今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

京葉線に乗る

2011年03月31日 | お天気
パソコンを買い替えて、私設「ひぐらし気象台」が復活。
誰に頼まれたわけでないのに、ローカルな気象情報のネット配信を、
わが”気象予報士”の本業として勝手に義務感をもって
欠測が続かないようにしている。
だからこそ、機器の故障には迅速に対処し、ホッとしている。

それに安心して、京葉線に乗って、千葉県の浦安市に行ってみた。
地震による液状化の跡を見るため。
ディズニーランドのある舞浜の次の新浦安で下車。

駅の外に出ると、さっそく、地盤のうねり、ひび割れを目にする。
エレベータ塔が数10センチ地面から盛り上がっていて、使用禁止状態(写真)。
歩道にたまった砂を重機を使って除去している。
東京から、千葉に渡ったばかりの場所で、地震の痕跡がこんなに明確だとは驚く。

あと、京葉線沿いは、津波用の防壁が見当たらず、
想定されている東京湾直下型地震の時、津波の被害が懸念される。

距離感の不確かさ

2011年03月30日 | 東日本大震災関連
放射線の危険性について、「有り/無し:危険/安全」という定性的判断でなく、
測定された放射線量をもとに、危険度も定量的に考えるという習慣が、
多くの人に身に付いたようで、喜ばしいことだが、
人間の思考における定性的バイアスは、なかなか強固。

たとえば人が感じる距離感は、実際の客観的な距離そのものを反映しない場合が多い。

飛散する放射線物質の量は、距離に比例して少なくなるものだが、
関東の人間にとっては、白河もいわきもいっしょくたに「福島県」内として、危険地域と見なしてしまうし、
西日本の人間にとっては、東京も福島と同じ「東日本」に入れて、やはり危険地域と見なしてしまう。
そして海外の人間にとっては、福島のある「日本」そのものが、等しく危険地域に見えてしまう。

この発想は、広さのある地域をカテゴリーとして均一化して認識する定性的思考による。

もう一つは、距離が遠くなるほど、遠方の2点間の距離は小さく感じられてしまう、という距離感の錯覚にもよる。
東京から見ると、ワシントンとニューヨークは隣同士に感じられる。

そのため、西日本の人にとっては、東京は福島第一原発の近くにあると感じているのかもしれない。
その実際の距離(230km)は、大阪市と金沢市、広島市と明石市、福岡市と鹿児島市の距離に等しいのだが。

ついでに名古屋から、東海地震想定震源域上にある浜岡原発は127km、定常風の風上にある美浜原発は105km。

どうせなら、福島第一原発を中心に、等放射線量(より正確には、放射線の減少分)=等距離とした地図を作ってみるといいかも。

中伊豆を歩く

2011年03月28日 | 
夕べ泊った宿は、もともと湯治的な地味な宿であることの他に、
修善寺などの温泉街から離れていて、ポツンと不便な場所にあるためもあろう、客は私の他はカップルが1組だけ。
なので男湯は独り占めだったが、夜の誰もいない大浴場って(しかも離れにある)、寂しすぎて落ち着けなかった。

朝食抜きプランにしたので、朝はゆっくり起きて(朝食より睡眠を優先する)、カップルが朝食を摂っている頃、
貸切のラドン湯に浸かって手足を伸ばす。
チェックアウトし、せっかくの伊豆の旅なので、修善寺駅までの5kmを歩くことにする。

雪の天城山を背後に、春のうららかな”中伊豆”を歩く。
里の中の一本道、すれ違う地元の人とは、自然に挨拶をかわす。
そういえば、往きの路線バスでも、乗客は運転手にお礼を言って降りていった(全員ではないが)。
挨拶が盛んないい土地だ。

寄り道をしたかった歴史資料館に入る。
見学者が誰もいなかったので、館内は消灯され、暖房も切れていた。
私が入館すると、中に一人で番をしていた館長らしき人が、
館内の照明をつけ、暖房も入れようとしたが、暖房は結構ですと断る。
客は私だけなので、その館長は私と一緒になって展示物を全部説明してくれた。
地方の客の来ない博物館や資料館に行くと、たまにこういういい体験ができる。

昔、この付近も被害に遭った「北伊豆地震」や「狩野川台風」の当時の新聞記事などもあった。
今はのどかなこの地も、やはり自然災害からは免れていなかった。

伊豆の温泉にて

2011年03月27日 | 温泉

※このブログは、本来は、ごく私的な身辺雑記であり、決して公的存在価値を目指したものではありません。放射線量のデータや値の解説も、もう世間に充分出回っています。一番恐れていた事態は回避できそうですが、解決までかなり時間を要しそうです。私自身、先へ進みたいので、そろそろ本来の姿に戻していきます。SLOWLYのリンクの更新にも専念できなくなりますが、ご容赦ください。今までの多くの方のアクセスとご協力に感謝いたします※


伊豆修善寺から少し奥に入った一軒家の温泉に来ている。
年度末の慰労のために、震災以前から予約していた宿だ。
実は地震直後の16日も名古屋から近場の温泉に泊りに行く予定だったが、15日午前中の関東の放射線状態に驚いて、キャンセルして帰京した。
いまだ、自分なりの震災ショック、とりわけ原発事故ショックの最中にあり、
被災者でない私が、被災者に共感しすぎて、自分までも被災者のつもりになってはいけないのだが、
放射線についてのブログ記事を量産していたこともあり、なかなか通常モードに戻れない。
自分自身の気分転換・リラックスがまずは必要だった。

私を含めた"被災者以外の者"は、できるだけ通常モードに戻ることが、 日本の復興につながるはずだ。

ついでに、私が来ている温泉とは、「神代(じんだい)の湯」といって、玉川温泉にあるのと同じ北投石(ラジウム)を使った浴室があるのが売り。
体に効きそうな放射線量を測るために、ガイガーカウンター持参。
これが私にとっての本来の使用法。
北投石が混じっているという浴槽のある浴室(予約貸切)でスイッチを入れてみた(貸切だからふんだんに測れる)。
その結果、200nSv/hr。
悲しいことに、ちっとも高い値と思えなくなっている。


ひぐらし気象台運用停止

2011年03月26日 | お天気
このブログは、本来は私の身辺雑記なので、それを書かしていただく。

わが私設「ひぐらし気象台」は、配信に使っていたパソコンが故障したため、
しばらく運用を停止します。
できるだけ早く再開したいと思います。
それまで、しばらくお待ちください。

今こそ知ってほしい言葉

2011年03月26日 | 防災・安全
「天災は忘れた頃にやってくる」という明言を残したのは、
夏目漱石の弟子にして物理学者の寺田寅彦であるという(文字で残したのではない)。
ただ、今回の被害は、地震と津波を”忘れた”がゆえの被害ではないが。

その寺田寅彦の言葉をもう一つ紹介する。

ものを怖がらな過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、
 正当に怖がることはなかなかむつかしい
」-寺田寅彦-

この言葉こそ、私の座右の銘であり、皆さんと共有したいものなのだ。

原発事故を、私も怖がっている。
われわれは、それを、できるだけ、正当に(過不足なく)怖がろう。
そのために必要なのが、正確で迅速な測定値の情報と、その情報を解釈するきちんとした知識(≠世間的な思い込み)だ。
この2つをたずさえれば、自分の怖がりの正当性に、ますます自信がもてる。

参考値

2011年03月25日 | 東日本大震災関連
放射線量の観測網で値をチェックする際、その値の意味づけについては、
新聞などに出ているものを参考にすればいいのだが、いまいちピンとこないかもしれない。
なので私なりの参考値を紹介する。

ちなみに値の大きさをわりやすくするため、
私のブログでは1nSv/hr=1円と置き換えた円換算値を使用する。

今地球上で、人が浴びている平均値(自然放射線による)は年間1200μSv(120万円)。
これを測定値と同じ1時間当りになおすと、140nSv/hr(140円)となる。
つまり南関東の今の値は、実は世界平均レベルにすぎない。
なので、日常生活のどこも変える必要はない(東日本はもともと平均以下だった)。
放射性物質の付着の問題も、基準値以下ならまったく問題ない
(基準値は、医学的根拠に基づいている)。

つぎにずっと深刻になって、「屋内退避」、
つまりできるだけ屋内にいて、無用な外出は避けたほうがいいという基準。
真の屋内退避基準は5000μSv/hr(1時間当り500万円)とずっと高いのだが、
これは外出禁止レベルなので、現実(福島県の今)にはもっと低い段階で発動された。
そこでの基準はご存知のように”原発からの距離”によっていた。

私が推奨する屋内退避の基準値は、10μSv/hr(10000円)。
その根拠は、この値までなら年間合計してあびても安全という値を、
1時間当りに直した値11.4μSv/hrを参考値としている。
たとえばこの基準によると、今の屋内退避域は半径30キロであるが、
北西側関しては40キロ圏の人も屋内退避していた方がいいことになる。

それから、実際の退避か避難かという基準には、測定された高い放射線量が一時的なものか、
今後も持続するのか、あるいはさらにどんどん高くなるのかの判断(予想)が必要となる。
それには、現在の測定値だけでなく、発生源である原発の事故状況が重要なのだ。

実際、今日になって現在の屋内退避域の住民に自主避難を推奨しだしたのは、
今の状況が今後も改善されないという認識にたったためだろう。

ただ、私のブログをずっと読んできている人なら、
(暫定基準値など)安全基準を超えた途端に危険域になるものではないことはご存知だと思うが。

まだ根本的には釈然としないかもしれないが(その理由は分かっている)、
とりあえず今はこれにて。

作業員の被曝:追記

2011年03月25日 | 東日本大震災関連
作業員が被曝した。
放射性物質が満ちた水がある中、くるぶしまでの靴で作業したため、という。
長靴をはかないで作業させるなんて、非常識!と、識者たちはあきれ、怒っている。
事故の処理、すなわち、われわれの運命は彼ら作業員にかかっている。
そのためには、彼らが安全に作業できるよう、細心の配慮をする事が前提だろう。

ナノ・シーベルトレベルの増減に一喜一憂している私などの外野と違い、
ミリ・シーベルト下で作業している彼は、その値の意味を知れば知るほど恐ろしいはずである。
その恐怖心をできるだけ取り除かねば、作業はできない。

ちなみに、ナノとミリの差をわかりやすくお金に換算すると、
ナノを基準にして、1円から999円までの値とすると、マイクロが1000円から99万円。1ミリが100万円だから、100ミリが1つの問題となる彼らの作業環境は、1億円レベルなのである。
逆に言えば、放射線被曝が真に問題となるのは、数千万円から数億円レベルの”資産”の世界。
計測好きな私が東京で騒いでいるのは、50円から200円のスナック菓子の世界(現在132円)。

※追記
夜のニュースで、被曝量は局所的に、2-3Svになったという(ミリが外れている!)。
すなわち、20-30億円という、わかりやすくしたはずの円換算がかえって(私には)わからなくほどの値。
それが、皮膚が火傷状態に直接やられてしまう値(重症ではないようだが)。





放射線観測網が実現

2011年03月24日 | 東日本大震災関連
福島原発の影響を受けそうな近隣各県が放射線観測態勢を整えた。
わがブログの「リンク集」において、それらを一堂に会させることで、放射線観測網が実現した。
原発を中心として(東側は海だから除外)、最も近い周囲域は避難区域なので空白だが、
原発正門から、福島県内、隣接県、そして南関東や新潟など200km圏まで含まれている
(距離は南関東と同じなのに全く影響のない新潟が羨ましい)。
空気中の放射線量だけでなく、水道水や降下物の放射性物質の測定も可能になった。
さらに風向の実況リンクも加えたので、ある程度の予測もできる。

もしかしたら、数日以内に、原子炉格納容器内の圧力を抜くために、一時的に放射性物質が外部にかなり放出される可能性がある。

自治体向けだというSPEEDIを直接利用できないわれわれは、リアルな実測値を頼りにするしかない。
本観測網は、データの更新が遅いサイトからの情報を集めてやっと全体像がつかめるので、SPEEDIに対向していろいろ皮肉をこめて「SLOWLY」と名づけたい。

測器の設置環境の違いによる誤差

2011年03月23日 | 東日本大震災関連
放射線量の測定値の公開が一斉に始まって、とても重宝しているが(私も自分のリンク集をフルに利用している)、
水戸と宇都宮など測定地点間を比較する場合、それぞれの設置環境に差があると、その誤差も測定値の差に含まれてしまう。
読者の指摘にあったのだが、宇都宮は高さ20mの所で測定しているという。
本来、われわれの生活空間での値が知りたいわけだから、できるだけ標準となる高さ1mにすべきである。

実際、福島県は、この不統一に気づき、ビルの階上での計測をやめて、駐車場など地上での計測に統一しつつある。

ただ現実的には、その高さに常置することが困難な場合もあるので、その場合は高さを明記すべきだ
(気象観測の風速計も、観測地点によって地上からの高さが異なるので、設置している高さを明記している)。

高さが異なると、どういう誤差が生じるのか。
地表から遠いと、地上に堆積した放射性物質から遠ざかるため、値が低くなる。
地表のずっと上にあると、本来なら雨で地上の値が高まる現象もひろいにくくなるかもしれない。
ただ、数百メートルレベルで高さ(標高)が違うと、高い地点は宇宙放射線を多くひろうので値が高くなるはず。
ただし17日の宇都宮以北の増加は、標高の増加によるものではなく、原発への接近効果である。

あと、特に雨天だと、室内と屋外とでは差がふえる(当然、室内<屋外)。
測器に防水性がない理由で、屋内に設置しておくと、雨天の増加を正しくひろえない。
逆に、室内での石の壁面や鉱物の置物類が接近していると、それらの自然放射線をひろって値が定常的に増えてしまう。
そういう場合も考慮して、壁面や置物などから離して設置する。

環境要因以外では、測器の機種レベルの差(器差)もあろう
(私のガイガーが東京都公式の値よりいつも高めに出るのもこの違いだと思う)。

というわけで、地点間の差には、第三者が感知できない誤差がふくまれうるので、
設置者側で、測器の設置環境を明記してほしい(値を読む側はそれを考慮する)。

いずれにせよ、われわれは、主に同一地点の増減に注目した方が間違いが少ない。
どうしても地点間をくらべたい場合は、1回きりではなく、もっと長めに見比べて、
それぞれの地点の増減のパターン(那須では減っているのに、今市では増えているなど)に差があるかを見るなら問題は少なかろう。
あるいは、比較した結果、一方の地点の値が一貫してどうも腑に落ちない場合(特に近接しているのに値の差が大きい)、設置環境が大きく異なっている可能性がある。

一難去ってまた一難

2011年03月23日 | 東日本大震災関連
福島第一原発の全機に配電ができたというので、先ほど安心した記事をアップしたが、
1号機と2号機の内部に問題があることがわかり、
それを受けてその記事を取り下げた。
一難去ってまた一難だが、全体的にはゆっくりでも収束に向いているのは確かだろう。

土壌や水の汚染など、事故の”合併症”の問題にも言及したいが、
原子炉の本症が未解決なので、空気中の放射線量のチェックから離れることができない。

その放射線量は、福島・宮城・関東いずれも、
ゆっくりとした減少傾向(多少の増減をくりかえす)にあるようだが、
茨城-東京ラインだけは、高止まりにおける漸減という状態。
全体的には、原発から北側一帯は、内陸側の方が海沿いより高めで(福島市>相馬、白石>岩沼)、
南側一帯は内陸よりも海沿いの方が高め(白河<いわき、栃木<茨城)の傾向である。

まだ強い余震も心配。
余震が復旧工事の妨げにならないことを祈る。

名古屋に離れて

2011年03月22日 | お仕事
今日・明日と勤務先の会議があるため、昼前に名古屋に向け出発。
東京駅の新幹線ホームには、学齢前の小さな子どもと大きな荷物をもった母子が幾組みもいるが、混雑はない。
名古屋では、もちろんテレビ番組での注目度は東日本と同じだが、
自分自身、距離の遠さを感じる。
自ら放射線量を測る必要もなく、余震もない。
正直、ホッとする部分があり、同時に今までの張りつめていた心にどっと疲れを覚えた。
もし、東日本にいて精神的に参りそうなら、もちろんそれが可能ならだが、現場から遠い地に離れてもいいかもしれない。
たとえ数日間でも。


逆転現象:いわき<北茨城<高萩の怪

2011年03月22日 | 東日本大震災関連
空気中の放射線濃度は、発生源から遠くなるほど薄くなる、というのが大原則。
少なくとも、同一方向では、当然の現象なのだが、
22日正午の時点で、放射線量(nSv/hr) が、いわき1880、北茨城2010、高萩2800 と、
南へ遠くなるほど、多くなっていることに気づいた。
実は、昨日から、北茨城<高萩の状態が発生していた(いつもは高萩は北茨城よりずっと低いので無視して、気づかなかった)。

ちなみに高萩以南は、ぐっと下っている(多くて半分以下)。つまり高萩が分布の最高地点。
まるで高萩に別の発生源があるかのようだ。

考えられるとすれば、発生源からの空気が、鉛直的あるいは水平的にいわきと北茨城を迂回して高萩に集中したとか。
しかも、定常的ではなく(定常的なら地形などの効果)、この一日だけの現象。
高萩の風向が不明なので、推測する方法がない。
いずれにせよ、風の複雑な流体力学現象によって引き起されているはず(合流によって渦を巻いているとか)。

それにしても値そのものも高い(15日ほどではないが)。
高萩は昨日の南相馬市なみの値。
福島第一原発からの飛散量が増えているというのが、一番考えやすいのだが(ただし、南以外の地域は増えていない)。

かように、地点の間の差は、距離だけでは説明できない難しさがある。
すなわち、下の記事の推定式は、精度は低い。

放射性物質のいわき・北茨城・東京ルート

2011年03月22日 | 東日本大震災関連
昨21日以来、いわき・北茨城そして東京の放射線量が高止まりになっている
(いわき:5時 2450nSv/hr  北茨城:2時 1590nSv/hr  東京:5時台平均 133nSv/hr)
浜通りのいわきは中通りの白河より、今までは放射線量が低かったが、昨日から逆転して高くなった。
つまり、原発周辺の空気が、浜通り沿いにのみ南下し、いわき・茨城の太平洋岸を水戸まで南下し、
茨城県南で、鹿島灘からの海風を受けて、南西に向きを変え、千葉には南下せずに、水戸街道ルートで東京に入り込んだ。
一方、白河から那須に至る奥州街道ルートはむしろ減少傾向を維持した。
つまり、放射性物質は白河の関は通らず、勿来(なこそ)の関を通って関東に入り込んだ。
これは東京への直行ルートといえる。

この傾向は、関東南岸に低気圧がある時の、すなわち福島以南が北寄の風となる時のパターンとなろう。
雨天の時は、一般的に大気中の濃度が高くなるものだが、茨城-東京の上昇率は今回のようにそれを上回ることになる。

ちなみに、拡散ルートで一番値が高いのは、原発から福島市方向に北西に向かう領域である(5:00の福島市で6990nSv/hr)。
福島市の方が、いわき市よりも原発から20kmほど遠距離なのだが、以前は10倍、今でも3倍高い。
雨がやんで春の陽気に戻ると、北風がおさまるので、また差(福島>いわき)が開いてくるはず。

このように、方角によって拡散(減少)の程度が大きく異なっている。
ただ、同一方向上では距離が遠いと薄まる効果がはたらくので、
たとえば北茨城はいわきのおよそ2/3の値,東京は北茨城のおよそ1/10(いわきの1/15)の値という傾向もおさえておくとよい。
いわきと原発地点との値のおよその比率がわかれば、(仮に今原子炉真上が500mSv=500 000 000nSvとするなら、およそ40km離れたいわき市ははその0.0005%の値に相等)
今後、原発から強い放射性物質が出た時、やがてくる東京の値も推定できる。

たとえば原発から、人が立ち入れない1000mSv(1Sv)/hrもの強い放射性物質が放出された場合の東京の値を、上の諸条件を使って試算してみてほしい(答えは簡単。ただし原発といわきの比率は仮定の話)。

逆に、たとえばあなたが避難を決意する場合の、原発での放射線量はいかほどかも、数値レベルで具体的に考えてみるといい(居住地によって異なるはず)。
その場合、最も高い値になるよう、原発が風上にある風向を前提とする(本当は風速なども考慮が必要。その理由は20日の記事「逃げるならどの方角がいいか」を参照)。
そのためには、その気象条件の時の実測値を元に、下のような※簡単な拡散モデルを作って計算する。
この試算は個人ではなく自治体レベルでやってほしいことだ(原発周囲の自治体にはあるはずだが、他県ではやっていないだろう)。
※簡単な拡散モデル:居住地付近の推定放射線量=(発生源の放射線量)×(距離による減衰係数)×(風向などの気象条件係数)


21日の北茨城・東京の放射線量:18時・19時まで

2011年03月21日 | 東日本大震災関連
福島県外なのでμSvではなく、その1/1000のnSvという単位で表示する(1000倍すればμSvの値)。
北茨城(福島に隣接)
朝7:00から1000nSv/hr=1μSv/hrを超えていた。
8時台が数値のピークとなり1240nSv/hrに達した。
9時台には減少し、
10:00  956nSv/hr。
11:00 1010nSv/hr。
12:00 985nSv/hr。
13:00 1050nSv/hr。一進一退の状況。
14:00 1650nSv/hrに急増。北北東3m/s。ちなみに同時刻の福島県内各地で急増した所はない(いずこも順調に低下中)。同時刻の福島の白河(1600:低下し続けてこの値)と同程度。同時刻の 栃木県の那須の値は610。
15:00 1840nSv/hrに上がった。北北東2m/s。県境で接している福島県いわき市では同時刻 2750とここも増加(昨日は1000以下)。この増加は雨とは無関係(減少傾向にあったのに)。原発から新たな放射性物質が海岸線沿いに南下しているのか。
16:00 1940nSv/hr。一連の増加は3号機から出ている煙と関係があるのか(現場では値の増加はないというが)。
17:00 1900nSv/h。いわき市も2260に下っているので、ピークは過ぎたか。
18:00 1820nSv/hr。 減少傾向になって安心したが、そもそも余分な増加の1000nSv/hr=1μSv/hr分は何なのか。
19:00 1770nSv/hr。いわき市も2160と下がり続けているので、安心
(やはり福島県内はnSvでは大きすぎる値になり、μSvで適したレベル。原発現場はmSv)。
私もこれにて終業。

●東京新宿区の放射線量は、昨日の40nSv/hr台から、今日は7時台(降水中)に59nSv/hr(1時間平均、以下同)に上昇した。北東風なので茨城からの空気が流入してくる。
おおざっぱに言えば、北茨城での濃度が東京では1/10ほどに薄まっている。
8時台  70nSv/hr(+11、増減値)
9時台  96nSv/hr(+26)。
10時台 100nSv/hr(+4)。
11時台 109nSv/hr(+9)。
12時台 113nSv/hr(+4)。
13時台 108nSv/hr(-5)。
14時台 112nSv/hr(+4)。
15時台 118nSv/hr(+6)。
16時台 126nSv/hr(+8)。
17時台 134nSv/hr(+8)。
18時台 135nSv/hr(+1)。
19時台 134nSv/hr(-1)。

●公式値ではないが、私のガイガーでは
10時現在、室内で最高値160nSv/hr、玄関外で最高230nSv/hr(いつも新宿よりは高い)。
家の外が内より明確に高くなったのは初めて。雨滴の影響の有無が効いていると思う。
ついでに室内ラドン濃度は16Bq(昨日より1減少)。
11:45 玄関外。200-260nSv/hr 霧雨。
13:00 玄関外。220-280nSv/hr 霧雨。私の測器ではローマの平常値(250nSv/hr)並に上がった。
14:00 玄関外。190-230nSv/hr。弱い雨(降水強度1.5mm/hr)。北東の風、0.4m/s 室内ラドン濃度14Bq(-2)。
15:10 玄関外。200-230nSv/hr。弱い雨。北東の風、0.4m/s
16:00 玄関外。190-240nSv/hr。弱い雨。北東の風、0.4m/s
17:00 玄関外。 210-290nSv/hr。弱い雨。東北東の風、0.4m/s ラドン 16Bq(+2)
18:00 玄関外。 230-300nSv/hr。雨上り。東北東の風、0.4m/s