日本語の読みには疑問が湧(わ)くことが多い。以後の回もそんな話題を書くとは思うが、今回は御手洗(みたらし[い])という言葉を話題にしたい。そう読むんだからそう読むんだっ! と大上段に振り翳(かざ)されれば、そうです…と頷(うなず)く他はないが、よくよく考えれば、音訓的には、とてもそうは読めないのである。[御]の字を[お]と書いて、[お手洗]とすれば、訓読みは、どう考えても[おてあらい]となるだろう。[おたらい{し}]の読みは100%ないのだ。^^ 言語学者以外は、まっ! どうでもいい話なのだが…。^^
とある公園のイベント会場前で、多くの人が並んでいる。そうなれば当然、トイレも混むことになる。
二人の男がでイベント会場の列(れつ)に並びながら語らっている。
「御手洗(みたらし)なんですがね…」
「ちょっと見てきましょうか?」
「お願いします…。入場券は取っておきますから」
「さよでっ! そいじゃ、お願いしますっ!」
そう言うと一人の男は駆け出し、列から姿を消した。そして、しばらくすると、ニヤけた顔で戻(もど)ってきた。手には、みたらし団子を両手に二本ずつ、合わせて四本を持っている。
「ありましたっ! みたらしっ! はいっ!」
男は片手の二本を手渡そうとした。そうじゃないんですっ!! と言えない男は、笑顔で受け取らず、姿を消した。もちろん、お手洗である。
御手洗[みたらし]という読みが誤解を招いた馬鹿馬鹿しい話だが、なぜそんな読みになったか? が疑問となる。^^
完