水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

SFユーモア医学小説 ウイルス [78]

2023年03月31日 00時00分00秒 | #小説

「だから、なにが間に合わんのですか?」
『私達が徹夜して開発したモレアの改良薬モレフだよっ!!』
 携帯の蛸山の声が、いくらか大きくなった。
「ああ、モレヌ・フィッシュでしたか。…それが間に合わないとは?」
『ウイルスの蔓延(まんえん)速度が早過ぎて、世間への流通が間に合わんということだっ!』
「それで?」
『間に合わんでは意味ないだろっ!?』
「ええ、そりゃ、意味がありません…」
『そこでだっ! 政府が私達をヘリで研究所まで移送するそうだ』
「ヘリって、ヘリコプターですかっ!?」
『ヘリと言やぁ、ヘリコプターに決まってるだろっ!!』
 蛸山の声が喧(やかま)しくなってきた。
「着陸できる場所がないでしょ、僕のマンションも所長の家も…」
『相変わらず馬鹿だねぇ~君はっ!! 下ろすんだよっ!』
「なにをっ!」
『ロープだよ、ロープっ!! ロープに決まってるじゃないかっ!!』
「ああ、そんな映画のシーン、何度か観ましたっ!」
『そりゃ、観ただろ。私だって水害救助のテレビ画面で観たよっ!』
「所長も観られましたか!? そりゃ、よかった…」
『そんな話をしてんじゃないっ! 真剣に聞きなさいっ!』
「はい、どうもすいません…」
 海老尾は素直に謝った。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [77]

2023年03月30日 00時00分00秒 | #小説

 海老尾が危惧(きぐ)することは、目に見えないウイルスの至近距離への接近である。ハム・エッグを頬張りながらテレビ画面を見ていると、ポタリ! と半熟の目玉焼きの黄身がテーブル上へしたたり落ちた。チェッ! と思えたが、落ちてしまったものは仕方がない。誰もいないのを確認し、海老尾は猫になったような気分で、したたり落ちた黄身を舌で舐(な)めた。そのあと、汚かったか…と後悔した。テーブル上には目に見えない雑菌やウイルスがウジャウジャいるのである。幸いにも人の目には見えないからいいものの、見えれば出来る行為ではない。海老尾はしみじみと反省した。これが所長の蛸山が指摘する海老尾の感性なのである。
『戒厳令は、ここ当分、出し続ける必要があると閣僚会議は決定した模様です』
「そりゃ、出し続けんとダメだろうが…。問題は、一歩も外へ出るなっ! だけでは、国民が餓死する。生活物資と食糧を、どうするかなんだよっ!!」
 人がいないことをいいことに、海老尾は当たり前のことを当たり前のように大声でガナった。
『国民の生死に直結する生活物資、食糧支援の方法を現在、政府、関係省庁各所で検討している模様です』
「検討してないで、すぐやってくれっ!!」
 腹が立ってきたからか、海老尾はテレビのリモコンを思わずオフにした。そのとき、胸元の携帯がバイブした。
『ああ、私だ。どうだ、元気にやってるかね?』
 声は蛸山の聞きなれた声だった。
「元気かどうかは分かりませんが、とにかくやってます…」
『そうか…そりゃよかった。で、この前の話なんだが…』
「前の話…と言いますと?」
『官房副長官の蟹岡君が言っていたことだよ』
「ああ、蟹岡さんの話ですか。それがなにか?」
『パニックになるといけないから、まだメディアには流してないそうだが、どうも危ないらしい…』
「…なにがです?」
『間に合わんかもしれん、ということだよ…』

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SFユーモア医学小説 ウイルス [76]

2023年03月29日 00時00分00秒 | #小説

 老ウイルスにはリーダー格に相当する数個のウイルスが存在した。軍隊だと、さしずめ、方面軍司令官のようにウイルスである。そのウイルスの配下には、ウジャウジャとウイルスがいる訳だが、極悪ウイルスを探っているのは、ごく限られた数の諜報ウイルス[ガンマ・レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純・ヘルペスウイルス]達だった。極悪ウイルスのアジトに潜入するには、潜入するバレない特別訓練を受ける必要がある。それを行っているのが、マクロ[巨視的]世界に住む海老尾のベクター研究者達だった。そのことを海老尾達は知らない。
「その偉~~いお方に僕は頼るしかないんだ。よろしく頼むよ、レンちゃん!」
『分かりました。…君でいいですよ』
「あっ! ああ…」
 海老尾とレンちゃんは夢の中でその後、別れた。その後、海老尾は深い眠りへと落ちていった。
 海老尾が目覚めた次の日の朝である。いつもなら通勤のための動きをするのだが、戒厳令下、誰一人として外へ出られない朝だから、ボケェ~とテレビを見ている他はない。
『世界の死者数は現在も増え続け、昨日現在、数十万人に達しています。我が国も戒厳令下にもかかわらず、早くも数百人の死者が出ている模様です』
 アナウンサーがテレビの中でガナっている。
「数百人って、よく調べられたな…」
 海老尾は妙なところで感心しながら、冷蔵庫へと直行した。外へ一歩も出られないとなれば、食糧の消費が問題となる。
「まあ、これだけあれば、十日は大丈夫か…」
 海老尾は安堵(あんど)のため息を漏らした。幸いにも、キッチンの冷蔵庫内とフロア下の収納扉の中には当分暮らせる非常食が入っていた。どういう訳か今朝は無性に腹がすく…と海老尾は思うでなく思った。テレビ画面も気になるが、空腹感はさらに気になる。気になりかければ、さらに空腹感に苛(さいな)まれる。人間の弱いところだな…と海老尾は確信的に思った。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [75]

2023年03月28日 00時00分00秒 | #小説

「君の力に頼るしか、今の僕には方法がないんだよ…」
『そう、弱気になられず…。人は進化して地球生物の頂点に立ったんじゃないですか。極悪ウイルスに打ち勝てない訳がないと僕は思うんですよ。ウイルスの僕が言うのもなんなんですが…』
「君がそういう風に力づけてくれれば、気落ちした僕も少し気分が持ち直すってもんだよ、いや、有難う」
『力づけるもなにも、これは事実ですから…』
「いやまあ、それはそうなんだが…。ところで、老ウイルスさんの手配のお蔭で、極悪ウイルスのアジトが突き止められたっていう話だったね」
『ええ、そうです。あとは、そのアジトに僕の仲間をどう潜入させるか? ってことなんですが…』
「ミッション・インポッシブル・・って訳だ」
『そんな恰好いいもんじゃないと思うんですが、とにかく、やらせてみます』
「…ってことは、君は司令官なんだね」
『ええ、これでも一応、メジャ-ですから…』
「メジャ-というと、三等空佐くらいだな…」
『ええ、二等か三等くらいかな? と思います。老ウイルスさんはジェネラルの上ですから…』
「というと、航空幕僚長くらいだな…」
『いえ、ウイルス戦争時ですから、アメリカ風に襟章五つ星の元帥ですよ』
「偉(えら)いお方なんだ…」
『もちろんです。僕が本来はお傍(そば)にも近づけない偉~~いお方なんですよ』
「そうなんだ…」
『ええ、そうなんです…』
 海老尾は、ウイルスの世界にも上下関係はあるのか…と、なんとなく思った。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [74]

2023年03月27日 00時00分00秒 | #小説

 モレフの緊急承認が厚労省から出されて後、製薬大手各社は先のモレアと同じように後発製剤として幾つかの薬剤の製造を早めた。早めなければ、死者は世界各地で急激に増加する危険性が確実になったからである。
 腹を満たすと、海老尾は疲れからか深い眠りに襲われ、たちまち夢を見た。
『どうなんですっ!?』
 夢の中のレンちゃんが、海老尾の語り口調で訊(たず)ねた。
「? なにがっ!?」
 海老尾は蛸山の語り口調で返した。
『嫌だな、モレフですよっ!』
「耳が早いな、君は。僕は政府やメディアの人間じゃないから、そんなことは分からんよ、ははは…」
 レンちゃんは、僕には耳がありませんと言いそうになり、思わず口を噤(つぐ)んだ。ウイルスには口もないのだが…。^^
『それよか、極悪ウイルスのヤツ、かなり悪どいそうじゃありませんかっ!?』
「ああ、罹患(りかん)すれば、即、死だからな…」
『僕の方も急がなきゃなりませんね?』
『分かりました…』
 レンちゃんは快(こころよ)く応諾したが、内心では自信がなかった。
「いろいろと大変だろうがね」
『はあ…、いえっ!』
 内輪の思いが思わず口に出そうになったが、ふたたび海老尾は全否定した。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [73]

2023年03月26日 00時00分00秒 | #小説

 さて、これからどうするか…? と海老尾は考えた。しかし、考えれば考えるほど自分に出来ることは何もないと思い知らされる。無力なのは事実だから、口惜しいが仕方がない。岸多総理にはその力量があるが、所長の蛸山や自分には研究で結果を出す以外には大した力量はないのである。
 蛸山と海老尾が三日三晩、徹夜の結果、完成させたモレアの改良薬モレヌ・フィッシュ、通称名モレフは第一相・治験[臨床薬理試験]のみで一発承認された。患者の増加を何がなんでも食い止めねばならない岸多首相の号令一下、一発承認されたその背景には罹患者=死者という図式があったからだ。
 その夜、海老尾は蛸山にまた電話した。少し気分が落ち着いてきたこともある。
『蟹岡君に電話したら、すぐにでも長官にお伝えします・・ってことだったからね』
「昼のニュースでは承認されたということでしたが…」
『バタバタと倒れて出る死者の山は国としても困るだろ?』
「はあ、そりゃ誰だって困ります。で、罹患(りかん)状況はどうなんです?」
『全国各地で少しづつ出始めているようだ。発生10Km圏を消毒しているらしい』
「そうするしか今は手段がないですよね」
『ああ…』
「そうすると、戒厳令下ですから当分の間、自宅待機ですか?」
『ホームワークで出来ることはあるが、研究室に入れない以上、私達にやれることは限られるからね』
「ええ、確かにそうなります…」
 会話がお通夜になってきたので海老尾は、前触れもなく携帯を切った。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [72]

2023年03月25日 00時00分00秒 | #小説

「僕がかけてみます。所長は、しばらく僕の電話をお待ち下さい。今、どこですか?」
『今どこって君。戒厳令で動けんのだから当然、研究所に缶詰めだよ。エントランスを出ようとしたら、このザマだっ!』
 蛸山の、どこにもぶつけようのない怒りの言葉が海老尾の耳に届いた。
「それよか、生活物資はどうなるんですっ!? 半月くらいなら何とかなりますが、誰だって底をつきます。特に食糧は…」
『そう思うのは当然だが、私ら研究員が思うのは、果たして国民が罹患(りかん)せず生き続けられるか? だろう』
「すみません。つい、私見が出てしまいました…」
『別に謝(あやま)ることでもないが…』
 海老尾は一端、携帯を切ると、ふたたび波崎に電話した。ところが、何度となくかけたが、波崎に繋(つな)がらない。
『おかけになった電話は、電波のとどかない所に…』
 流れるのはメッセージだけだった。考え得るのは、波崎が電話に出られる状態ではないということだけだった。
「仕方がない…」
 海老尾は、ふたたび蛸山へ電話した。
『どうだった? 海老尾君』
「それが、繋がらないんですよ、所長」
『繋がらないって、君…。よしっ! 知り合いの蟹岡に電話してみるよっ! 何か分かるだろう』
「蟹岡さんって、岸多内閣の官房副長官、蟹岡さんですかっ!?」
『ああ、今はそうだったな…』
 海老尾は蛸山の人脈の多さに驚かされた。
「分かりました。政府の関係者なら最低限のことは分かるでしょうから…」
『ああ、私から電話するから、連絡を待ちなさい』
「はい…」
 海老尾は携帯を切った。世界が少しづつパニックに向かっている…。海老尾にも最低限、そのことだけは理解できた。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [71]

2023年03月24日 00時00分00秒 | #小説

 思えるのは先々の心配ごとばかりである。世界で一日、数千人規模の死者が出る事態は続いている。
『果たして間に合うか…』
 蛸山と海老尾が生み出した最低限の薬効を示す薬剤が人々に出回るまでの心配である。海老尾は洗顔を済ませ、顔をタオルで拭(ふ)きながら深い溜め息を一つ吐(つ)いた。
 政府によって戒厳令が出された都心の街路には人っ子一人、見当たらなかった。テレビ画面に映し出されるのは、テレビ局が飛ばした取材用のドローン映像だった。搭載されたテレビカメラが映し出す荒れ果てた街の光景である。ゴミが飛び、カラスが舞っていた。
「酷(ひど)いもんだっ!」
 買い溜めた冷蔵庫の食糧で、取り合えずは凌ぐしかない。さて…明日は勤めに出られるのか? という素朴な疑問が海老尾の脳裏に浮かんだ。政府が発した緊急事態宣言は何度も経験してはいたが、戒厳令など恐らく第二次大戦前の世界を知る者しか知らないはずだった。電話は通じるか…と、海老尾は次に思った。ミルクを飲み干しながら携帯を手にすると、蛸山にまず、電話した。
「所長ですか? 海老尾です。明日は通勤できるんでしょうか?」
『そんなことは私にも分からんよ。戒厳令は緊急事態宣言と違う国の異常事態対策だからダメだろう…。当分、誰もが動けんのじゃないか?』
「やはり、そうですか…」
『ああ…。私にも、はっきりしたことは分からんさ。今、総務の波崎君に電話しようと思っていたところだよ』
「波崎さんですか? 彼ならザワザワと潮騒のように知っていそうですね」
『ああ…』
 二人は総務部長の波崎を当てにした。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [70]

2023年03月23日 00時00分00秒 | #小説

 ここは、極悪ウイルスのアジトである。
『フフフ…人間達よ、賭殺される動物の身になって少しは反省すればいい』
『親分、アフリカ方面は抜かりがありやせんっ!』
『おお、そうか、よくやった! アジア方面はどんな塩梅(あんばい)だっ!』
『そろそろ報告に戻ってくる頃と思いやすが、まあ、抜かりはねえと存じやすっ!』
『いいだろう! ご苦労だったな。長旅で疲れたろう、少し休むがよいっ!』
『ははっ! 有難う存じやすっ!』
 報告に寄ったウイルスが去ると、極悪ウイルスは身体を揺らせながら何やら考え始めた。
『フフフ…人間どもめ、少しは懲(こ)りたろう。自分達が招いた行いの悪さを思い知るがよい。それはそうと、人間達が死滅したあと、生物界の頂点は俺達になるのか? いや、そうはならねぇ~だろう。猿かっ? …猿は猿だからなぁ~。まあ、グダグダ考えても仕方がねぇ。ははは…なるようになるかっ!』
 極悪ウイルスはニヒルに嗤(わら)った。
 一方、こちらは夢から目覚めた海老尾である。寝室の窓から射し込む日差しが眩(まばゆ)い。
『ああ、もう朝の七時前か…。それにしても、よく寝たぞ。いや、夢を見たんだからそうでもないか…。まあ、レンちゃんには会えたことだし、よしとしよう…』
 海老尾はそんなことを思いながらベッドから下り、洗面所へと向かった。向かう途中、応接セット前に設置されたテレビのリモコンを押した。
『臨時ニュースです。政府は民間人の専門家による諮問会議を立ち上げ、ウイルス対策を検討するようですっ! 現在までの死者数は、全国で168万6千人を超え半日で200万人に達する勢いを見せていますっ!』
 テレビが喧(やかま)しい音を響かせ始めた。
『モレアに代わる薬剤が出回るまで、まだ時間がかかるか…』
 海老尾は洗面台の蛇口をひねりながら、暗く思った。

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SFユーモア医学小説 ウイルス [69]

2023年03月22日 00時00分00秒 | #小説

「寝てしまったか…。そういや、腹が減ったな」
 海老尾は玄関のフロアを上がり部屋へ入ると、冷蔵庫をガサゴソと物色し始めた。
『鍋焼きうどんが残っていたか…。もう春だから、食べておこう』
 そう思いながらインスタント的なレトルトうどんをIH台で調理し始めた。IHだから調理は瞬く間に出来る。液体出汁の過熱速度が早いからだ。
 海老尾は出来上がった熱めの鍋焼きうどんを美味(うま)そうにフゥ~フゥ~しながら食べ始めた。口が熱くなれば冷えた缶ビールを流し込む。約15分で間食した。すると、また睡魔が海老尾を襲ってきた。三日三晩の徹夜は、身体へのダメージを、かなり与えているようだった。
『海老尾さん、海老尾さんっ!!』
 すでに海老尾は夢を見ていた。場所はキッチンで、食べた鍋焼きうどんの器(うつわ)と箸(はし)があり、海老尾が食事を終えたそのときの状況だった。ただし、それは夢の中の話である。現れたレンちゃんが必死に海老尾の耳元で囁(ささや)いている。
「んっ!? ああ、眠ってしまったか…。レンちゃんがいるということは、これは夢の中だな…」
『そうですっ! 夢の中です』
「どこまで話したんだったか…? そうそう! 次に会うときは状況が好転しているはずです・・とかなんとか言ってたよね」
『つい今しがたですよっ! そんなにはやく好転する訳がないじゃないですか、ははは…』
 レンちゃんは回転しながら声をあげて笑った。
「君も笑うんだな…」
『そりゃ僕だって面白けりゃ笑いますよっ!』
「いやいや、茶化すつもりはなかったんだ、悪い悪いっ!」
『しや、そんなことはどうでもいいんですよ。つい今し方、一ついい情報が入りましてね。極悪ウイルスのアジトが判明したんですよ』
「アジト? アジトというと、潜伏先の場所のアジトかいっ!」
『ええ、そのアジトです。あとはヤツらの弱点が分かれば…』
「老ウイルスさんの手配のお蔭か…。なんとか早く頼むよっ! 僕と所長で犠牲者を食い止める最低ラインの製剤がなんとか完成しただけだから…」
『はいっ! 出来る限り、やってみます…』
 レンちゃんがやる訳ではない。老ウイルスがやる訳でもない。老ウイルスが手配させる配下のウイルス達がやる訳である。^^

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