今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

確定申告

2013年02月27日 | お仕事
今日、確定申告書類を提出した。

大学の給与以外にささやかな収入があるので、
個人事業主として確定申告をしなくてはならない。
昔は還付を受けられたが、今では納税をしている。
つまり、権利から義務になってメリットはない。
確定申告の提出は、健康診断と並ぶ1年に最大の大プレッシャーなのだ。

幸いなことに、最近は、国税庁のサイトで入力・作成ができるので、
毎年細かく変化する方式に対して計算ミスをする心配がないのがいい
(計算ミスをして提出すると、後日税務署から重い声で電話がかかってくる。
税務署からの電話ほど緊張するものはない)。

そういうこともあって、最近は締切り半月前の3月前に出せるようになった。
といっても、大掃除と同じく、取り掛かるまでに腰が重い。
ただし取り掛かれば、大掃除のように半日もかかることはなく、
経費の集計さえ終わっていれば、あとは数値の入力ですむ。

ただ、ここで入力ミスがあると、最後まで自動的に誤った値が計算される。
今回、納税額が「200万円」と出たのでビビったが、
事業収入の金額を1けた多く入力していた。
正しく入れた結果、納税額は「9千円」ですんだ。
例年になく少なく済んだのは、東日本大震災の寄付にはずんだのと、
医療費が控除額に達したのと、
そして何より事業収入が少なかったため(経費は変化なし)。

e-Taxはやらないので、書類はプリンタで印刷して、
近所の区役所経由で提出(受取るだけ)。
税務署に行かなくても、また切手を貼って郵送しなくてもいい。

大学での用事も終え、これで気分は今日の天気のように
春の快晴!
今晩はいつもの第三のビールではなく、ヱビスの中瓶を買って祝杯。

羹に懲りて鱠を吹く:愚者の行動経済学

2013年02月24日 | 時事
私は、行動経済学的には典型的な”愚者”だ。
個人的な感情に縛られて、的確・冷静な経済行動ができず、
みすみす、いや自ら率先して損をする。
これを「愚者」と言わずなんと言おう。

銀行の担当者から呼び出されて、自分の資産運用の相談を受けた。

一年前、どんどん目減りしていた投信などの金融商品をすべて解約して、
リターンが最小の定期や普通預金に置き換えた。
リスクの波をもろにかぶって辟易したからだ。

ところが、それらを今でも続けていれば、かなりプラスになっていることが示された。

景気の動向を先取りするのが賢者の行動なら、
後追いするのが愚者。

すなわち、後退局面になっているのに、まだ大丈夫とリスクをとり、
その結果大損をする。
そしてそれに嫌気が差してリスク回避をしようとする頃、
実は回復局面になるのに、みすみすリターンを放棄する。
これがまさに私の行動パターン。

異常な円高が続いていた時、今のうちに外貨を買った方がいいことは頭ではわかっていた。
でも、その円高で過去の外貨預金がどんどん目減りしている最中だったので、
外貨を買うのが”嫌気”になっていた。

嫌な思いをするとそれに対する魅力がなくなる、というのは当然の心理なのだが、
その反応は、経済行動では不合理なのだ。

リーマンショックの時も、すばやく解約していれば損失は最小だったのに、
すばやい下げ止まりそして反動的回復を期待して行動できなかった。
もちろん、今はダウ平均株価は完全に回復している。
私はそれを待ちきれず、大損が確定した所で切った。

今後、私が強気に出てリターンを狙う(=リスクを取る)気になるのは、
どうせまた景気の頂きを過ぎた頃だろう。

思い返せば、バブルの頃には定職がない貧乏で、
株はおろか、年利5%の定額預金すら預ける資金がない状態だった。
そして、貯金する余裕ができてからは、ずっと異常な低金利。

景気は”気”というが、経済の気と私個人の気のズレようはどうにかならないものか。
どうみても、金持ちになれない運命なようだ。

旅宿の設備傾向

2013年02月23日 | 
毎月最低1回の温泉旅をノルマにしている私なので、旅宿の設備サービスの傾向というものがよくわかる。
読者の中には旅慣れていない人もいるかもしれないので、最近の傾向を紹介しよう。

まず、以前からの流れとして、冷蔵庫のフリー化、すなわち客室内の冷蔵庫の”空”化はほぼ行き渡った。
車での客が増えて、飲物やつまみは持参できるわけだ。
いまだに(館内の自販機よりも)割高な飲物を客室の冷蔵庫に入れている宿があれば、即刻廃止すべき。
どうせ客は近くのコンビニで安く買ってくる。

それから、トイレの洗浄器化もかなり行き渡っている。
ていうか、その設備がない宿は対象外となるのは私だけでないはず。
自宅のトイレより劣るものを宿代払って使いたくない。
設備投資が必要だが、やらない宿は客を逃がしている。

現在進行中なのが、スリッパ対策
これは私が以前から気になって自分の旅のサイトにも記していたのだが、
客は自分のスリッパを浴室や食堂で他の客に履かれたくない。
部屋番号を付けた札を洗濯ばさみにつければいいだけなので、費用はかからない。
あとはそのような配慮ができるかどうかだ。

そしてこれも進行中だが遅々としているのは、無線LAN(Wi-Fi)化
ビジネスホテルでは当然ほぼ達成されている。
でも他の観光用の宿では、ちっとも進んでいない。
もちろん、私は契約している無線Wi-Fi端末を持参するのだが、
人里離れた所では肝心の電波が届かない!
今やネット環境は、つまらん地上波テレビよりもずっと重要。
ネット環境のない宿には連泊できない。
たいていの宿(宿のサイトがあり、ネットで予約できる)は有線LANは使っているのだから、
それに無線ルータを最低1台接続すればいいだけ(セキュリティはちゃんとしてね)。
広さ的に全室無線化は無理でも、せめてロビー付近でも無線化してほしい。

以上のように、客の視点に立ったサービス化が進んでいる。
さらなる要望としては、朝食・夕食の有無を選択できるようにしてほしい。
私は朝早い朝食は不要なのだが、「夕食無し」はあっても「朝食無し」がない。
それから、液晶テレビの外部入力(HDMI)をわざと使えなくしてある宿があるが※、あれはやめてほしい。
私は、iPadで観る映画を大画面に出して観たいのだ。
その日にデジカメで撮った写真を大画面で観たいし。
もちろん接続ケーブルは持参している。

※これはシャープ製テレビの理不尽(他社製使用者には理解不能)な初期設定なようだ。

伊豆のバリ風宿と大室山

2013年02月22日 | 
年度末の慰労の旅の第1弾として(ただし第二弾は未定)、
東京発、温泉、リラックスを条件に宿を探した(つまり初めての宿)。
もっとも、ネットで探す場合、楽天にしろジャランにしろ、地域を指定する必要がある。
慰労なので温暖な地がいいということで、”伊豆”を指定した。

実は、伊豆は毎年この時期、長岡温泉に行っており、
しかもそこはマッサージ機使い放題なので、条件に合うのだが、
定宿にしたい程でもなく、ちょっと気分を新たにしたくなったのだ。

そこでヒットしたのは、伊東の一碧湖にある「アンダ別邸 伊豆一碧湖」
ここは、なんとバリ風のホテル。
しかも部屋は広く、室内にマッサージ機がある!
夕食は、私には金目鯛は不要で、バリ風ならナシゴレンがあれば文句ないので、
素泊まりで夕食を注文で食べることにした。
ここはチェックインがこちらの希望時間で、そこから18時間あるいは24時間の2パターン。
別に24時間いなくてもいいので18時間にした。

ここが「別邸」と名乗るのは、自分の別荘のつもりで使ってほしいという趣旨で、実際、一碧湖脇の別荘地にある。
なので利用客もほとんど自家用車でやってくるが、私は貧乏臭く、普通電車と路線バスを乗り継いで向った。

ホテルの建物は別荘地らしく上品で、コテコテのバリ風を期待していた私にはいささか拍子抜け。
それでもフロントには、バリ島に滞在した観光客は皆耳にする名曲
「Karedok Leunca」(ホントはスンダ系の音楽でバリではないのだが)
がカウンター内で遠慮がちに流れていた(私としては館内BGMで流してほしかった)。

客室の家具はバリ風で、広く居住性がいい。
マッサージ機のほかに電子レンジもある。
バリの気分を盛り上げるため、iPadから持参したスピーカでバリの音楽を流す
(もちろん「Karedok Leunca」も入っている)。

浴室はルートインの大浴場レベルの大きさなので、
湯を堪能するというより、設備の整った部屋を堪能する滞在向き。
マッサージ機が室内にある宿はめずらしい。
欲張って3回使ったが、やりすぎると却って痛みが増すので注意。

夕食は、ナシゴレンに、ビールはバリハイ(なぜビンタンがない?)。
どうせなら、リンディック(バリの竹琴)やガムラン(バリの鉄琴)を置いて、
自由に鳴らせるようにしてくれるとバリのホテルの気分が高まるのだが、
私のようにコテコテのバリ風にしてほしい客はそれほど多くないのかも。

翌朝は、9時に慌ただしくチェックアウトして、火口湖である一碧湖にちょこっと立ち寄り、
典型的なスコリア丘(火山地形)の大室山に向った。
大室山は、東伊豆の盟主の山で、小学校時代から伊豆が大好きな私はずっと憧れていたのだが、
なぜか縁がなく(ていうか、伊豆って温泉だけが目的となってしまい、大室山も天城山も行く気になれなかった)、
今回、やっと行くことができた。
この山は全山天然記念物で、リフト以外に登山道がなく不用意に入れない。
なのでリフトで往復した(500円だが宿や案内所にある大室山のパンフを持参すると400円にしてくれる)。
リフトのある北面だけが雪の面となっており(上写真)、山頂は火口の周囲をお鉢巡りする。
大島はもちろん、利島、新島もよくみえる。
富士は残念ながら雲の中で一時的にしか見えなかったが、海と天城山の両方の風景を堪能できた。

次回は、慰労ではなく、論文執筆のお篭りに来よう。
その時は今度は「小室山」に行きたい。

ヒートテック皮膚炎

2013年02月20日 | 健康

ここんとこずっと、背中の首の付け根付近が痒い。
手で掻いても、痒みは止らず、
夜中に目が覚めても痒い
(今の私は、耳鳴りと背中の痒みがずぅーっと持続している毎日)。

場所が場所だけに鏡でも確認しづらい。

痒みが一向に退(ひ)かないので
東京に帰省したついでに、
近所の皮膚科医院の門を叩いた。
およそ皮膚科って、予約無しで行っても、待たされないのがいい。

医師(♀)に症状を話し、背中を見せた。

丁度私が着ていた下着のシャツがヒートテックだった。
ていうか、ここんとこずっとその類い(ユニクロ、グンゼ※)を着ている。
私が手で掻いた後の傷が一番目立っているようだが、
私の背中を見た医師は、「ヒートテック皮膚炎」という単語を発した。

正式な病名ではなく、通称だろうが、
その種の下着を身につけることで、皮膚が蒸れて炎症を起こすという。
医者は、スピラゾン軟膏という薬を処方し、木綿のシャツを勧めた。

たしかに、私もこの手のシャツを着る前は、絹や木綿のシャツを愛用していて、
その頃は、このような症状は出なかった。
肌触り的には、が一番だと思う。

※私が着ているグンゼのシャツは、綿60 %だった。こちらは問題なかろう。

※追加:ヒートテックの下着の下に、綿の下着を着れば、”皮膚炎”は防げるようだ。
ちなみに、2019年現在の私は、ヒートテックに順応したようで、皮膚炎にならない。 


鍵がない!

2013年02月19日 | 失敗・災難
今日は、教務委員として、追・再試験の”待機”(何かあったときの対応係)を朝の1限目から担当。
そのためだけに、東京の実家から戻ってきた。

さて、朝8時に目覚ましで起きて、朝食代わりの味噌汁を飲み、準備万端、
勤務先まで車で10分要するので、余裕を持って20分前に家を出よう。

玄関で靴を履き、ドアを開け、鞄を持って、部屋の鍵を締めようとした。
鍵を置くことにしているいつもの場所に鍵が見当たらない。

鍵は、この部屋の鍵だけでなく、車のキー、そして研究室の鍵も一緒に束ねてある。
つまり、この鍵が見つからないと、外出も出勤もできない。
しかも、待機が終わったら帰京する予定だ。
帰京もできなくなるのか。

いつもの場所にない場合は、過去の経験から、鞄の中か、コートのポケットに入っている。
鞄を開け、コートのポケットに手を突込む。
見つからない。

すると部屋の中か。
いつもの場所におかずに、部屋の中にまでもっていってしまうことがあるからだ。

靴を脱いで、鞄を置き、コートも脱いで、部屋の中に戻る。
出発前の状態に戻ってしまった。

室内の思い当たる所を探しても、鍵は見当たらない。

もう一度、いつもの置き場所、鞄の中、コートのポケット、それに部屋の中を1から探し直す。
でも見つからない。
あせる。

待機開始まであと5分になってしまった。
もう確実に遅刻だ。
事務室に電話して、馬鹿正直に鍵が見つからないので遅れる旨を伝える。
待機といっても、ほとんど用事がないので、先方も落ち着いていた。
これが入試の日だったら…。

時間制限がなくなったので、少し落ち着きを取り戻し、
腰を据えて、じっくり探すことにする。

まず、昨日は、車から降りて、鍵を開けてこの部屋に入ってきたのだから、
そして、その後は一度も外出しなかったのだから、
鍵は絶対にこの狭い1Kのドアの内側にある。

いつもの場所にはいくつもの手袋など小物がやたら置いてあるので、
それらを整理整頓する形でくまなく探す。
鞄の中の物を全部出して、鞄を空にする。
コートをあえてはおって、服のすべてに手を当てる。
部屋のテーブル周りを整理整頓する形でくまなく探す。
ベッド脇も掃除する形でくまなく探す。
クローゼットを開けて、着てもいないすべての上着のポケットに手を入れる。
ここまで探しても見つからない。

でもあせらない。
待機は午前中いっぱいだが、それをキャンセルすれば、3時間は探せる。

いつもの場所から、クローゼットまでもう一度、同じ作業をする。
でも見つからない。
心当たりの場所はすべて探したつもりだ。
もうお手上げだ。
あとはどこを探せばいいのか。

いちおう、部屋の外に出て、ドアの外に鍵がささってないことを確認し、
駐車場まで行って、車の中と周囲を確認する(車のキーがないから、窓の外から目視)。
こんなところにあるわけない!

部屋に戻るべくドアを開ける。

そういえば、昨日は雨が降っていた。
なので、帰宅時、鍵を廻してドアを開けた後、真っ先にやったことは、
傘立てに傘をさした事だ。

傘立てにささっている昨日使ったビニール傘を引っ張り出してみた。

すると、傘から地面に落ちてきた、
鍵の束が。
かように結末は、えてしてあっけないものだ。

なるほど、教訓。
探す時は、最後の行動を再現することを、まず最初にやった方がいい。

30分遅れで出勤した。
鍵のある生活ってなんとすばらしいんだろう。

春節の中華街

2013年02月17日 | 時事
横浜中華街に春節のパレードを見に行った。
中華街へはウチ(実家)から京浜東北線で直通なのだが、
時間と料金を節約するため、品川-横浜間は京浜急行の快速特急に乗り換える。

さて石川町で降りて中華街に入ると、毎度ながらそこは中国。
私は中華街に行く時は、異国気分を高めるのと礼儀として、必ず関帝廟にお参りするのだが、
今日は関帝廟のある関帝通りは立っている人であふれている。
なぜならこの通りが春節のパレードのルートだから。
どこから出発するかというと、南のはずれにできた「媽祖廟」(写真)。
この媽祖も関帝とならぶ中国民間信仰の人気者という。
こちらは最近できたようだ。
腹ごなしにブタまんを通り沿いでほおばっていると、爆竹が鳴り響いてパレードが始まる。

まずは京劇の面をつけた仮装行列、
続いてお馴染、龍の舞(間近で見ると、竿を動かす人たちのコンビネーションの見事さに驚く)、
派手な獅子舞(頭を噛まれるといいことがある)、
京劇の孫悟空一行、民族衣装でのダンスなどが続く。

やっているのは、横浜それに神戸の中華学院の中高生たちが中心。
龍の舞や獅子舞の見事さだけでなく、
民族の伝統を若い人たちがしっかりと受け継いでいる姿にも感動した。

せっかくなので、店に入ってランチを食べ(中華街は割安感大)、
韮饅頭を家の土産に、
自分用には、関帝(学問の神でもあるという)と三本足の蛙という風水の縁起物の置物を買った。

通り魔を念頭に入れる

2013年02月16日 | 時事
グアム島での悲惨な事件に心が痛む。
秋葉の事件とほぼ同じパターンということは、
これからも、どこかの繁華街で起こりうるということだ。
すなわち、われわれはそれに備える術を身につけなければならない。
どうしたらいいかは、
私の2008年3月26日のブログ記事「通り魔から身を守るアイテム」を参考にしてほしい。

でも隕石の方は防ぎようがない。
これは監視態勢でなんとかしてならないか。

修士レベルは使えるか

2013年02月15日 | お仕事
大学院2年生の口頭試問と修士論文(以下、修論)評価を終えた。
これで今年度の教育業務は終了。
年度の残り1ヶ月半、ほとんど自分の時間として使えるのがうれしい。

今日の修論の話を先の心理学専攻の就職の問題と関連させると、
修論までの2年間で、学生の実力は飛躍的に向上する。

学卒ではほとんど企業の即戦力にならない今日、
修士出は理系だけでなく少なくとも心理系もデータ分析能力は使えるレベルに達していると思う。
もっとも、データ分析などまったく無用という会社には使いようがないが
(ちなみに、わが大学院の修了生は全員、臨床心理士を目指しているので、企業就職は考えていない)。

企業経験者として、残念に思っているのは、
会社員になった後、知性を高めるトレーニングから縁遠くなっている人が多かった。
いわゆる世間知には長けていくものの、論理性ではない別の”理屈”の世界、
組織内論理レベルの整合性・説得性を優先し、
近視眼的な採算性に翻弄され、中期的な利益を損なう(いや、この点は私立大学も同根か)。

企業人はわれわれ大学人を「世間知らず」と馬鹿にするが、
企業人も自分の狭い経験内の世間知の中に留まっていては、人のことは言えない。

企業人こそ、大学院での勉強が真に役立つかもしれない。
ステマっぽい締めになってしまった

心理学は就職に不利か③:心理学は役に立たない?

2013年02月14日 | お仕事
心理学専攻の学生の就職内定率の低さの原因を探っている。
学生のメンタリティの問題ではなく、大学のカリキュラムの問題でもなく、
その遠因は、心理学そのものにあるのではないか。
心理学と社会の接点の少なさが問題なのではないか。

心理学の応用分野といえば、実質的には「心のケア」の世界と発達・教育の世界に限られている。

かつて私は、心理学者ご指名を受けて民間企業の研究セクションに加わっていた。
研究セクションを立ち上げた人が、心理学者に加わってほしいと思ったからだ。
ところが、結果的にうまくいかなかった。

企業が求める問題について、残念ながら心理学は研究していなかった。
なので心理学側の私としては、その問題は基礎研究からやらないといけない。
でも基礎研究から始めることは、それなりの結果が出るまで何年もデータを重ねる必要がある。
企業は待っていられない。

企業側は、既存の心理学の研究成果やノウハウを、さらっと応用できないかという期待があるのだが、
心理学の基礎研究は製品に直結するようなシロモノではない。

私自身、もともと心理学専攻でなかったが、サークル活動のリーダーシップに悩んで、
社会心理学のリーダーシップの本を読みあさった。
その結果、実際に使えるものは1つも得られなかった。
なので、自分が探求するしかないと思い、社会心理学を専攻することにしたのだ。
私こそ、心理学が一見役に立ちそうで実は役に立たないという事を痛感している1人だ。

そもそも心理学の学会って、産業界やマスコミから注目されることもない
同好の士だけの閉じた世界。

私自身も研究テーマは原理的・哲学的でさえあるのだが、
その一方で、世間との接点がある実用的な研究もおおいに関心がある。
自分の研究結果が製品に反映されるのって、夢だ。

人間の心と行動を研究する心理学は、原理的・可能性的には、人を相手にする企業にとっておおいに関連しうるはずだ。

それを実現するには、
心理学の方が、もっと世間に眼を開けないといけない。

心理学は役に立つ学問でありたい。
「最も理論的なものは最も実用的だ」というK.レヴィン(実験社会心理学の父)の言葉を信じている。

とりわけ社会心理学は、通俗的なテーマ大歓迎。
学生の卒論にも、週刊誌に掲載すればおおいに注目されるものがいくつもある。
たとえば、私の卒論生のテーマでは、
「女性の下着の色の実態と選択基準」
「待ち合わせをしている人の位置と行動パターン」
「着ぐるみの振舞いと人の反応パターン」など(タイトル名は正確ではない)、
日常的・等身大のテーマに満ちている。

企業からの依頼がくれば、学生を使って研究することにやぶさかでない。

心理学は就職に不利か②:学生が身に付けるもの

2013年02月13日 | お仕事
心理学専攻の学生の就職内定率の低さを考える第二弾。

心理学専攻の学生は、企業で”使えないか”。

性格的には内向的な学生が多いので、営業・販売向きではない。
では能力的にどうなのか。

心理学専攻のカリキュラムは、どこの大学でも、心理学の理論的授業(座学)だけではなく、
統計・データ解析が必須。
そして卒論は、自分でデータを取って分析する。
いわば理系的。
もちろんその内容は物や自然物ではなく、人の心。

いわゆるアンケート調査を自分で作成して、実施して、分析して、結果をだして、考察するまでできる。
アンケート調査なら、社会学専攻の学生もできるが、
心理学専攻の学生は、このほかに、実験もできるし、心理検査も実施でき、
時には脳波などの生理的データも採れる。
これって、使えるんじゃないの。

こういう技能を使わない企業って、そっちの方が怠慢なんじゃないの?

なら、心理学を専攻すれば、企業で活躍できるか。
現実は「否」である。

実は、心理学そのものに問題がある。
私自身の企業経験でそれを痛感している。
それは次回にて。


心理学は就職に不利か①:内定率の低さ

2013年02月12日 | お仕事
わが心理学科の就職内定率は、大学のすべての学科で最低だった。
心理学科には大学院があるので、進学希望者を除外した、
就職希望者における希望内定率の数字。
実はこれ、今年に限ってのことではなく、毎年の話。
この傾向はうちの大学に限っての現象か。
他大学ではどうなんだろう。
たぶん、心理学専攻に特有な傾向な気がする。

そこで、心理学と就職との関係を考えてみたい。

内定率の低さを、まず担当教員はどう捉えているかというと、
「メンタルな問題を抱えた学生が他学科より多い」ためというのが一致した見方。
統計的にいえばそうかもしれない。

そもそも心理学を専攻しようとする動機にメンタルな問題があるのも事実だ。
ただ、言い換えれば、心理学を専攻する学生は、
自分のメンタルな問題を自覚し、それを直視しようとしている。
自分の心的トラブルを自分の心の問題として引き受け、外部のせいにしていない。
すなわちトラブルメーカーになるメンタリティではない。

そもそも自分を含めた人の心に関心が強いということは、
性格の内向性が強いということだ。
内向的性格は、外部への適応力が弱い。
初対面場面や公的場面での自己アピールに弱いタイプだ。

人間に対する知識がある割りに、性格的に営業や販売には向かない。
かといって事務作業では、パソコンをバンバン使う学科に負ける。
という訳で、営業職・事務職というレベルでは、売りが弱い。

だが、性格だけで仕事が勤まるだろうか。
それなら、そもそも大学卒である必要もないはず。

能力的にはどうなのだろう。
これは次に考えてみる。

瑞浪に1人客となる

2013年02月11日 | 
仕事明けの連休後半、真の”慰労”の旅として、
「フォレストみずなみカントリークラブ」に泊まった。
ゴルフを(絶対に)やらない私がここに泊まった理由は、
ラドン温泉があり、ゴルフ客以外も宿泊OKなため。

瑞浪(みずなみ)は、私が大好きな”東濃”の一部なのだが、
今までは東濃の観光地にして私の定宿と準定宿がある中津川・恵那に行く通過点でしかなかった。
私としてはぜひこれらの通過点も味わいたい。
土岐と多治見には「ホテルルートイン」があるのですでに泊まった。
瑞浪に宿をとるのは初めて。

このカントリークラブは、
中央道が屏風山PAに指しかかるあたりに対岸の山の上に塔のある瀟洒な建物が見え、
それなりに心惹かれるのだが、まさにその建物。

瑞浪は大湫・細久手の中山道と、その南の土岐川沿いの中央線・国道19号と、
私が大好きな国道363号の中馬街道の3つのラインが平行している。
後者はよく車で通過し、中山道には日帰り旅で通った。
まんなかの土岐川沿いは大国道を通るのが嫌いなせいもあって忌避していた。
今回の宿はそのエリアなので、ついでにそのエリアの名所にも立寄る。

まずは「化石博物館」にいった。
ここはデスモスチルスの化石で有名(展示されている全身骨格は樺太のもの)。
また、土岐から瑞浪にかけて日本最大規模のウラン鉱床があるのを知った。
館内の地質図によると博物館から一山越えた月吉付近は鉱床が地表に近い。
ネットで知ったのだが、この近くに「東濃鉱山」というウラン鉱山があったが、
閉鎖になったという。
今度ぜひガイガー持参で行ってみたい。

同じ敷地の「陶磁博物館」、「地球回廊」も見学した。
竜吟の滝は、途中まで行ったが、時間がないので引き返した
(もっと緑豊かな季節がいいはず)。

さて、たどり着いたカントリークラブは、もちろんゴルフ客ばかり。
ただし連休最後の今日は皆様ご帰宅のようで、
夕方残ったのは私1人。
食事も、レストランの大食堂ではなく、りっぱな会議室の中央に1人鎮座。
メニューに苦手な鳥の唐揚げがあったので、箸を取る前に、取り下げてもらったら、
その代りに春巻きを持ってきてくれた。
当然、夜のラドン湯も貸し切り。

今まで旅宿には数えきれないほど泊まったが、個人経営の民宿は除いて、
こんなりっぱなホテルレベルでたった1人というのは初めてじゃないか。
私1人が居るせいで、人件費と電気代が無駄にかかっているようで、
すなわち儲けにならなくて申し訳ない。
なにしろ1泊2食付きで9750円。
ただ、ゴルフをやらない者にとっては、散歩する所もない。

業務ほぼ終了

2013年02月08日 | お仕事
後期の成績つけと入試を終え、
勤務先に提出する数々の書類を全部出し終え、もうじき発行される論文の校正も終えた。
これで年度内で残った壁は個人事業主としての”確定申告”だけとなった。

授業もとっくに終わっているので、
時間に追われることなく、自分が自分の時間の主人になっている。

授業も論文原稿も迫っていないこの時期は、
ベーシックな研究態勢をとれる貴重な期間。
これからの1ヶ月半、知識と教養のすそ野を拡げたい。



二段落したら

2013年02月04日 | お仕事
入試の監督業務を終え、その後学部の成績つけを終えた。
Wの一段落なので二段落。
当然祝杯もの。

この少子化と不景気の中にもかかわらず、幸い
わが勤務先の愛知の中堅の女子大は、昨年より受験者が1000名も増えた。
大学が勝ち組と負け組に二分される中、なんとか生き残ってほしいものだ。

帰宅してささやかな祝杯をしている時、テレビで、わが勤務先の大学の教員が論文盗用が発覚したというニュースが流れた。
この教員、すでに論文盗用により停職中だったのだが、新たな盗用が判明したとのこと。

研究者としての基本的倫理、いや品性にかかわる。

女子大の教員には、とりわけ”品性”が求められていると思う。
ガンガン業績を量産するガッツよりも、あるべき人間としての品性が。

ところが、教員採用基準(教授会での選考基準)に”品性”の項目はない。
なので時に品性に欠けた人間が採用される。
そういう人間は、ハラスメントなど厳しくなった倫理規定に鈍感なので、問題を起こしやすい。
すなわち、大学教員が淘汰されやすくなっている。