goo blog サービス終了のお知らせ 

OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

業務上の怪我の事業主補償について

2025-04-28 01:34:42 | 労働保険

 業務上の怪我の場合、労災保険の補償を受ける又は自動車事故の場合などは自賠責など民間保険を使い労災の補償は民間保険に該当する部分については受けないということが一般的な取扱いかと思います。労災保険の補償を受けず自賠責を先行させることについては、以下の通り通達「自賠責保険と労災保険との支払事務における自賠責保険の先行支払の調整について(昭和41.12.16基発1305号、平成8年3.5基発99号)」が出ています。

 「今般、自動車損害賠償保障法、同法施行令並びに労働者災害補償保険法が改正されたことを機会に、調整事務の円滑化をはかるため、関係機関と協議の上、従来の取扱いを下記のとおり定めることとしたので、事務処理に遺憾のないよう期せられたい」とあり、「給付事務の先後の調整 労災保険の給付と自賠保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自賠保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」とされています。

 それでは労災の補償を受けないケースというのはそれだけかというとそうではなく、労基法の災害補償の規定を元に事業主が補償をするケースもあります。これは比較的小さな怪我の場合が多いと思うのですが、事業主が治療費や休業についても補償するという方法も可能です。労基法の災害補償は、①療養補償②休業補償③障害補償④遺族補償⑤葬祭料が定められており、そもそも労災保険は労基法の災害補償を実現可能なものとするために作られたとされています。

 というのも労災の補償はとても手厚く、また治癒までにどの程度期間が必要かもわからないというある程度の怪我である場合には事業主補償は負担が大きいため労災補償を受けることが適切ですが、休業は必要がないといった程度や、数日の休業で済むような業務上の怪我であれば、労災申請をする手間や、支給されるまでの期間を考えると事業主が負担してしまった方が良いという判断もあり得ることです。

 これはいわゆる「労災隠し」とは異なります。労災隠しとは、業務上災害が発生した際に労働基準監督署に安衛則97条に定める「労働者死傷病報告」を提出しなかったり虚偽の内容を記載して労災の事実を隠そうとする場合を指し、労働安全衛生法の100条(報告)違反とされることをいうのであって、事業主が補償をすることにより労災を申請しないのは労災隠しではありません。

 労働者死傷病報告は休業がない場合は提出不要とされていますので、ちょっとした業務上の怪我で病院で手当てを受けたというような場合は、事業主補償をするケースもかなりあり、法律上においても問題はないわけです。なお、事業主が補償する場合であっても、休業した場合には「労働者死傷病報告」の提出は必要なので忘れないようにしなければなりません。

中高4年間過ごしたテニス部のOB会に参加するために、週末久しぶりで神戸に行ってきました。北野にあるホテルに1泊して、お天気も良かったため、翌日はあの辺りを歩いてみたのですが、古いマンションもベランダに花を飾り外国に旅行したような雰囲気で、とてもリフレッシュしました。

来週はゴールデンウイークなのでブログはお休みします。良い連休をお過ごしください!

泊まったホテルの「世界一の朝食」はクロワッサンと半熟卵がすごく美味しかったです。

  

この記事についてブログを書く
« 試用期間の解雇予告適用除外... | トップ | 海外勤務など年休5日取得義務... »
最新の画像もっと見る

労働保険」カテゴリの最新記事