「原発事故から27年。チェルノブイリの現在」というテーマで、
ジャーナリストの津田大介氏を迎えて、チェルノブイリ原発が観光ツアーの対象になっている話だった。
日本では子供たちの甲状腺ガンの悲劇ばかりが伝わっているのだが、
現地ではいたってクールに原発とつきあっているのだという。
当然話は、廃炉まで何十年もかかる福島第一原発もそれは可能かということになる。
この福島第一原発観光地化計画のアイデア元は哲学者の東浩紀氏らしいのだが、
原発事故といつまでも向き合う、廃炉作業を見守り応援するための真摯な目的である。
哲学者だけに、観光=見世物+金儲け=不謹慎、という通俗的反応から自由なわけだ
(通俗思考を論拠にしてしまう心理学者には無理)。
ただし、それが実現するには、国民の冷静な「放射能リテラシー」が必要になる。
私自身、福一には冷静な態度を保っていたつもりだが、観光地化までは思い至らなかった。
チェルノブイリをかかえたウクライナの人びとのように、
冷静に「放射能リテラシー」を高める施策として、なるほどそれも有りかと思った。
原発事故を経験した日本は、当然リテラシーを高める機会を得ているのだが、
「放射能怖い!」という脊髄反射的反応が、意図的にかまだ続いている。
実は、広島・長崎の原爆被害の実態調査も、放射能リテラシーを高める貴重なデータなのだが、
”原爆の悲劇”を訴える以外の視点はタブーとされているためか、国民に知られていない。
その一方で、各地でラドン・ラジウムの放射能泉が愛好されているのだから、
その現実からリテラシーを高めるのもいいかと思う。
私自身、”恐ろしい放射能”が入っている温泉をなぜ喜んで入るの?、体に害はないの?
という素朴な疑問が、ガイガーカウンターを買って計りまくるきっかけだった。