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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

在職老齢年金の歴史②

2018-06-17 23:22:13 | 年金

先々週に続きまして在職老齢年金の歴史です。先々週は昭和61年の年金制度大改正前までの在職老齢年金のことを載せました。その時代の在職老齢年金は低賃金を補うという役割を果たしていました。そして昭和61年の年金制度大改正の際に65歳以上の在職老齢年金はいったん廃止されています。65歳以上から老齢基礎年金を受給する自営業者と揃えるという考え方だったそうです。平成12年の改正(平成14年施行)により高在老が導入されるまでは65歳未満の(要するに特別支給の)老齢厚生年金のみ在職老齢年金の支給停止がかかっていました。

その間の、平成6年の改正でそれまでの所得の補填である在職老齢年金の考え方に変化がありました。それまでの在職老齢年金は、賃金が増えてもその分在職老齢年金の減額も大きくなるため、「働いても働かなくても手取りはほとんど変わらない」という問題があり、就労促進のために、賃金が増えた場合緩やかに賃金と年金の合計額が増えていく仕組みに変更されたわけです。

ちょうどTACで講師をしてテキストを担当していたころ在職老齢年金の改正はしっかり追っていたのですが、ここまで改正が多かったとは正直ちょっとびっくりしました。

 

昭和61年

65歳以上の本来の老齢厚生年金については在職老齢年金制度は廃止

(60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金は在職老齢年金制度の適用あり)

65歳

平成元年

60歳台前半在職老齢年金制度(8割~2割の7段階)に変更

※賃金増でも年金額の合計額が増えず減る場合も

平成6年

60歳代前半について、賃金の増加に応じて賃金と年金額の合計額がなだらかに増加する制度に改正(一律2割は支給停止)

① 在職中は、2割の年金を支給停止。賃金と年金の合計額が22万円に達するまでは、賃金と年金(8割)は併給

② ①を上回る賃金があると賃金の増加2に対し、年金額を1停止

③ 賃金が34万円を超えるとさらに、賃金が増加した分だけ年金を停止

平成12年

上記計算式中34万円→37万円

〈14.4.1実施〉

65歳~70歳未満の在職老齢年金制度「高在老」の導入(復活)

① 基礎年金は支給停止せず、全額支給

② 賃金と厚生年金との合計額が37万円に達するまでは、満額の厚生年金を支給

③ これを上回る場合には、賃金の増加2に対して、年金額1を停止(60歳台前半のような一律2割の年金の支給停止はない)

※60歳~65歳未満は「低在老」と命名

※昭和12.4.2以降生まれ(14.4.1現在65歳未満)対象

70歳

〈16.4.1実施〉

1)低在老 

標準報酬月額の37 万円を総報酬月額相当額の48 万円に

基本月額の22 万円を28 万円に

2)高在老

年金月額と標準報酬月額の合算額の37 万円を年金月額と総報酬月額相当額の合算額の48 万円に引き上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はここまでにしたいと思います。興味のある方は あまり多くないかと思いますが、もう少し続きがありマイブームですのでまた次回おつきあいください。

久しぶりに小淵沢の家に行きのんびりしてきました。目の前の田んぼは田植えが終わり青々として綺麗でした。小淵沢の家に行くと日常よりは早めに寝てしまうことが多く、今回も10時間近く寝てしまいました(なんといつもの倍近く)。やはり自然に近い生活はそういう意味では人間らしいのかなと感じてしまいます。しかし明日からまた色々と予定があり、それはそれで張り切っています。

 

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