僕の畑にはバッタがたくさん飛んでいる。
虫かごを持った小学生の男の兄弟が2人、
それぞれが自分の身長の倍ほどある大きな虫取り
網をもって、いつの間にか僕の畑の中に入って来
ていた。
「何、捜しているの?」と少し大きな声で聞くと
「もう、大きな声出すから、逃げちゃったじゃない
の」と舌打をしながら、少し大きな方のお兄ちゃん
が応えた。
「バッタ、バッタ、とってる・・・」と小さな声で小さ
な方の男の子がうつむいて応えた。
「ゴメンゴメン」といって、近くにいたトノサマバッタを
2匹とってあげて、虫かごの中に入れてあげると、
2人の兄弟は目を輝かせながら
『アリガト!!』とその虫かごに向かってお辞儀をした。
そういえば、僕の畑に来た人はその虫の多さに驚いた
りする。だれしも「昔はこんな畑でしたよねぇ。」とバッタ
の飛ぶ畑をみていうが、地元の百姓の人にいわせると
「草を刈って、ちゃんと管理しろ!」ということになる。
草を刈ることや虫を防除することが百姓の仕事ではな
いはずなのに・・・。草があり、虫が飛ぶ、その中で
元気に育つ野菜のおすそ分けを頂いて僕は生きていき
たい。
昔、北川民次という洋画家がいた。変わったバッタの絵を
描く事で有名だが、彼はそのバッタやイナゴで“自然の
畏敬”を表現していた。人間は自然を恐れることはないと
思うが、自然を征服しようとか自然を敬う心を忘れては
いけない。
北川民治はその自然への畏敬を若い時代にメキシコで教わ
ったという、現在そういうことを日本では誰が伝承してい
るのか、そんなこともない国ではやはり“豊か”とはいえ
ない。
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