今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

強い台風の接近に備える

2018年09月30日 | 防災・安全

今回の24号台風も、とてつもない強風を伴っている。

今晩から移動速度が上がるが、それは台風の(右側の)風が強くなることでもある。

とうことは、豪雨災害(雨台風)とは異なった対応が必要となる。

大雨なら低地に被害が集中するので、いいかえれば台地は比較的安全なのだが、

強風は場所を選ばない(水が溜まる窪地の方がまし)。

まず玄関の外、庭やベランダの置物を片づける。
家の内側に入れればよい。

すなわち家屋内であれば、竜巻が来ない限りは安全とみてよい。
ただし窓もシャッターや雨戸などで防御した方がよい(昔は板を打ち付けた)。 
内側からはカーテンなどで防御。 

だが家にいても防げない被害がある。

停電。

強風で電線が切られるから。

そこで、まずは充電できるものは、今のうちに満充電にしておく(なにしろ充電は時間がかかる)。
災害時に最重要なのは情報なので、スマホ・タブレット・ノートパソコン類の充電が最優先。
ニッケル水素など充電できる電池ももちろん、充電用バッテリ自体の充電も忘れずに。

コンロがIHの人は、ボンベのガスコンロが災害時に必要なのはわかっていると思うが、そのガスボンベの残りも確認しておこう。

自家用車があるなら、車のガソリンも満タンにしておく。
車が動けば、車自体が大きなバッテリとラジオになるから。

強風時にどうしても外出するなら、ヘルメットを着用すべし(前回の21号の時、大阪で通行人が飛来物で頭を打って死亡した)。


自然の力に鈍感な人たち

2018年09月29日 | 防災・安全

台風24号は、前回の21号を上回る強風で、しかも、日本列島を縦断する構え。

実は、明日から岐阜の恵那峡に温泉旅を予定していた。
でも行き先が、その日の台風の予想進路下に入っている。
21号での大阪のように車を吹き飛ばされたくないので、直前ながらキャンセルの電話を入れた。
自己都合ではなく、自然災害に対して生命を守るためなので、キャンセル料はかからない。

昼に勤務先の大学で業務があったので、それに参加。
その際、同僚に温泉をキャンセルしたことを話したら、
「私だったらこういう時こそ行く。あなたは慎重なんですね」と、私の方が変わっているかのような反応に驚いた。

なるほど、気象災害の犠牲者が減らないわけだ。
自然の猛威に鈍感、あるいは想像力がない人がいる限り。

私は、中学以来登山をやっているため、悪天候なら登山を中止するのが当たり前になっている。

ましてや、風速50m/hもの暴風がやってくる中を外出する愚を犯すことはない。

前回の風速35m/hで大学に設置していた気象観測器が吹き飛ばされた。
今回なら、車も飛ばされる。

自然の力への想像力に自信ない人は、
人工装置でいいから、震度7の揺れと風速30m/hを経験してみるべきだ。

防災の授業で学生に尋ねた所、大学入学以前での防災の授業経験者は0。
小学校から高校まで、おざなりの”避難訓練”しか経験していない。
世界一の災害国ともいえる日本で、防災教育がまったくされていない現状に暗然。
だから、大人になっても風速50m/hもの台風が近づいても「どこ吹く風」で、
そういう人たちから毎回死者が出続けている。 

だから、さきほどの同僚に私はこう返した
「そういう考えの人がいるから、自然災害の死者がなくならないんです」と。 

私が学校(子ども)での防災教育を重視するのは、
大人なると今まで死なないでこれた自分を絶対視して、防災を学ぼうとする気持ちがなくなるから。 


1200m台の山に挑んだ結果

2018年09月23日 | 山歩き

下りで歩行困難になる腸脛靱帯炎者が登山をやるには、ZASMTのサポーターが必須とわかった。
問題は、どのくらいの負荷までこのサポーターが耐えられるかだ。
なにしろ、その限界を超えると途端に山の中で歩行困難になるので生死にかかわる。

そこで、標高約600mの高尾山を皮切りに、毎回ほぼ100mずつ標高を上げて、今年6月の時点で1000mまでクリアできた。

そして夏の間に更なる高みにトライするつもりだったが、思わぬ酷暑のため、いわゆる1000m台の”低山”に行く気にならず(熱中症になりに行くようなもの)、ずるずる延期になった。

「暑さ寒さも彼岸まで」という諺どおり、少しは涼しくなった秋の彼岸中日の秋分の日の日曜、秋晴れとはいかないまでも、晴天なので丹沢の大山(1252m)に行くことにした。

そう、1100m台を飛ばしたのだ。

理由は簡単、1000mがクリアできたなら、1100mも同じだろうし、先を急ぎたいから。

大山は、腸脛靱帯炎に苦しむ前に登って、最後の男坂の石段の下りで、右膝(腸脛靱帯炎でない側)を痛めて泣きを見た因縁の山。→「丹沢大山、涙の男坂」
その男坂へのリベンジの意味もあった。

大山は、中腹の阿夫利神社下社(約700m)までケーブルカーが通っている。
登山効率的にはそれを利用しない手はないのだが、男坂へのリベンジを下りでなく、登りでやりたいため(下りは勘弁)、急な石段が延々と続く男坂を登る。
ケーブル下から歩いて登る人たち(もともとその数は少ない)は、ことどとく女坂を選んでいく。
なのでたった一人で男坂をぐいぐい登っていく。
下ってくる人はいるが、中には両膝に手を当てて苦痛の表情の人もいる。
自然石の堅い石段の下りは膝をやられる(至仏山から尾瀬ケ原への下りも膝が痛かった)。
男坂を下りに使うのはやめた方がいい。

ケーブルに並行した段差のある石段の直登ルートだけに、すでに汗だくになり、両脚の大腿四頭筋が悲鳴を上げる。
少しでも膝の負荷を和らげようと、予備に持ってきたストックを早々に使う。 

やっとケーブル終点の下社駅に到着。
更に石段を登って下社を参拝し、山頂への登山入口を抜ける(自分で幣でお祓いし、お守りをいただく)。
私以外のケーブル利用の登山客は、ここから歩き始めるので、皆さん至って軽快な足取り。
それに対し、すでに一戦こなしてきた私は、長距離歩行モードに入っている。
そのため、最初の長い石段で、前を行く若いカップルに距離を開けられてしまう。
ただ、初心者ほど、歩き出しは張切って歩速を高めてしまい、それが後になって響いてくるはず。

私はマイペースで登っていくが、すでに大腿四頭筋が痛み出していて、いつもより苦しい。
なにしろ下社から上も自然石の不ぞろいな石段が続いているから。
坂道と違って、階段の登りは大腿四頭筋のみを酷使する不自然な負荷を強いられる。
男坂を登ってきた私だけが、辛いハンディを背負っているのだ。

大山は、その名の通り、稜線から抜きんでた山容をしている。
それは山体が急斜面で構成されているからだ。
ケーブルを使わず、下から直登してきて初めて大山の”険しさ”が痛感できる。

大腿四頭筋は痛むものの、心肺機能は大丈夫なので、山頂手前で、先ほどのカップルに追いつき、追い抜くことができた。
山では、ウサギよりカメの歩行が結果的には早く着くのだ。

阿夫利神社本社のある山頂で、大勢のハイカーに交じって持参した菓子パンの昼食を摂る。
山頂の茶屋にはおいしそうな蕎麦があり、その場で食せるカップ麺もある。
次回はここで昼食を摂りたい。

山頂で30分休んで、前回同様、見晴し台に降りる。
こちらも急傾斜が続く。
今度は下りなので、腸脛靱帯にとって試練だ。

13時過ぎているのに、この急坂を家族連れが登ってきた。
小学生の男の子はべそをかいている。
今から山頂に行ってしかも辛い急坂を降りて時間的に間に合うのだろうか。
それに男の子はこれで山が嫌いになるだろう。

丹沢は、目の前に相模湾が広がり、横浜と東京が望め、富士も裾野から見えて、奥多摩より展望がダイナミック。
でも斜面が急で、崩壊地が多く、道も険しい。
一言でいえば、奥多摩より難易度が高い。 
私自身、身をもってそれを痛感することになる。

そう、見晴し台に着く前に、とうとう左脚の腸脛靱帯が痛み出した。
ZAMST を着けているのに。
さらに、前回の男坂で痛んだ右の膝まで痛み出してきた。
右用のZAMSTも必要なようだ。

三峰山が目の前に聳える見晴し台に着き、振り返ると大山が見下ろしている(写真)。

見晴し台から下社までは幸い平坦な巻き道なので、膝の痛みは感じなかったが、
下社から、女坂を下るつもりで、数歩降りたら左膝がダメだと訴えたので、下りはケーブルを使った。

ケーブルからバス停までの短い石段が続く参道の下りでも腸脛靱帯が痛んで、普通に降りれなかった(新宿駅の階段でも)。
ZAMSTを着けても、1200m台が限界だとわかった。 
自分の慢心がそうさせたともいえる。 

後日:一旦腸脛靱帯炎になると、翌日も階段を降りれない状態が続いたものだが、今回は帰宅後、低周波治療(オムロンのエレプラス)をし、次いで一晩高周波治療(パナソニックのパナコラン)をしたら、翌朝は痛みが消えていた。
帰宅後の処置はこれでよさそうだ。 


耳鳴りに漢方を試す

2018年09月22日 | 健康

長年患っている耳鳴り(両耳の内側でキーンという高音が複数の周波数で鳴りっぱなし)。
実際には、慣れてしまって心理的な苦痛はないが、外からの高周波音を聞こえにくくしているので、
鼓膜が原因で患っている”難聴”に悪い影響を与えている(高周波が聞き取りにくいため、話し声がクリアに聞こえない)。

西洋医学の耳鼻科では治療法がなく(実際、治療してくれない)、耳鳴り対応のサプリを飲んでも変化なく、聴宮などのツボを押してもダメ。
なすすべがないと思っていたのだが、最後の手段があった。
漢方だ。

ここに至ったのは、私の関心が、気功から始まって経絡そして漢方へと中(国)医学の他領域に拡がったことによる。
中医学は、西洋医学からみた”代替医療”としては、最も信頼がおけるもので、
漢方薬は医薬品として認められている(ただし保険は適用されない)。

そしてさらに、東京宅の近所(駅への通り道)に、昨年末、漢方専門の薬局が開局した。 
最近までは無関心だったので、ずっと素通りしていたのだが、先日、意を決して跳び込んだ。 

まずは自分の症状を話し、それに対する薬剤師の返答は、漢方の理論(理論的には経絡と共通の五臓モデル)を勉強していたので、よく理解できた。

理論的には、耳鳴りは”腎虚”によるもので、津液(水)が滞っている状態(水滞)によるという。
ただ私の場合は、腎虚の他の症状が顕著でなく、そして高血圧を兼ねていることもあり、
より根源的な対策として、瘀血(オケツ)すなわち血流障害を治した方がいいらしい。

漢方は、患者の個別状態に合せて調合するものなので、市販の漢方薬だと自分に合わない場合がある。

耳鳴りの場合、市販だと「八味丸」が典型だが、私が処方されたのは、成分の組み合わせから「冠心逐瘀丹」と「桂枝茯苓丸」の混合といえる。
これで改善がなかったら、また調合を変えるという。 

これを朝晩、湯に煎じて飲む(中医学では体を冷やすこと自体が邪気が入るのでダメ)。
漢方は苦いかと思ったが、桂皮が入っているせいか、シナモンティーを飲んでいるようでむしろ心地よく味わえる。 
それを薬剤師に話したら、体が快適に薬を受け入れることも重要だという。 

ちなみに、医師から処方された降圧剤を服用しているのだが、漢方はそれら西洋医学的薬剤との組み合わせは考慮しなくていいという。
効果を狙っている場所と方法がまったく異なるからで、たとえば降圧剤は、血管内での血圧を下げる効果だけを狙っているが、
漢方では血圧を正常にするのが狙い(高すぎるなら下げ、低すぎるなら上げる)。 
温泉と同じ「総合的生体調整作用」(旧称:非特異的変調作用)ってやつだ。 
なので漢方は、降圧剤の邪魔も促進もしない。

ただし、降圧剤はすぐに効果が出るのに対して、漢方はゆっくり効くので、気長に見守ることが必要。
保険が利かないので、財布にとっては痛いが、これが最後の頼みなので、しばらくつきあうことにする。

その結果は→こちら


二つの二重災難が一挙に解決

2018年09月19日 | 失敗・災難

先日私に襲いかかった二つの二重災難、すなわち二ヶ所のキャンパスに設置してある気象観測装置が台風21号の強風で破損したことと、名古屋宅と研究室で同時にネットが使えなくなったこと、これらがいずれも解決した。

まずは本部キャンパスに設置してある気象観測装置は、すでに新品を買っており(それを設置する前に台風が来たので、むしろ幸運だった)、昨日、屋外に新品を設置し、また屋内の受信機とネット配信用のパソコンのセッティングを終えた。
画面の経時グラフがおかしいが、数日様子をみる。
そして「日進」キャンパスの装置は、風向計が故障してしまったが、他の観測は無事に再開。
しかも研究室内のネット配信も接続をしなおして、ようやく開通。
これで2ヶ所とも、気象観測のネット配信はなんとか再開できた。

最後に残ったのは、名古屋宅のネット接続。
原因は不明のまま、無線LANルータを新規購入して、 接続したら、やっとつながった。
その間、ポケットWifiを代用していたが、使用量がオーバーして画面を見るにもやたら時間がかかり一苦労だった。
サクサク走る画面に戻り、こうして気分よくブログに報告できる。

後期授業開始が目前なので、仕事はどんどん増えているが、まずは目の前の懸案事項が一挙に解決してよかった。


写り込みのカメラを修理に

2018年09月17日 | 生活

昨日の渋谷川歩きの終点・竹芝埠頭からの海の風景をカメラに収めて、このブログにアップしようとしたら、どの写真も画面に微生物のような形の半透明のゴミらしきものが写り込んでいた(空が映っていない他の写真は写り込みがバレない)。 
仕方なしに全て消去。
レンズを外から拭いてもこの”写り込み”が消えないので、どうやら内部にゴミが入ったようだ(レンズに傷がつかないようUVフィルターを装着)。

私のカメラはLumixの高級コンデジ(ミラーレスより一段劣るがマニュアル操作ができる)。
Lumixの他の高級コンデジでも同じ現象があった。
この機種を買う時も、ユーザーのコメントに「ゴミが入りやすい」とあったので、注意はしていた。
それでもLumixを使い続けているのは、このブランドが”なんちゃってライカ”だから。
すなわちLumixはライカ公認レンズを使用し、実際ボディにLeicaのロゴ(但し赤くない)が付いている。 
そう、私は本当はライカがほしいのだが、中古車が買えそうな値段なので、手が出ず、"なんちゃって”で我慢しているわけ。 

レンズ内にゴミが入ることは不満だが、秋葉原にLumixの修理工房があって、そこに持ち込めばその場で直してくれる点はありがたい。

このままほうっておけないので、さっそく秋葉に行く(自宅から電車経由で20分ほど)。
休日で混んでいるかと思ったが、案に相違して待つ順番は0番。

さっそく診てもらうと、レンズのクリーニングで済みそうだという。
ただ、終るのが2時間後という指定(これいつも)。

2時間待つ代わりに、3ヶ月は保管してくれるというが、後日取りに来るのも面倒なので、早く終るのを期待して、秋葉を歩き回って時間をつぶす。

秋葉で一番時間をつぶせるのはやっぱりヨドバシ(メイド喫茶は除外)。
ヨドバシで買物をしていると、1時間45分たって修理が終ったという電話が入ったので、受取りに行く。
一応原因を尋ねると、この症状は、ズーム付きのコンデジにとっては持病のようなものだという。
せめてもの予防として、使った後はエアクリーナーでゴミを落とすとよいとのこと。 

代金は税込みで3240円。
3ヶ月以内に同じ症状が出た場合は無料で修理してくれる。  

これにて一件落着。
ついでに、やはり自分には、渋谷より秋葉の方が水が合っていると実感。 


渋谷川を歩く

2018年09月16日 | 川歩き

久しぶりに都内の川歩き(川に沿って歩く)に出た。

そもそも、東京区部を南北に縦断する京浜東北線を境とした西側、北の荒川(埼玉県境)と南の多摩川(神奈川県境)との間に拡がるのは山の手台地だ。
その山の手台地を削って東西に流れる都区内の川が3つある。
まずは神田川、 南に目黒川、そしてそれらの間の渋谷川。
私がまだ歩いていないのは渋谷川。

渋谷川は、その名の通り、あの”渋谷”を流れる川。
渋谷は東の宮益坂、西の道玄坂に挟まれた、まさに谷の底。
川が流れていておかしくない。

渋谷川はその渋谷から恵比寿、広尾、白金、麻布十番、三田、芝を経て、竹芝で東京湾に達する。
列挙した地名でわかるように、都心南部の一等地を流れるから、川歩きしながら東京見物できるかも。


その前に、川を歩くには、2つの選択をしなくてはならない。
まずは河口から遡るか、水源から下るか。
経験上、最後は水源に達した方が、達成感を得やすいが、今回の渋谷川は水源から渋谷までが暗渠なので、川が地上に顔を出す渋谷が最上流となる。
一方、河口は竹芝埠頭に隣接しているので、港の風景が期待できる。
暗渠で終るよりは、港で終りたい。
ということで、今回は河の流れと同じく、上流から河口に向って歩くことにする。 

もう一つの選択は、右岸と左岸のどちらを歩くか。
荒川のような大河とちがって、街中を流れる川は、川沿いの道そのものが無いことが多く、あってもどちらか一方なので、選択の余地はない。
基本は川に近い側、ただし大通りでなく、のんびり歩ける細い道を選ぶ。


と、方針が決ったので、まずは山手線で出発地の渋谷駅に行く。
いつもなら歩く前に駅そばで腹ごしらえをするのだが、「しぶそば」は先日の世田谷観音の時に利用したばかりだし、今回は道沿いに店がたくさんあるので、食べずに歩き始める。

渋谷駅の東口を出て南進し、駅南端の玉川通りを越えると、渋谷ストリームという高層ビルの下から、渋谷川が顔を出している。

丁度、渋谷の鎮守である金王八幡(ここは単独で訪れる価値がある)の祭礼で、川の出口の上の稲荷橋はテラス状になっていて提灯が飾られ、お囃子が流れている。

この場所、祭礼でなくても、人々が集うように整備されており、川の両側(コンクリートの側壁だが)から壁を伝って水が流れ(「壁泉」と称している)、夜間はぼんぼりでライトアップされる(写真:暗渠口を臨む)。
すなわち、渋谷の名の元となっているこの渋谷川を、邪魔者扱いせず、きちんと渋谷の街の一部として盛り上げようとしている。
これが街中の川に対するあるべき姿勢だ。


当の渋谷川は3面が無粋なコンクリートで固められ、川床はコケ色に変色していて、まだまだ美観にはほど遠いが、源流となっている浄水場から透明な清流がきており、魚影こそないものの、ゴミもない(もっとも、9月13日にオープンしたばかりだし)。
その川にそって軽食やビールが飲める店が続き、上の写真のように川側に寄りかかってビールを飲める。

私は、予定していた「小諸そば」で軽くすませたが、いろんな種類の軽食を選べて楽しそう。
渋谷に遊びに来たら、ここに足を運んで一休みするといいかも。 

このような楽しい川沿いの道は並木橋で終る(写真。渋谷川を振り返る)。

ここからは、ふつうの舗装道路を川から離れないよう自分で選んで進むしかない。 
しかもあちこちに、あの醜いスプレーの落書きの跡。 
町内会の神輿の倉庫もその難をこうむっている。 

渋谷川は明治通りが左岸を並行しているが、静かな道がいいので、右岸の住宅地内のほそい道を進む。
庚申橋のたもとの背の高い庚申供養塔をみて 一旦明治通に出て、立派で近代的な福昌寺を通り、恵比寿駅前の広い道路を横断し、再び川に並行した裏道を進む(川からは離れているので川は見えない)。

恵比寿と広尾の間は、明治通りに沿った裏道ながら、ところどころに隠れ家風のこじんまりしたレストランが散見する。


天現寺橋では、地名になっている天現寺を参拝。
道路向いの慶應幼稚舎側に、この川の清流化工事の碑がある。
幅広くなった川を見下ろすと、川辺にカモが数羽泳いでいる。

だが、このような風情を楽しめるのは、ここだけ。
この先から首都高目黒線が川の上を覆うようになるから。
たとえば、白金公園内には親水広場があるのだが、高架の下の渋谷川は暗くてずっと下方を流れていて、まったく水に親しめない。
いつも五百羅漢寺に墓参りに行く時は上の高速を通るのだが、今回だけはそれが邪魔に見えて仕方ない。
言い換えれば、このあたりから下流は、渋谷川(港区では古川と名を変える)は、上に高速を通すしか価値のない邪魔者となる。


その古川橋で、上の高速と並行する麻布通り(天現寺橋以東から)とともに川は左に直角に曲がって北上する。
この間の川は高速道路に覆われてずっと日陰で暗いので、様子がわからない。
麻布十番にさしかかると、川は今度は右に直角に曲がる。
ここはいわゆる「麻布十番」だが、裏道の商店街はいいとして、表通りの交差点の風景の無粋なこと。
周囲のビルたちの統一感の無さも相当なひどさだが、一番風景を醜くしているのは広い道路の中央に我が物顔に並んでいる首都高速の薄汚れた橋脚。
東京の風景の破壊者である。 
正直、ここまで歩いてきて、都市の造形美を感じた所はなかった。
残念ながら、渋谷川を歩いても、東京を楽しめない。
その残念さに輪をかけるように、ここから渋谷川(古川)は濁って淀んだ死んだ川になる。
しかも川に沿った裏道もなくなり、広い車道沿いの歩道を歩くしかない。 


それでも赤羽橋の交差点にさしかかると、左手に東京タワーが間近に聳え、天に伸びる自らの尖塔形によって、周囲の雑多なビル群の不統一感を無きものにしている。
まるで近隣の中小大名を蹴散らす信長のような異質の存在感。

各国の都市にタワーが建てられる理由が 判った気がする。

徳川家重ゆかりの妙定院に立ち寄って、本堂内の阿弥陀三尊を望見し、境内の石仏を撮って、芝公園の南端を横断(北側に増上寺の門が見える)して東に進む。

さて、最後の一本道を東京湾に向う。
金杉橋に達すると、渋谷川は釣り船の繋留所となっている。
もう川というより海の入り江なのだ。
ちなみに、この通りにも「小諸そば」があった。

入口に地蔵尊のある古びたトンネル状歩道で山手線・京浜東北線・東海道線・新幹線そしてモノレールまでの線路をくぐり、首都高浜崎ジャンクション下を過ぎると、渋谷川(古川)の前に海が拡がり、河口になる(写真)。


首都高下の広い道路を渡って、終着点の竹芝埠頭に入る。
海を隔てて右手にレインボーブリッジが海の上にかかり、その左の対岸のお台場に特徴あるフジテレビのビル。
その手前を遊覧船が走っていく。 
左手に眼を転じると、海と区別がつかないほど拡がった隅田川の河口があり(大川の名に恥じない)、その奥にスカイツリーが東京タワーを凌駕する存在感で聳える。 
海を中心にした東京の風景というのもあるわけだ。
人は川に対しては邪険に振る舞えても、巨大な海に対してはそれができない。

実際、海の存在感は、さきほどまで歩いてきた川のことを忘れさせるほど。
私自身、まるで海を見に来たかのように、眼を海に向けたまま、ベンチにゆっくり腰を下ろす。

川は海に吸収され、その存在をなくす。
そのような川の運命を辿って歩くのもいいかもしれない。 


中高一貫校の文化祭

2018年09月15日 | 東京周辺

中三になる甥が通っている中高一貫校の文化祭に、甥が展示の説明をするというので、私も一緒に行ってみた。

中高一貫校で学年数・生徒数が多いので、さすがに規模が大きい。
それに合せて来場者も日に一万人を超えるらしい(生徒の家族の他に、他校の生徒、受験を控えた小学生の家族なども来る)。

甥の所属する生物部はもちろん、他のクラブも中学生にとってはハイレベルの活動が可能になっている。
たとえば甥たちの研究(オランウータンの代理母の養育行動の観察)は、実際、霊長類学会でポスター展示して表彰された。
かように、文化部は研究発表レベルになっている。

水泳部のお化け屋敷が長い行列ができるほど人気で、両親と一緒に入った3歳の姪は出て来た途端に怖くて泣き出した。 

思えば、私が中三の時は、区立中学の地学部の部長として文化祭に臨んだのだが、何しろ区立中学なので(部室も予算もあるはずもなく)化石や鉱石標本など展示に値するものは皆無で、当時山好きな仲間が部員として集まっていたので(仲間で登山する以外の活動はしていない)、火山模型を作ってドライアイスを入れて噴火ショー?をやり、あとは山関係の映像でお茶を濁していた。

高校の文化祭では、写真部では自ら現像した写真を展示し、地歴部では自分が行った城跡の説明を模造紙に貼り(研究発表レベルではない)、ワンゲル部では山の道具の展示と行った山の写真を模造紙に貼った。
わが高校は、受験希望者がいる学校ではなかったので、来場者も生徒の家族と近所の子どもくらいだった。


論文提出でも祝杯せず

2018年09月13日 | 生活

本日締切の1時間前に、論文原稿を耳を揃えて(紙印刷とUSBメモリ)提出した。
論文を書くことは、現役の研究者であることの証しなので、アイデンティティ的には最も大事な”仕事”。 

私の場合は、データ分析の論文より、理論構想の論文が多く、その場合は、最終的な落とし所が見えないまま、とにかく書き始める。
そして、自分の力というより論理の力によって、見えなかった落とし所が次第に見えてくるから助かる。
なにせ理論は論理で出来ているから、素材さえ用意すれば、あとは論理が半ば自律的に理論をかたち作ってくれるのだ。 

そうやって作る論文なので、同僚からは「論理的に破綻していない論文だ」とへんな褒め方をされる(裏を返せば、論理的に破綻した論文が散見されるという)。

そんなわけで、ひと仕事終えたのですっきりしたいのだが、残念ながら慰労の祝杯はおあずけ。
運悪く、今日は年に一度だけの”休肝日”を余儀なくされる日。
すなわち、健康診断の前日。

毎晩欠かさず酒をたしなむ私でも、健康診断の前日だけ禁酒すれば、翌日の採血でのγGTPは正常値になってくれる(前日も飲むとダメ)。
逆に言えば、前日以外の一年364日毎晩飲酒しているのに、たった一日アルコールを抜けば私の肝臓は正常に戻ってくれるからありがたい。

一日おあずけをくらうおかげで、健康診断が終わった晩の”解禁酒”が今から楽しみ。


2つの二重災難

2018年09月10日 | 失敗・災難

大阪や北海道では、とんだ災難に遭って茫然となっている人たちがいるが、なんと私にも災難が連続して降りかかってきた。

まず台風21号の記録的な強風によって、名古屋市内の「星が丘」の故障中の気象観測装置が破壊されたことは前の記事に記したが、それだけでなく、名古屋郊外の「日進」でも校舎の屋上に設置して稼働中の同形の観測装置が、コンクリートブロックの幾重もの重しをものとせず、移動していた。
そして電源装置のカバーが外れて内部が雨を浴び、只今電源喪失状態。
電気が通らないと買い替えとなる(研究費が吹っ飛ぶ)。
つまり、大学での気象観測・配信が2つとも停止状態。 

さらに、台風とは無関係だが、研究室内のLANルータが急に認識されなくなり(作動は正常なのに)、気象観測のネット配信ができなくなっている(どうせ観測不能状態だが)。
さらにさらに、 名古屋宅のLANルータも突然故障してやはり認識されなくなり、ネットがつながらなくなってしまった(仕方なしに移動時用のモバイルルータで代用)。

かように、同じ2つの災難がダブルで続いた。

これらの故障たちに急いで対応しなくてはならないのだが、今週半ばに締切の論文作成が最優先事項なので、どれにも手をつけられないでいる。

その他にも懸案事項が重なっているのだが、すべて後回し。
さらにその後に後期授業が待っている(授業が始まったら、日々、それに追われる)。 

来週中にでも、対応しなくては。


北海道胆振東部地震に思う

2018年09月06日 | 防災・安全

台風21号が過ぎたばかりの、地震の特異日ともいえる9月5日
(→大地震に季節傾向はあるか)から3時間過ぎた6日未明、
北海道胆振(イブリ)東部で震度7の地震が発生(東京は震度1なのでまったく気づかず)。
北海道全域の停電という事態と、震源に近い所で地滑りによる生き埋め事故が発生した。

全域の停電によって、地震はたいしたことなかった泊原発が電源喪失の事態に陥ったのは(予備電源で対処)、
被害は発生していないけど、愚かしい不手際(原発の”安全神話”?)。

インフラの損傷は致し方ないとして、心が痛んだのは土砂災害。
まただ。
本ブログでも記したように、土砂災害(がけ崩れ、地滑り、土石流)は地震でも大雨でも発生する。
しかも日本の75%は山地で平野部が少ないので、大都市以外の居住地域の多くは山地との接点域になる。
なので、土砂災害の確率がさらに高まる。

被害のあった厚真町吉野地区を防災地図で見ると、
道路沿いの集落一帯が「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されている
(現場とピンポイントで対応しているかは未確認)。

かように居住地域の地形によって災害危険性が異なる。

まずは、地形による災害危険性を把握しておくこと。
海沿い:津波、高潮
平野部:洪水、浸水、竜巻
山地:土砂災害

逆にいって安全な地形は「台地」に限られる。
住むなら台地だ。
ただし山地と平野部との隙間にあたる台地の面積はごくわずか
(都市の郊外なので価格が高い)。 
海沿いか平野部か山地に住まざるをえないほとんどの日本人は、
災害危険性を日頃から把握しておこう(まずはハザードマップの確認から)。


台風21号の強風被害

2018年09月05日 | 防災・安全

またしても、予測できて実況もされている気象現象で犠牲者が出た。

気象災害は犠牲者0が可能であると思っているのだが、むしろ人の行動の方が予測困難。

風速25m/s以上の暴風圏に入ったら、軽い人は風に煽られ転倒する。 
だから屋外にいてはならない。 

それなのに、なぜ屋外にいるのか。

正常性バイアス、いや、気象災害に対する危機意識の低さなのだろう。

以前も記したが、防災の講演をした時も聴き手の関心は巨大地震に集中して、気象災害は我関せずの雰囲気。

地震に対する恐怖心の半分でも、気象災害に振り分けてほしい。

それにしても大阪の強風はすごかった(路上の車が風に吹き飛ばされるとは)。
風速50m/sなんて尋常ではない(時速180kmに相当)。

名古屋も記録的な強風で、わが大学に設置してある気象観測装置も、
翌日見に行ったら、倒れていて、雨量計部分が風に飛ばされてなくなっていた(強風対応の重しを置いていたのだが…)。

実はこの装置はもう壊れていて、新品を買ったので、交換をしようと思っていた矢先。
交換する前で良かった。 


台風21号接近中の名古屋

2018年09月04日 | お天気

今日は、昼から会議が2本ある予定。

台風21号が接近・上陸することが予想されていたので、当日午前から新幹線のダイヤが乱れそうなので、前日のうちに帰名した。 

勤務先がある愛知尾張東部は、今日の朝から暴風警報。
授業だったらこれだけで休講措置になる(夏休み中なので授業はない)。 

風は強いが雨はまだ降っていないので、4kmの道を歩いて出校した(強風対応の傘を持参)。
大学構内に入った途端、ものすごい強雨が襲ってきた。

急いで校舎に入ると、事務職員はもちろんのこと、教員も会議があるので出校している。

公共交通機関は午後にはストップとなるので、今日予定の会議はすべて中止になった(うち1つは私が決める)。
事務室も午後は閉室にした方がいいと進言。

会議がなくても、今日中に提出すべき書類があって、その資料を入手するのにどうしても出校する必要はあった。
だが、大学で仕事を続けると、台風はますます接近してくるので(愛知は台風の右側なので、台風と台風を進ませる風の風向が合体して風が強い)、帰りの足がなくなる(その頃は徒歩では帰れない)。
資料を手にして、早々に引き上げよう。 

路線バスに乗って終点の藤が丘で降り、駅前のスーパー(松坂屋ストア)で今のうちに夕食を買いそろえる。
もうひとつのスーパー「成城石井」は早々に閉店している。
地下鉄の駅からは、昼で仕事を終えた人たちがどっと降りてきて、スーパーに入って来て昼あるいは夕食を買いあさっていく。
この街は、独身者・単身赴任者が多いのだ。 

棲み家に帰り、ベランダにおいてある風車を室内から見ながら、台風が過ぎるのを待つことにする。