水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疑問ユーモア短編集 (23)統率力(とうそつりょく)

2020年01月27日 00時00分00秒 | #小説

 どのような組織にも言えることだが、その頂点に立つリーダー[トップ]には統率力(とうそつりょく)が求められる。統率力がなければ組織は乱れ、最悪の場合は瓦解(がかい)してガッカリすることになる[ダジャレ^^]。だからリーダーには統率力が求められる訳だが、そう上手(うま)くすべてのリーダーに統率力が備わっている訳ではない。監督、司令官、社長など、リーダーは、いろいろな分野で様々に分化しているが、統率力[リーダーシップ]が有り過ぎるほどあっても、そのリーダーの進む方向が間違っていれば、ただの独裁者で、組織は偉い事態に陥(おちい)ることになる。得てして、こういう人物が国家なら軍国主義で国民が疲弊(ひへい)する事態がそれだろう。まあ、どうにも出来ない私達庶民には、どぅ~~でもいい話なのだが…。^^
 戦国時代の小田原城中である。四方を統率力のある羽柴軍に取り囲まれた北条氏政、氏直親子の下(もと)、重臣達による評定(ひょうじょう)が行われていた。世に言う[小田原評定]である。
「さぁ~~て、どうしたものか…」
「殿、勝ち目はござりませぬ! ここは籠城(ろうじょう)をっ!」
 重臣の一人、家老、松田憲秀に進言された氏政に対し、北条氏康の四男、氏邦は強く、出撃を主張した。
「黙れっ! 聞く耳、持たぬっ! 出撃あるのみぞっ!」
 氏政は、いよいよその統率力を問われることになった。
「籠城じゃ! 籠城っ!!」
 ついに決断は下された。天正18年1月のことである。
『無理じゃ…。降伏のみっ! 糧秣(りょうまつ)が足らず、孰(いず)れは利用(りよう)できぬぞ…[戦国時代のギャグ]』
 氏政の子で徳川家康公の娘婿、氏直は内心で、そう思ったか思わなかったは定かでない。ギャグは言わなかっただろうが…。^^ ただ、降伏思考が史実であるとすれば、真に統率力があった武将は氏直・・ということになる。^^ 事実、天正18年6月以降、北条氏は降伏する。そして、家康公の娘婿ということで一命だけは許され、高野山へ追放となったが、惜しいことに、その翌年、当地で没した。
 統率力とは? と疑問が湧くが、一つ言えることは、間違いが許されない・・ということだろう。^^

                                完


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