分の思いどおりにしようと物事をやり続けるから、結果としてめげない継続力を生む訳だ。ただ、フツゥ~に継続力のある者と比較をすれば、そのコトに臨む気持が少し違うということだ。前者は気持が冷静でフツゥ~なのに対し、後者の意固地な性格の者は興奮気味になっているという点である。もう少し、分かりやすく言えば、ただ単に達成するまでやり続ける者と、何がなんでもっ! と意気込み過ぎる者の違いだろう。^^
 とある普通家庭の日曜である。初老の父親と中年の息子が垣根のペンキを分担して塗っている。
「塗る広さは、半々、だからなっ!」
「少し父さんの方が狭いように思うがな…」
「馬鹿言えっ! 大体同じだろうがっ!」
「まあ、いいか…」
 二人は食事の後、早朝から塗り始めた。塗る面積はほぼ同じくらいだったが、息子の方は父親よりも塗りにくい分担で手間取った。同時に塗り始めて時が経過し、昼近くになった。父親の方は早くも終わろうとしていたが、息子の方は、分担のまだ三分の一ほども塗れていなかった。
「なんだ、若いのにだらしないな。そろそろ昼にするかっ?」
 父親は塗り終わった最後の刷毛(はけ)を水洗いしながら、余裕のしたり顔でそう言った。そう言われた息子の意固地な闘争心に火が点いた。
「俺はいいから、父さん、昼にしてくれっ!」
「そうかぁ~? なら、そうさせてもらうか…。早く終われよっ!」
 父親は家の中へと消えていった。それから、息子の格闘が始まった。腹は減ってきていたが、それでも息子はめげなかった。意固地な気性が続ける力を助けていた。そうこうして、息子がようやく塗り終わったのは夕方近くだった。空腹はいつしか消えていた。息子の心に残ったものは、やり終えた達成感だけだった。
 意固地な気性に助けられ、めげずにやり終えれば、時は失ったとしても、いい達成感が残るようだ。^^

                   完


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めげないユーモア短編集 (24)抵抗勢力

2022年10月26日 00時00分00秒 | #小説

 人の世に限らず、生物界には生存していく上で必ずと言っていいほど、抵抗勢力がある。その存在が何もしないのに・・だ。このことはその存在が生存していく上で非常に厄介(やっかい)なものとなる。当然、その存在は抵抗勢力を排除(はいじょ)しようと試(こころ)みるが、抵抗勢力も排除されては困るから抗(あらが)う。で、これが高じて戦いとなる。炎症、紛争、戦争など、規模が小さなものから大きなものまで様々である。その存在・・例えば私達だが、抵抗勢力にめげないで、日夜、戦い続けねばならない訳だ。これは、非常に難儀なことだ。^^
 とある病院である。来院した二人の女性患者が、待合用の長椅子に座り、何やら話をしている。肘崎(ひじさき)と頬山(ほおやま)だ。
「自宅の階段で捻挫され、しばらくして入院されたそうですわよ」
「あらっ! 肘崎さん。その話、誰からお聞きになりました?」
「この前、通院で来られた顎川(あごかわ)さんっ!」
「ああ、顎川さん…」
 頬山はそれを聞き、一瞬、ギクッ! とした。顎川は頬山の婦人会での抵抗勢力だった。次期、会長を巡り、顎川派と頬山派はこのとき、ほぼ互角の熾烈(しれつ)な票争奪戦を展開していたのである。
「はい、余り酷(ひど)くはないそうですが…」
「膝尾(ひざお)さん、早く退院されるとよろしいですわねぇ~」
「はい…」
 膝尾は中間派で、膝尾派が顎川派に付くか、頬山派に付くかで、選挙の結果は決まる・・と言っても過言ではなかった。顎川、頬山の両派の運動員は、選挙まであと十日と迫る中、めげないで中間派である膝尾派の票争奪に奮戦していた。
 選挙の結果は、敢えて伏せることにしたいが、ただ一つ言えることは、どちらが勝ったとしても、抵抗勢力にめげず、取り崩せる可能性が高いところをどれだけ正確に知るか・・に、コトの成否はかかっているようだ。^^

                   完


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めげないユーモア短編集 (23)環境

2022年10月25日 00時00分00秒 | #小説

 生物には住みやすい環境というものがある。蛸(タコ)だと、適度な水圧がある冷たい海水、人だと周囲の自然や人間関係に恵まれ、物資や生活する諸問題解決にも事欠かないインフラ[社会資本]の行き届いた環境となる。よぉ~~く考えれば、人ほど適度な環境の条件が多い生物はいないことに気づく。その環境を維持するために、自然を虐め、都合のいい化学物質を多量に使う。すると、どうなるか? だが、それは分かりきったことだ。絶滅種、絶滅危惧種という多くの生物に影響を与え、この大事な地球の環境にも致命的な障害を齎(もたら)すのである。こうなれば、自然や生物も無抵抗から抵抗へと態度を一変させる。過去には起きなかった自然災害、微生物の逆襲[新型コロナウイルスetc.]といった態度だ。だから、全責任は人類の無秩序な文明進歩にある・・と、まあ話は、残念ながらそうなる。^^
 二人の中年男が梅雨の中明けの暑さに、団扇(うちわ)をパタパタさせながら縁側で話をしている。
「ということは、俺達が悪いということになるぜっ!」
「そういうことだ。ウイルスは以前から存在していたんだ。そのウイルスを強くしたのは俺達人間なんだからなっ!」
「どういうことだっ?」
「化学物質をいろいろと使うようになっちまっただろうがっ!?」
「ああ…」
「その結果、環境破壊をしちまった!?」
「ああ…」
「まあ、それで人間の環境は、よくなったわなっ!」
「ああ…」
「問題は、微生物達だっ! 微生物達も黙って絶滅する訳にはいかんから、進化まではいかんが、少しづつ変異して強くなるわなっ!?」
「ああ…」
「それが、今売り出し中の新型コロナさっ!」
「新人歌手じゃないんだから…」
「ははは…例(たと)えよっ!」
「ということは、自業自得(じごうじとく)ってとこかっ!」
「そうそう! 微生物達もめげないで、俺達と戦ってるのよっ!」
 環境にめげない方法は、自分達の独自性[アイデンティティ]を主張するしかないようだ。^^

 ※ 病気の治療薬や治療法の発明、発見は除外されます。^^

                    完


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めげないユーモア短編集 (22)積木(つみき)

2022年10月24日 00時00分00秒 | #小説

 遠い昔のドラマになるが、某局で[積木くずし]という番組があったことを、ふと思い出した。障害があったり失敗たとしても、めげないでいると、いつの間にか成功したり障害が消え去ったりする・・というのが理想刑なのだが、世の中はそう甘くはない。とはいえ、失敗や障害が続けば、人は弱く、やがては、めげてしまう。それでは哀れで身も蓋(ふた)もない。^^
 この春3才になった坊やのモンちゃんは頭が非常によく、すでに積み木のプロになりそうな・・といえば言い過ぎになるが、それほど上手(じょうず)に積み木が出来るようになっていた。パパもそんなモンちゃんが自慢で、会社の部下を時折り自宅に招いては、積み木で遊ぶモンちゃんの聡明さを自慢するように見せることも度々(たびたび)だった。
 ところがあるとき、モンちゃんは積み木に行き詰まってしまった。どんどん積み木の数を増やしていくうちに、どうしても積めない木ができたのである。積み残しである。^^ パパもママもそんなモンちゃんを遠目で眺(なが)めながら、気が気ではなかった。だが、モンちゃんは、めげなかった。積まずにジィ~~っと積み木を見続けて積まない日がひと月ばかり続いたあと、突然、何を思ったか、モンちゃんは積み始めた。そしてアレヨアレヨという間に、すべての積み木をものの見事に積み上げてしまったのである。お見事っ!! と、言う他はない出来映えだった。
 このように、めげないで正面からやり続けるのも大事だが、しばらく間合いを置いて、側面から別のやり方を考え、そのあと、またやり始めるというのも、一つのめげない方法なのかも知れない。^^

                   完


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めげないユーモア短編集 (21)満席

2022年10月23日 00時00分00秒 | #小説

 外食で店へ出かけたとき、生憎(あいにく)、満席だった場合、席が空くまで待たされることになる。これは仕方がないのだが、待たされる時間が長くなれば、気が身近い者は待たずに腹立たしく去っていくことになる。要は、イラだたしさにもめげないで待つ、言うなれば、根気との勝負となる。雨ニモマケズ、満席ニモマケズ・・の精神が必要となるのだ。^^
 町役場に勤める課長の滝岡は、この日、昼近くになり、外食に出ようとしていた。
「滝岡さん、今日もあの店ですか?」
 後輩職員の水瀬(みなせ)がデスクを立った滝岡に声をかけた。
「ああ、そのつもりだけど…」
 それが何か? 気分で滝岡は水瀬に返した。
「今日は他の店にした方がいいですよ」
「どうして?」
「いえ、別に理由はないんですがね。ただ、そんな気がしたまでです…」
「なんだ、気がしただけか、ははは…」
「そうはいいますが、これでも結構、僕の勘は当たることが多いんですよ! どうも今日は混んでる気がします」
「ははは…どれどれ、君の勘(カン)が当たるかどうか、試してみるとするかっ!」
 滝岡は水瀬の忠告を半信半疑で聞き流し、鰻(うなぎ)専門店、蛸墨(たこすみ)へと向かった。すると、店は珍しく混んで満席だった。まあ、待つとするか…という気長な気分で滝岡は外の列に並び、席が空くのを待つことにした。ところが、どういう訳か、列の進む気配がない。どうも怪(おか)しい…と思ったとき、昼休みは半分ほど済んでいた。これでは、これから席に座る→注文→出来上がり→食べる→職場へ戻る・・という流れを考えれば、ギリギリだった。なぜ、込んでいるのか? は分からなかったが、ともかく何かの事情があることは確かだった。滝岡は、水瀬の言ったとおりだったな…という思いで列を抜け、コンビニへと向かった。午後は管理者会があり、遅れる訳にはいかなかったのである。
 めげないで待つ判断も大事だが、忠告は素直に聞き、場合や事情によっては、めげる判断も必要なのである。^^

                   完


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めげないユーモア短編集 (20)疲労

2022年10月22日 00時00分00秒 | #小説

 身心を酷使すれば、誰だって疲労する。ただ、その疲労で、めげるかめげないかは、同じ疲労の度合いでも人それぞれで違う。Aという人物は息絶え絶えでギブ・アップ[降参]したとしても、Bという人物はめげずに耐え抜いて、『まだまだ…』と逆襲したりする訳である。プロレス中継なんかをよく観ておられる方は攻守が変化わる格闘を目(ま)の当たりにされ、よくご存じだと思う。『ワン、ツー、スリー!!』でゴングが鳴る、『ワン、ツー!』で跳ね返す・・と言った場面を、である。^^
 とある町の商店街である。二人の店主が売れない商品をハタキで埃(ほこり)を拭いながら店前で話をしている。
「さっぱりだなっ!」
「ああ、入荷しても売れんからな…」
「すべてはコロナか…」
「まあな…」
 二人は、すっかり精神的に疲労した声だ。
「今月も…」
「というより、今年も、だろ?」
「人類も、いよいよ絶滅かっ!?」 
「ははは…恐竜のようにっ?」
「ははは…まあ、そんなことは、ないだろうが…」
「そういや、鹿、馬、猿とかのウイルス話は聞かんなっ!」
「ああ、豚、牛、鳥は、よく聞くが…」
「その辺りに何か終息のヒントがあるんじゃないか?」
「医学のことはよく分からんが、感染免疫の差か?」
「かもな…。まあ、そういうことは専門家に任せて、俺達はめげないで商売するしかないが…」
「ああ…」
 原因が探れない者は、疲労にめげないで頑張るしかない訳である。^^

                   完


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