今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

新型コロナウイルス騒動での流言・パニック

2020年02月28日 | 新型コロナウイルス

やはり今回の新型ウイルス騒動でも、流言(飛語)が発生している。
流言は、真実でない情報の感染拡大現象だ。

●まずは、チェーン・メールによる「このウイルスは26-27度の温度で殺される」というもの。
それで暖かいお茶を飲みましょう、とつながっている。
私の所にも来た。

内容的に実害はないものの(むしろ無防備にする)、27℃で死ぬなら、深部体温37℃の人体に入った途端死滅するわけだから、感染症は起こせない。
この流言、初歩的な論理破綻をきたしているのだから、受け取った人は広める前に吟味しよう。

仄聞したところ、このウイルスの死滅温度は50℃台だという。
なので咽喉についたウイルスを殺すつもりで飲むなら、”熱い”お茶やコーヒーでないと(それはそれで別のリスクが)。

流言の定型文法として、「”ある人”から聞いた話」ではじまるのが特徴。
この”ある人”は、流言の内容に応じて、権威のありそうな人(今回は、武漢の医者)だったり、関係が近い「知り合い」だったりする。
いずれも話の信憑性を高める布石だ。

幸い私は、この文法・布石に免疫がある(抗原に対する抗体ができている)。

1978年、日本中に「口裂け女」の流言が吹き荒れた時(発信源は岐阜県)、私もあちこちの人からこの流言を語られた。
目の前でこの流言を話す人は一様に「知り合いが口裂け女を見たんだって!」という。
ところが、この話をする誰一人として、「自分がこの目で見た!」という実際の目撃者は登場しなかった。

すなわち、その人の知り合いが直接見たのではなく、その人の知り合いもまた「知り合いが見た」という話を聞いて、それが連鎖したわけで(知り合いが幾重になっても、それは一重の”知り合い”で表現される)、いくら情報源をたどっても口裂け女の目撃者にたどりつけるものではない。
流言の文法とはこういうものかと理解し、以後、「聞いた話なんだけど」ではじまる又聞き情報(多くのチェーン・メール)は眉に唾をして聞くようになった。

●それから、またもや「トイレットペーパーがなくなる」という流言による買いだめパニック(非合理的群衆行動)が起きている(”パニック”は、最近では個人現象に使われているが(パニック障害)、本来はこのような意味)。
これは1973年のオイルショックの時に、大阪の主婦の間の流言から発生したことで有名。
この記憶がある人なら、同じ愚を繰り返えさないように。

といっても、マスクが不足している現在、買いだめされてトイレットペーパーもマスク同様に入手困難になっては困ると思うかもしれない(この不安がパニックの原因)。
安心あれ、マスクとは同じ現象にならない。

マスクはウイルス騒ぎが拡大する中で、誰も彼もが使い捨てマスクを付けだし、その結果、使用量が爆発的に増えてしまった(日本人全員が1日ごとにマスクを取り換えれば、毎日1億枚ずつ消費される)。
だから、実際に生産・流通が追いつかない。

ところが、トイレットペーパーは、呼吸器系(≠消化器系)疾患のウイルスが広がっても、使用量が爆発的に増えることはない(読者のみなさんの使用量増えてる?)。
すなわち、買いだめした人のストックが膨大になって置き場所に困るだけの話。

トイレットペーパーの供給量は実際には減らないのだから、一部の人が買いだめして一時的に店頭から姿を消しても、そもそもの使用量が増えないのだから、結果的に供給不足になることはない(上の不安は客観的根拠がない)。
1973年の時もそうだった。
だから、こっちの件にも私は免疫がある。

今回のウイルス騒動では、情報的な”免疫力”も上げた方がいいようだ。

ちなみに、上の2つとも、社会を混乱させるために、愉快犯が意図的にウソ情報を流したのなら、それは自然発生的な流言ではなく、悪質な”デマ”だ(かように学問的には、流言とデマは区別される)。
こういう悪意のあるデマに乗らないのも、情報リテラシーという免疫力が必要。
たとえば、過去の流言・パニック事例を知るだけでも、情報的な”抗体”が作られる。


免疫力を上げるには

2020年02月27日 | 新型コロナウイルス

新型コロナウイルスが市内感染段階に入って、感染を防ぐことが困難になった今(マスクで防げると思っている人はいないよね)、対処のウエイトを”感染阻止”から、一歩退却して、次の防御策に移動すべきである。
自分の免疫力を高めて、たとえ感染しても、せめて重症化しないことへ。

前回の記事(「感染が避けられないステージでの対応」)では、「免疫力を下げない」ことを記した。
ここでは、それを前提として免疫力を上げる方法(食事以外)を考えてみたい。

ちなみに”免疫力”とは、世間では非定量的(いい加減)に使われているが、医学的には、複数種ある免疫細胞のそれぞれの活性(細胞数など)の問題になる。
医学では、免疫細胞ごとに研究されるので、いわゆる「免疫力を上げる」と称される情報は、おおざっぱすぎて、特定の免疫細胞に限定した話であることを隠してしまうので注意。

たとえば「ストレスが免疫力を下げる」という言説は、より正確には、交感神経興奮によって分泌されるアドレナリン・ノルアドレナリンがT細胞とマクロファージの活性を低下させる、ということである。
逆に、「リラックスは免疫力を上げる」ということは、副交感神経興奮で分泌されるアセチルコリンが、 T細胞とB細胞の活性を増加させるということである。

私自身は交感神経興奮に偏っているので(心拍変動の分析結果でわかる。年配の♂はそうなりがち)、最近、アセチルコリンの元物質であるコリンのサプリを飲み始めた(過剰摂取すると魚臭くなるから注意)。

ここでは免疫力を上げることがテーマなので、アセチルコリン以上に「免疫力を上げる」ホルモンを紹介しよう。
その名はサブスタンスP。
サブスタンスPは、T細胞、B細胞、マクロファージ、好中球のいずれも活性化させるという、ありがたいホルモンだ。
サブスタンスPは、トウガラシに含まれるカプサイシンによって分泌が活発になるというから、免疫力を上げる食材としてトウガラシをお勧めしたい(以上は、精神神経免疫学の諸文献にもとづく)。

そのほかに、「体温を上げると免疫力が上がる」という話を耳にする。
この話の出所は、おそらく免疫の本をたくさん出していた安保 徹氏(故人)かと思う。
氏の著作・論文に、体温上昇によってリンパ球が活性化するという主張があった。
また深部体温37℃以上(深部体温だからこれで平熱)でミトコンドリアが活性化するともいう。
この説によれば、いわゆる低体温の人は、免疫力も低いということになる。

深部体温を上げるには、持続的な運動のほかに、入湯(湯舟での入浴)も即時的効果がある。
これは私自身も体験済みで、深部体温の代わりに婦人体温計を舌下につけて入湯すると、36℃台の体温が37℃台に上昇する(脇の下で測ると、深部体温より皮膚温に近いし、湯温の影響を受けてしまう)。
私は、入湯中は、体温上昇を図るだけでなく、深呼吸を繰り返すことで身体のリラックス、すなわち副交感神経からアセチルコリンの分泌も促す(吸気の時に交感神経が、呼気の時に副交感神経が興奮。だから呼気をゆっくり吐くといい)。
もちろん、仕事を終えての入浴は、精神的リラックスをももたらす。

こう言いきっていい。
入湯の目的である「暖まる」ことは、深部体温を上げることだ、と。
入湯で深部体温が上るのを確認するには、私のように入湯時に婦人体温計のスイッチを入れてそれをくわえればいいが、婦人体温計をお持ちでない特に男性に対して、体温上昇の目安をいうと、40℃前後の湯温で10分以上入ると、体温が37℃を越える。
この10分は、連続でなくてよい。
5分入って、湯舟から出て、体を洗ってまた5分入湯しても結果は同じ。
体感をヒントにすると、耳の奥で心拍音が響くようになると、37℃を越える。
あるいは、うっすらと額から汗がにじみ出る頃でもある。
体温計が37℃を越えたら、目的を達したので湯舟から出ていい。
これ以上入湯を続けると、体温が38℃に上って熱中症的になる。

ちなみに、免疫力は上げすぎると、活発(過敏)になりすぎて、自己が攻撃対象となる自己免疫疾患をもたらすかもしれない(特に若年者)。
何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし、だ。


感染が避けられないステージでの対応

2020年02月26日 | 新型コロナウイルス

北海道で、新型コロナウイルスの感染者を診察した医師がそれに感染した。

感染対策を知悉し、実行しているはずの(同時に、危険の最前線に立っている)医師が感染したことで、
「どうやら腹をくくる時がきた」と思った。
感染から逃れることはもう無理なんだと。

もはや、「感染は避けられない」という前提に立って対応を考えるべき段階(ステージ)になったといえる(後手後手の政府を非難したいが、それで解決にはならない)。
すなわち、感染しても重症化させない、という対応に。
国の方針に従うわけではないが、感染しても軽症にとどめるようにしたい。

そのためにはどうすればいいか。
防御の最前線(マスク・手袋)が突破され、城内(体内)に入り込んできた敵の侵攻を、いかに本丸の外でくいとめるか。

それは、こちらの城内の”備え”、すなわち免疫力に頼るしかない。
ただし、敵は対戦したことのない”新型”なので、抗原抗体反応、すなわち過去の対戦経験をもとに手際よく戦う「獲得免疫」(B細胞、T細胞)は使えない。
なので、初めての敵になりふりかまわず突撃する「自然免疫」(好虫球、マクロファージなど)で立ち向かうしかない。
そう、われわれには、見知らぬ敵に対しても敢然と戦ってくれる免疫細胞軍が常備しているのだ。
ただ、戦力に限りがあるし、戦いが激しすぎる(炎症)と、城内が悲惨な状況になる。
なので、後方からバックアップしたい。
これが「免疫力を上げる」という策だ。

個々の戦力を上げる兵糧米、すなわち栄養素・食事については、専門のサイトにまかせて、ここではそれ以外の方法を考えたい。

まず、免疫力を”下げない”ことから始めよう。
免疫力が下るのは、ストレスが原因といわれている(セリエのストレス説)。
その流れはおおざっぱに、ストレス→交感神経興奮(闘争か逃走か反応)→副交感神経抑制(自律神経のアンバランス)→内分泌系のアンバランス→免疫力の低下、となる。
特に持続するストレス(長期の城攻め)には戦力が消耗してしまう。

ストレス(厳密には、ストレス反応の原因としての”ストレッサー”)には、物理的ストレス、化学的ストレス、精神的ストレスがある。
これらは、原因として異質でも、もたらすストレス反応(免疫低下→感染→炎症)は同一である。
物理的ストレスには、寒冷などの気温がある。
そこで、室温を適正に保ち、冷えすぎを避ける。
化学的ストレスには、栄養の偏りがある。
なので栄養バランスのとれた食事をする。
精神的ストレスは、個人によって異なるが、過労、悩みなどが典型(めでたいことも該当するので注意)。

以上の3つのうち、精神的ストレスが一番影響が強いという(確かに今ではストレス=精神的ストレスになっている)。
なので、最近は精神作用と自律神経系と内分泌系・免疫系を1つのシステムとして扱う、「精神神経免疫学」という医学分野が成立している。
すなわち、免疫系と精神作用とは繋がっているということだ。

また、完全主義的性格だとストレッサーを過大評価して、不必要に交感神経が興奮してしまう(精神的ストレス化)。
昔、近所に自然食に神経質なまでに凝っていた人がいたが、ガンを患ってあっさり死んでしまった。
かようにストイックになりすぎると、それが長期のストレスとなって免疫力を下げてしまう。
そう、免疫力が下ると、感染症だけでなく、体内発生の異物であるガン細胞(の元)の増殖も許してしまう。
今回のウイルス騒ぎでも、神経質になりすぎている人は、却って免疫力が下って、感染してしまうかもよ。

おっと、ここまででずいぶん長くなってしまった。
続きは、次の記事「免疫力を上げるには」で。


接触感染が過小評価されている

2020年02月25日 | 新型コロナウイルス

新型コロナウイルスについて、どうも多くの人は飛沫感染を過大評価し、接触感染を過小評価しているのではないか。
私のブログ記事の中でも、本記事だけが閲覧(検索)されない事実からもそれがわかる。
実際、ネットでも不気味なくらい「接触感染」という単語を見ない(専門家を除く)。

これは、風邪やインフルエンザなど呼吸器系の感染イメージ(映像)に基づいているようだ(コレラやO157だと違う感染イメージになろう)。
もちろん、あちこちで咳やクシャミの音が響いているなら、過大評価とはいえないが、満員の電車内でもこれらの音は聞かない。

それに対し、親しい者間の濃厚接触でない、経路が不明の感染は、行き交う他人同士の時間差のある接触感染の可能性が高い。

とりわけそう思うのは、2ヶ所で感染が拡がったスポーツ・ジム。
感染者がジムの中で咳やクシャミを連発しながらトレーニングしたと考えるより、
マシンの握る場所はほぼ固定しており、しかも利用者が次々入れ替わるので、感染者の手にウイルスがついていたら、それ以降の利用者は次々と手にウイルスをつけてしまう可能性が高い(このご時世なので、ジム側はマシンの消毒を頻繁にやることだろう)。

そして皆汗をかきながらトレーニングするので、タオルやヘアバンドは身につけていても、ウイルスのついた手で無意識に顔を触れる確率は、通常場面よりも高くなろう。
この件に関してネットでは、飛び散る汗で感染したと疑う向きもあるが、それこそ映像イメージで「飛沫感染」にもっていく発想。

だから、咳き込む人や口角泡を飛ばして会話する人のいない電車内では、飛沫感染より、つり革やポールなどの接触感染の方に注意した方がよいだろう。

こういうツルツルした素材だとウイルスは表面で数時間も生きるというから。

ただし、接触感染を恐れて、つり革やポールに触れないでいることは、別の危険を招くおそれがある。
電車が急ブレーキをかけた(あるいは脱線した)時、慣性の力を受けて自分が飛ばされて大けがをするだけでなく、勢いよくぶつかって他人をも傷つける。
車のシートベルトと同じく、”乗物での安全”をまずは確保する(エスカレータでも、急停止に備えて、手すりにつかまる)。

接触感染を防ぐには、これらを素手でつかまなければいいだけ。
素手でつかんで、あとで入念に手を洗えばいいという考えもあるが、まずは自分の皮膚にウイルスをつけない方がいいと思う。
私は手袋を使うが、ハンカチやティッシュを重ねてもよい(もちろん手袋やハンカチは毎日洗浄する)。

主観的な安心は、一面的なイメージ(飛沫感染の防止)だけで達成されてしまうが客観的な安全は、冷静な判断でこそ実現される。


鴻巣の川幅を堪能

2020年02月24日 | 川歩き

この時期の連休、出かけるなら開放空間ですごしたい。

”広々とした空間”で頭に浮かんだ場所は、川幅日本一を誇る鴻巣(こうのす:埼玉県鴻巣市)。

埼玉最奥の甲武信岳(2475m〕を水源とする荒川は、奥秩父の山中を下って、秩父を横断し、さらに熊谷から川口までの高崎線に沿って県内を縦断し、最後は都内に入って東京湾に注ぐ南関東一の大河川(この川の都内部分は歩いた)。
荒川は、その名の通り暴れ川で、中流の鴻巣付近で、川に沿った氾濫原(河川敷)がやたら幅広くなって、なんと幅が2537mに達して日本一広い(平成20年に判明)。

そして、それをヒントに、新しい地元名物として「川幅うどん」が誕生した。
もともとこのあたりには、「ひもかわうどん」という幅広うどんがあるのだが、その比ではない幅広さで、こちらも日本一である。
日頃はうどんより蕎麦を選ぶ私だが、このうどんにはぜひお目にかかって賞味したい。

そこで、前日に鴻巣観光協会のサイトから「川幅グルメマップ」をダウンロードして、それを参考に歩くルートを決める。


そして、晴天の今日、 JR高崎線に乗って、11時15分に鴻巣駅に降り立った。
駅西口から南に歩き、最初の訪問先は、人家の中にある、鴻巣御殿跡にあったという東照宮
こちらは敷地内の祠をもってきたので日本一小さい東照宮。

そこからほど近い所に、川幅うどんを出す店の1つ長木屋に達する。
11時半の開店時間前だが、先客が1組店の前で待っていて、その後ろに並ぶと、私の後ろにも人が並んだ。
開店時間になって店に入り、3つある川幅うどんのメニューの中から「川幅御三家うどん」を注文(税抜き920円)。
なんでも、鴻巣が誇る3つの日本一、水管橋・お花畑・雛壇ピラミッドを、ちくわ天・彩豆腐・卵焼きで模したという。

さて出てきた川幅うどん(写真)。
麺が”面”になっている。
うどんのラザニアだ。
でも軟らかさと歯触りはうどんそのもの。
ちゃんと箸ですくえる。
見た目が尋常でない割りに普通においしかったし、話題性抜群。
名物開発の成功例といえる。


この地に来た目的の1つを早速終え、さらに街中を進む。
浄土宗の勝願寺(真田信重とその母(信之妻)・小松姫の墓がある)を詣で、観光協会が経営する「ひなの里」に入る。
ここは鴻巣オリジナルの物産が販売されている。

そういえば、先日の草加もそうだったけど、埼玉の街って、地元の物産を販売する店舗をきちんと構えていて、観光で訪れる者にとって、いわゆる有名観光地の無個性な土産(まんじゅう、スイート)とはちがう、個性的な土産物を買えるようになっている所が多い。

埼玉って、観光資源に乏しいといわれてるが、普通の市がオリジナルな観光資源を大切にしている姿勢は頼もしいし、観光に来た者には思いがけないグッズに出合えて嬉しい。

ではここ鴻巣の物産はというと、まずは雛人形だという。
人形というと岩槻(さいたま市)が有名だが、雛人形に関しては鴻巣が岩槻を凌駕しているらしい。
それと人形作りの関係で、”赤物”という赤く塗った縁起物も特産で、正月に我が家でやる手で口をぱくぱくあける獅子頭もこの地の産という。
それにもちろん「川幅うどん」もあり、さらにそれを摸した「川幅せんべい」まである。

家族の土産に川幅うどんを人数分買い、口をあける獅子頭も来年の正月用に買った。
このようにかさばる土産を持ち帰る予定だったので、物がたくさん入るトートリュックで来ている。


早めに土産も買ったので、本来の目的である荒川の河原に向う。
2kmほど歩いて大木が三本並んでいる観音堂を巡って、いよいよ広い河川敷に降りる。

視界のほとんどを占める日本一の河川敷の広さはさすが(写真)。
幅が2500m余ある河川敷だが、中を流れる荒川そのものの川幅は30mたらず。
広大な河川敷を東西に横断する細い一本道を歩く。

道のまわりは、最近まで湿っていた感じのヒビの入った乾いた泥が続く。
どうやら昨秋の台風で荒川が大増水し、この河川敷一杯に水が広がったようだ。
すなわち、その時は実際に川幅が日本一の2537m達したようだ(見たかった!)。
今だにその泥が干からびた状態で残っているわけだ。
でもそのおかげで、東京を含む下流一帯が浸水被害から免れた(荒川が東京で氾濫すると、銀座を含め0メートル地帯が大規模に冠水する)。

ある埼玉本によれば、同じ武蔵国の首都東京を背後から支えていることに埼玉の自負があるという。
この日本一の河川敷はそれを象徴している。

晴天の上流(北)側には、群馬の赤城山と雪を頂いた栃木の男体山が並んでいる。
西側には、秩父山系から奥多摩(東京)の山が続くが、富士は見えない。
風景的にはここは北関東。

河川敷を東から横断し、西端にある川端地蔵尊に達し、西端に沿って北上して、歩道のない車専用の御成橋(県道東松山鴻巣線)を横断して、橋の北側の河川敷に降りて、今度は東に向う。
すなわち、最大川幅を謳う御成橋をはさんで、最大川幅を東→西、そして西→東と往復するわけだ(それだけで5km歩く)。


御成橋東のたもとの「川幅日本一の碑」を確認し、ここからは荒川から離れて北上し、源経基館跡に行く。
経基といえば、下総を拠点に関東を一時制覇した平将門の乱を治めた清和源氏の武士。
埼玉は、かように武士黎明期の史跡が多い(武蔵は武士のふるさと)。


ここから東に進んで高崎線の線路をくぐって、最後の訪問地である鴻神社に着く(写真)。
鴻巣という地名発祥の地で、地元の鎮守。
私は、観光で来た地の鎮守を、挨拶として訪れることにしている。

”鴻”にちなんでコウノトリが西洋風解釈でアピールされて、子宝・安産祈願を旨としているため、若夫婦の参拝が目につく。
その事項に無縁な私は記念にコウノトリの土人形おみくじを買う。

ここから駅に向って歩き、駅前のショッピングモールに入ると、丁度「鴻巣びっくりひな祭り」が開催中で、雛人形のピラミッド(31段)が飾ってあった(これも日本一)。
駅に15時15分に着いたので、丁度4時間で一周したことになる。

2種類の”川幅”を堪能し、貴重な土産も買い、丁度時期的に雛人形の祭りも見れて、日本一がいくつもある鴻巣を満喫した。
埼玉って、派手な観光地こそないが、日帰り旅に向いたところがいくつもある。


乗客の熱を測りたい

2020年02月22日 | 新型コロナウイルス

今のご時世、不特定多数の人が集まる閉鎖空間は要警戒。
とりわけアカの他人との距離が小さくなる公共交通機関(窓も開けられない)が気になる。
私は愛知では通勤にできるだけ自家用車を使うようにしていたが、自宅のある東京都内の移動では公共交通機関に頼らざるをえない。

感染者がいない空間なら、過去の痕跡からの接触感染だけに気をつければいいが(感染した手で顔を触らないという意味でマスクは有効)、
感染者と同席しては、マスクも役に立たない。

同じ空間内の人たちから感染者を識別する方法はないものか(医学的検疫の話ではない)。
まず、咳き込んでいたり、くしゃみをする人は厳戒対象だが、今のご時世、幸いそういう人は乗ってこない。

そういう明らかな反応をしない感染者が問題。
実際、感染していながら、通勤電車に乗ったり、国内ツアー旅行をしたり、市内のスポーツジムに通った人がいた。
そこで次なるチェックは、発熱状態。
もちろんここでは、脇の下に5分以上密着する体温計ではなく、離れた所からわかるもの。
それが自分の手元にないか探ってみた。

一番手っ取り早いのは、赤外線放射温度計で、目の前の人の前額部の赤外線放射を測定すれば、その場で額の表面温度(脇の下よりは幾分低めの値)がデジタル表示される。
”計測マン”でもある私はもちろんそれを所有しているが、空港職員でもない人間が、同じ車内の乗客にセンサー口を向けて引きがね状のスイッチを入れるのは、見た目も含めて失礼このうえない(正確に前額部を測るには、赤いレーザービームをONにする必要があるが、これを他人に無断で照射するのはなおのこと失礼だし危険でもある)。
放射温度計は、レーザービーム付きでも1万円以下で買える。

次なる策は、サーモグラフィ
原理は、放射温度計と同じ赤外線の測定だが、こちらは画面全体の温度分布がわかるので、対象人物の前額部に焦点を当てなくていい。
さすが”計測マン”である私はこれも持っているが、民生用でない専用機は、大きさと金額の点で実用的でないので、みなさんの参考にはなるまい。

だが、計測器オタクの私は、なんとスマホにセンサーとレンズを取り付けて撮影できる簡易型のサーモグラフィも持っている(こちらは5万円くらい)。
スマホにつける小型カメラだから目立たない。
ただ、いちおう撮影になるので、車内風景のスナップ写真として撮らないと、盗撮の疑いをかけられるので注意が必要。
もっとも、疑いをかけられたら、温度つきの画像を見せてあげるといい(右の写真は、画像をぼかしてあるが、額の温度が34.3℃となっている)。

ちなみに、平熱時の額の温度がどれくらいかは、自分の額に赤外線を当てればわかる。
平熱時の脇の下の体温が36℃台の私の場合、額の温度が34℃台だから、それを参考にすると、この画像の人も平熱といえる。


光秀ゆかりの明智に立ち寄る

2020年02月16日 | 城巡り

久々に観る気になった大河ドラマ「麒麟がくる」。

なぜなら、日本史上二番目の謎(なぜ光秀は信長を裏切ったのか)が描かれるから(もちろん一番目の謎は、邪馬台国のありか)。

それも、信長側でなく、光秀側の視点で描かれるのが新鮮。
それと、前半は美濃・尾張のローカルな雰囲気が味わえる。

そのローカルな光秀ゆかりの場所のひとつが、東濃山中の盆地であるその名もズバリ明智
本日、定宿の温泉へ慰労に行く道すがら、この明智に立ち寄ることにした。

明智は、町全体を日本大正村としてアピールしてきたが、今回ばかりは、観光の中心スポットである大正ロマン館の一部を大河ドラマ館としてオープンしている。

この建物の裏手が白鷹城と呼ばれる明智城跡で、縄張内には、光秀が学問を学んだといわれる神社があり(写真)、

また近くの寺には光秀の墓(供養塔)、神社には光秀が植えた楓の木がある。

名古屋宅から車で明智に行くまではずっと雨だったが、着いたらやんだので、まずは城の敷地(縄張)に入った。

江戸初期に廃城になったので、かえって当時の遺構が残っている。

畝状竪堀群というのがこの城の特徴らしい。
ロマン館に入り、大河ドラマ館だけ見学。

売店には、さっそく光秀まんじゅう、光秀チョコ、光秀Tシャツなどが並んでいる。
職場土産に光秀クッキー、東京の歴史好きな甥に光秀ボールペンを買った。
館を出たら、また雨が本降りになっていた。
雨だったら、城跡には行かないつもりだったのでラッキーだった。


大ヤマ越え

2020年02月14日 | お仕事

今週水曜、7時間に及ぶ6つの会議(うち3つは自分が議長)をこなし、木曜に提出すべき数々の書類を出し終え、そして本日金曜、大学院の修論の最終試験(口頭試問)を終えた。
もちろん、修論の口頭試問のために、担当の複数の修論をあらかじめ精読して、指摘するための”アラ”をピックアップしておかなければならない。
ついでに、締切りがまだ先の書類も本日提出した。

これで1月下旬から続いた最大のストレッサーである年度末の「大ヤマ」を越え尽くしたことになる。
真の”年度末”である3月末までの今後一ヶ月半、いくつかの業務はあるが、いずれも片手間でこなせるものばかりで、今までのようなストレッサーにはならない。

というわけで、1年で最大のストレッサーから逃れられたので、まずは名古屋の棲み家で、シャンパン代わりの発泡ワイン(モンカドール)で祝杯。
肴には、自分の好物であるイカフライ、茄子焼き(自分で調理)、空豆(解凍)などを並べた(実に庶民的!)。

今日までの”オン”生活から、明日からは気分は休日モードの”オフ”生活に移行できる。

ストレスから解放されるので自分の免疫力はアップするだろうが、残念なことに、新型コロナ(武漢)ウイルスの日本での感染がより深刻な段階になってしまった。
日本政府(安部政権、厚労省)の初期対応(1月中)のずさんさによる結果だが、野党だったらマシとは思えないのが(日本国民として)悲しい。
なので普段以上の更なる免疫力アップを期待して、β-グルカン(マイタケ・エキス)のサプリを日本茶(カテキン入り)で毎晩飲んでいる。


野村克也氏を悼む

2020年02月11日 | メモリアル

今朝、テレビのニュース速報で野村克也氏死去のテロップが流れた時、思わず声を上げてしまった。
故金田正一氏の葬儀に車椅子姿の映像を見たが、衰えたとはいえ、危ない様子には見えなかった。

私にとって野村選手は、王・長島の巨人がプロ野球の話題の大半だった時代、パ・リーグで彼らに匹敵する活躍をしながら(三冠王)、テレビで観ることがない存在だった。

現役を引退し、解説者となることで野球中継でなじみとなり、野村解説者オリジナルの”野村スコープ”での論理的な解説が好きだった。
ピッチャーと打者との一球ごとの駆け引きを、統計データをもとにリアルタイムで説明・予想するその解説によって、野球の醍醐味を知的に味わわせてくれた。

そして、当時私がファンだったヤクルト・スワローズの監督となり、野村監督はリーグ優勝、そして王者西武を破っての日本一に輝き、自らの野球理論の正しさを自らの手で証明してみせた。
元ヤクルトファンにとって、野村元監督は”恩人”である。

しかも、新人の育成、他球団でお払い箱になった選手を次々と再び活躍させ、「野村再生工場」と称されるほどのすばらしい育成力を発揮した。

かように、野村克也氏は、選手として、解説者として、そして監督として、それぞれ超一流の実績を残した、プロ野球人として最高レベルの”三冠王”だ。
氏に匹敵する人が他にいるだろうか。
昭和の偉人が、また一人いなくなった。 合掌🙏🏽


仕事のストレスから脱出中

2020年02月10日 | お仕事

先月下旬から始まった、学年末・年度末の仕事の大ヤマ。
すなわち後期試験の実施と膨大な数の採点(別名『地獄の採点』)、それに続いて一般入試の監督、役付き者にのみ課せられた複数の書類作成、次年度授業の自分と他の教員のシラバスチェック、そして昨日日曜の大学院入試と、次々とこなしてきた。
この間、一つも休めないので、感染症にかからないよう、通勤は密室の自家用車、出校したら手のアルコール消毒を欠かさなかった。

この期間中、降圧剤を毎日服用しても血圧が上がりっぱなしだった。
これはセリエのストレス学説でいう「警告反応期」・「抵抗期」に相当するか。
なら心身の緊張感によって感染症にはかかりにくい状態であったかも。

昨晩久々に帰京して、今日は一服している。
今朝、実家で血圧を測ったら平常値に戻っていた。
ホント、精神的ストレスって意識を通り抜けて自律神経に直に響く。

実はまだ大ヤマを完全には越えていない。
今週の水曜(あさって)に5つの会議(そのうち3つは自分が議長)があり、金曜は大学院の修論最終審査をする。
なので帰京中に担当学生の修論(複数)を精読しなくてはならないので、この一服もつかぬま。

でも幸い、今朝の血圧によると、精神的ストレスからはほぼ脱したようなので、ストレスに耐えきれずに疾病になる「疲憊期」には至らずに済みそう。

かくも、毎年1月から2月のインフルエンザ流行期は、タイミング悪く自分の仕事上においても最もストレスフルな時期なので、健康リスクが最大になるのだ。


土砂災害の危険箇所を知っておこう

2020年02月06日 | 防災・安全

新型コロナウイルスの感染拡大に日本中が右往左往しているが、その実日本では死者0で、感染力はともかく、毒性はインフルエンザ並みであるらしいことがわかってきたその頃※、

※インフルエンザと違うのは、予防接種による抗体がないため、免疫的に無防備なこと。

私にとって真に心肝寒からしめる事故が起きた。

神奈川県逗子市での突然の土砂崩れである。
歩道の真上から、68トンもの土砂が前兆がないまま落下してきたのだ。
運悪く巻込まれて亡くなった女子高生は、何がおきたか判らないままだったろう。

そもそも日本の国土の75%は山地で、いわば平地より斜面の方が3倍もある。
そのなかで最大の貴重な平地は関東平野で(そこに人が集まるのは必然)、そこだけは土砂災害の危険はない。
その関東平野の南を画す、神奈川県の横浜から三浦半島にかけては幅広い丘陵地帯で、しかも東京に近いので、宅地造成が盛んなため、人工的に削り取られた崖がやたら多い。

そういう所は、あちこち土砂災害警戒区域に指定される。
もちろん今回の場所も指定されていた。
いいかえれば、土砂災害のリスクがある斜面は、事前に判り、公開されている。

私が担当している防災の授業で、まずは学生に自宅付近のハザードマップを確認させるのだが、自治体が発行しているハザードマップは地震(液状化)・浸水・津波に限られている。
地震でも大雨でも発生する、すなわち一番リスクの高い災害である土砂災害の情報が載っていない。
なので、自治体のサイトとは別に、国交省の防災サイトで、自宅付近や通学路に土砂災害の危険区域の有無を確認させる(→国交省ハザードマップポータルサイト)。
これが防災の第一歩といっていいくらい。

地震や大雨でなく、長年の風化によって崩落する場合はこれといった前兆がないので恐ろしいが(逗子の崖は、火山灰が固まった凝灰岩なので風化しやすいという)、せめて自分の生活圏内に土砂災害の危険箇所であるかどうかは、事前に知っておく価値がある(それによって近づかなくなる)。

ちなみに、土砂災害警戒区域内に人家があるのはおかしいと思うなかれ。
警戒区域は、人が住んでいる地域にこそ指定されるから。
山がちの日本では急傾斜地のそばにも住まわざるをえないのだ。


安宿の高い部屋で採点作業

2020年02月02日 | お仕事

世間の新型ウイルス騒動の中で、私は年度末に向けた業務の目白押し状態に突入した。
とにかく締切りが近い順に片づけなくてはならない。
まずは後期試験の採点作業を、温泉宿に篭って片づけたい。

私本来の「お篭り」は、2泊して初日の午後と夕食後はもちろん、二日目の中一日を丸々作業に宛てるのだが、今回は日・月の二日間しか使えないので、せめてチェックアウトが遅い、安宿チェーンの恵那峡国際ホテルにした(準定宿)。
最近は、ランクアップ料金を出して上級の部屋にしている(メール会員なのでランクアップ料金が半額)。
しかも1月の慰労も兼ねたいので、夕食にカニ2肩(脚1匹分)を特別注文した。
安宿チェーンの場合、バイキングだけだとしょぼいから。
以上の追加料金を足しても、普通の温泉ホテル並みか安い。

かように安宿にオプションつけて贅沢にするのと、高級宿を素泊りなどで安く泊るのとどっちがいいのだろう。

中央アルプスを正面に見ながらのドライブで宿に着き、初めて泊るランクアップの洋室に入る(以前利用したのは和洋室)。
通常料金のシングルは狭過ぎるが、ランクアップの洋室は、一人では広過ぎる。
自分の名古屋宅(ワンルーム)より広く、洗面所やトイレに行くにもドアを二つ、三つあけて移動するのでめんどくさい。
暖房を3箇所、部屋の照明もあちこち出向いてスイッチを入れる。
昔の建物の設計・デザインって、かように居住者中心でなかったことがよくわかる。
どうもこの古い洋室は、一人客にとっては無駄に広い(新しい和洋室の方が作業場と寝室の使い分けができる)。

温泉に入る以外は、部屋に篭って、テレビもつけずに、採点にいそしむ。
数百字におよぶ筆記試験の採点は、集中してできるだけ短時間でやらないと、採点規準がブレるおそれがあるから。
カニ2肩付きの夕食(すき焼き鍋中心)をはさんで、
かくして、180人の答案の半分が終わった。
筆記の答案だから、それぞれきちんと読まないといけない。
今日だけで終わるのは無理で、あとは明日にまわす。