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韓国時代劇ドラマ 「商道」④ (2001~2002年 MBC)

 

 

   「商道」を盛り上げたのは、商人グループ「湾商」「松商」「柳商」のメンバーたち(今でいえば大企業会社の社長、重役、部長、社員)です。旅芸人一座の人たちも面白く、法や貿易の権利を司る朝廷の役人、中国清の商人、それぞれが適役で見ごたえがありました。
 
 「元湾商の書記で松商の大行首(重役)チョン・チス」役チョン・ボソクの悪役ぶりはキリキリしていました。根っからの悪人ではなく自身も優秀なのに、イム・サンオクを妬み彼を越えようと悪事を働いていく悲しい男を演じました。商道のチョン・ボソクには悲哀を感じてしまいます。
「ずっと会いたい」(1998~1999年MBC)「人生は美しい」(2001年KBS)「人魚姫」(2002年MBC)「妻」(2003年KBS)「テジョヨン」(2006年KBS)「甘い人生」(2008年MBC)「ジャイアント」(2010年SBS)
 
 「松商の悪人チャン・ソクチュ」役チョン・ホグンは、韓国ドラマにかかせない名脇役俳優です。彼が出演しているか、全編通して出演するかしないかでは、ドラマの面白さに大きく影響します。「商道」を観た方のブログでも、「もう顔も見たくないほどイヤ」という書き込みもあり、嫌われ憎まれるほど、いい役者といえるのでしょう。チョン・ホグンのような素晴らしい俳優をTV会社は起用するべきです。
 「ホジュン」(1999年MBC)「グッキ」(1999年MBC)「ワンチョ」(1999年MBC)「チェオクの剣」(2003年)「善徳女王」(2009年MBC)「トンイ」(2010年MBC)「広開土王」(2012年KBS)
 
 「柳商の女大行首ウ・ヨラン」役のチェ・ラン、女性でまたぎ姿(猟師)の似会う俳優では一番でしょう。チェ・ランも1980年代から活躍している、韓国ドラマにかかせない味のある俳優です。役どころとしてはヒロインの叔母、秘書、キャリアなどが多いです。配役されているだけでうれしくなります。
 「新貴公子」(2000年MBC)「オールイン運命の愛」(2003MBC)「真珠の首飾り」(2003年KBS)「怪傑春香」(2005年KBS)「トンイ」(2010年MBC)
 
 「芸人一座の短剣投げイ・ボクテ」扮するキム・セジュンもぜひ起用してほしい名脇役です。シリアスな役からコミカルな役まで演じ、会社の同僚、上司や友人、庶民の役などで出演すると、キム・セジュンがいるだけでほっとします。ドラマにも厚みがでてきます。
 「シンデレラ」(1997年MBC)「白夜」(1998年SBS)「真実のために」(1998年)「グッキ」(1999年)「彼女の家」(2001年MBC)「おいしいプロポーズ}(2001年MBC)「新入社員」(2005年MBC)「帰ってきたシングル」(2005年SBS)
 
 「イム・サンオクの母」ナ・ムニは最近、長編ドラマにコミカルな役柄でよく出演しています。ナ・ムニで一番衝撃を受けたドラマは「私が生きる理由」(1997年MBC)です。長屋の住人で知恵遅れの役ですが、演技がものすごくうまくて、どうみても知恵遅れの人にしか見えませんでした。数々の人が知恵遅れの役を演じるのですが、演技をしている感が否めません。ナ・ムニを超える俳優にまだ出会っていません。
 「愛の群像」1999年MBC)「新貴公子」(2000年MBC)「母よ姉よ」(2000MBC)「拝啓ご両親様」(2004年KBS)「バラ色の人生}(2005年「噂のチル姫」(2006年)「愛しの金玉葉」(2008年)
 
 「松商大行首ファン・デホ」役のメン・サンフンはイ・ビョンフンの時代劇6作品すべてに出演しています。善人で主人公を見守る良きアドバイザーとして、なくてはならない人でしょう。「商道」ではずるがしこい商売をするチョン・ボソクの対抗馬として、松商の娘キム・ヒョンジュと同じ、正々堂々とした商売をと考えている人です。
 「星に願いを」(1997年MBC)「私が生きる理由」真実のために」(1998年MBC)「黄金時代」(2000年MBC)「神の天秤」(2008年SBS)「ホジュン」「チャングム」「ソドンヨ」「イサン」「トンイ」
 
 「芸人一座の長」キム・ヨンゴンもいい味だしています。ケチでずるそうですが、悪人には見えません。情けない役も演じますが、会長役も多いです。「第5共和国」の実在の政治家「金泳三(キム・ヨンサム)」役はピッタリで、キム・ヨンゴンのほうが本物以上に「金泳三(キム・ヨンサム)」らしいです。
 「ワンルンの大地(2000年SBS)「三銃士」(2002年SBS)「母さんに角が生えた」(2008年KBS)「黄金の魚」(2010年MBC)
 
 イ・スンジェ(松商代表)、パク・イナン(湾商代表)、イ・ヒド(湾商商人)、イ・ゲイン(湾商商人)、キム・ジャオク(ミグムの母)、今でも出演作が多い俳優で、重鎮ですね。
 
 
 他にも、芸人一座のトホホのキム・ドンス(善徳女王)、湾商の大行首で律義な商人チョン・ミョンファン(あなたそして私)、港商の商人ペ・ドファン(初恋)、謀反人ホンギョンネ役のパク・チャンフン(ホジュンでは王の役)が心に残ります。
 
  イ・スンジェ率いる「松商」は朝鮮一大きい商団にもかかわらず、商売が悪どく、ライバル商団をつぶすためにいろいろなことをします。現代の倫理なき自由競争に似ています。商道の主人公イム・サンオクが属する「湾商」の「利より義」の精神で、お互いが正々堂々と勝負して、争えばよいのであって、負けた相手をさらに追い打ちをかけて抹消しようとするのは道理にはずれていると思います。相手のものを奪うのではなくて、それぞれの商品を堂々と自信を持って売る、胸を張って商売する、切磋琢磨して美しい競争をしていく世の中になってほしいと願わずにはいられません。
 
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韓国時代劇ドラマ 「商道」③ (2001~2002年MBC)

 
 
 2001年のMBC演技大賞でまだ撮影中の「商道」が紹介されて、イ・ジェリョンとホン・ウニなどがゲスト出演していましたが、イ・ジェリョンが地味であまりピンとこなかったのを覚えています。商道を始めて見た時もイ・ジェリョンは大河時代劇ドラマの主人公としては弱いのではないかと、内心思っていました。でも、その地味で平凡で真面目そうなイ・ジェリョンはイム・サンオクにピッタリだったのです。他にも悪役を演じたチョン・ボソク、同情なしの許せない悪役のチョン・ホグンがドラマを盛り上げてくれました。
 
 イ・ビョンフン監督の演出、チェ・ワンギュ作家の脚本も素晴らしいのですが、何といっても適材適所の配役で、芸達者で多彩な脇役の人たちがよかったと思います。
 
 イム・サンオクは3人の女性に愛されます。
 
 「仇敵でライバルの娘タニョン」役のキム・ヒョンジュは全篇通して頭脳明晰、落ち着いていて高潔なお嬢様を演じていてます。ドラマの終盤では予期せぬ出来事が起こりますが、それでも凛としていて存在感もあり、とても素晴らしくますますファンになりました。
 キム・ヒョンジュは屈託なく明るい可愛い女性を演じても、それが本当に嫌味がなくていいのです。ドラマのなかで、それまで明るいのに暗くなってしまう二通りの役(ガラスの靴、彼女の家)を演じることがあって、”上手だわ~”と見入ってしまいます。キム・ヒョンジュは大好きな俳優です。
 
 「元両班のチェヨン」役のキム・ユミは背も高く、とても見栄えのする人です。品もあって、この役にはぴったりでした。クールさと優しさをもっている個性的な俳優です。
 
 「湾商ドゥクチュの娘ミグム」役のホン・ウニは、当時21歳とは思えぬ落ち着いた演技でした。「星を射る」(2002年MBC)ではイ・ソジンと共に悪役を演じていました。俳優のユ・ジュンサンの奥様です。
 
 「主人公イム・サンオク」役のイ・ジェリョンは身体は大きくないですが、本当の意味での名俳優です。「波」(1999年SBS)では真面目で堅物な貞操を重んじる長男役を演じ、相手役のイ・ヨンエを責めたて、困らせてしまいました。
 「東洋劇場」(2001年KBS)では1930~40年代に活躍した誠実な人気俳優役を、「総合病院」(2008~2009年MBC)でも良心的な医者を演じました。「グッバイソロ」(2006年KBS)のやくざ役や、「悪い女、善い女」(2007年MBC)では浮気者の役も演じましたが、ファン心理としては良い人を演じてほしいです。
 
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韓国時代劇ドラマ 「商道」② (2001~2002年MBC)

 
 
 韓国時代劇を見ると「奴婢(ぬひ)」(奴隷)がよく出て来ます。謀反の疑いや無実の罪でも朝廷が罪を決めれば受け入れるしかなく、奴隷として最低の階層に落ちてしまい、不幸な身の上になってしまいます。「両班(ヤンバン)」(貴族、武士階級)でお嬢様だった娘がキーセンになったり、下女として下働きしたり、かわいそうな境遇になりドラマをみていてもとても気の毒です。
 イムサンオクの一家も濡れ衣をきせられて父は死刑、一家離散、サンオクは死刑をまぬがれて「奴婢」になってしまいます。サンオクは逃亡を何度も図っては失敗しますが、やっと逃亡に成功し、そのとき、一緒に逃げた「奴婢」の元両班の娘チェヨンを旅芸人の友人に託し、自身は寺で身を隠します。
 罪人の疑いが晴れて開放され、父の友人の豪商の一人「湾商」の主ホンドゥクチュを訪ねます。「奴婢」の時、真鍮の器作りの技術を身につけていたので、それが後になって役にたちます。
 サンオクが成功したのは、果敢に立ち向かう勇気と、もって生まれた商才と、通訳を志していたので語学が達者だったこと、苦労を惜しまず働いたこと、真っ当な考えを持った商団の長を師としたことでしょう。商いの本道を極めたことが、単なる富豪ではなく、後々も「商道」として語り継がれる人物になりました。
 ドラマではあまりにも理不尽な事が次々に起きるのです。普通人には考えられない波乱万丈な人生です。それでもサンオクは知恵と勇気と良運で解決していき、それが結果的に成功、莫大な富を築きあげることになります。
 行商も大変です。物を売るために労苦を惜しまず、重い荷物を担ぎ雨風、豪雪の中、村から村へ歩き回ります。、ライバルを蹴落としても儲かればいいというのではなく、良いものを適正な値段で、民が必要としているものを民が買える値段で売り、朝鮮人参の紅参(ホサム)をプレミアをつけてブランド化し、朝鮮の貿易を発展させます。ドラマを観ていてサンオクの商いには感心するばかりでした。
 サンオクの商道の哲学は「利よりも義を重んじる」ことで、「財物は平等な水と同じで、人は正しい秤と同じだ(自分の手の中に入った財物はしばらくはそこに留まっているだけで、流れる水をつかんでも流れていって空になるのと同じ。人も裸になれば皆平等、貴族も乞食も人として考えれば皆同じだ)」
 韓国ドラマ「商道」は人としてどうあるべきか、どう生きていくかを描いています。
 
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韓国時代劇ドラマ 「商道」① (2001年~2002年MBC)

 
 朝鮮王朝の宮廷が舞台ではありませんが、22代目王「正祖(チョンジョ)イサン」(1776~1800年)から23代目王「純祖(スンジョ)」(1800~1834年)、24代目王「憲宗(ホンジョン)」(1834~1849年)、25代目王「哲宗(チョルジョン)」(1849~1863年)の4代に渡る王の時代が、「商道」の主人公「イム・サンオク」が生きた時代です。
 このドラマは朝鮮最高の富豪であるイム・サンオク(1779~1855年)の波乱万丈な一生を描いた物語です。
 身分制度が強固な朝鮮の社会で賤民から奴婢へ、さらには生まれつきの商才で豪商の一員として活躍し、商いの道を追求し卓越した商いのプロフェッショナルとして朝鮮一の富豪になり、朝鮮に利をもたらせた人として賤民出身の商人でありながら、宮廷から「従三品」の地位まで授かります。
 医術を扱った「ホジュン」を演出したイ・ビョンフン監督が、商いを扱い、次から次へ巻き起こる波乱万丈なドラマ作りが面白く、次回が気になって仕方ありませんでした。売り手と買い手のかけひきや、商売を邪魔をするあくどい人間、商権をめっぐての激しい争い、ライバル豪商の娘との切ない恋愛も素敵でした。
 1話目の子供時代から面白く、父に習った中国語を使って小遣いを稼ぐサンオクが印象的で、ドラマにひきこまれてしまいました。
 4大豪商の商権をめぐり、次から次へ災難や命の危機などが訪れ、ハラハラします。
 「純祖」の時代の1811年に起きたホン・ギョンネの乱にも、心ならずも関わってしまいます。もともと貧しい人の味方であるサンオクは、晩年私財をなげうって民のためにつくします。
 朝鮮では遥か古代から大陸との貿易が盛んでしたが、「商道」では重い荷物を背負い極寒にも負けず、長い道のりをかけて中国の燕京(北京)まで商いをするのが、描かれており、ただ一言「昔の人はすごいなあ」と思って見ていました。
 狡猾な中国商人との商いは大変で、ドラマのハイライトシーンかもしれません。
 イビョンフン監督の作品では、「チャングムの誓い」「ホジュン」に隠れて話題になりませんが、韓国ドラマを代表する心に残る名作です。
 
 採点10点満点中8.5点
 
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韓国時代劇「明成皇后」② (KBS 2001~2002 124話)

 

 時代劇ドラマ「明成皇后」はハードなドラマでしたが、女性の側から描かれたドラマでもありとても楽しめた作品でした。

胸を打つセリフがありました。「月の光を飲む」というセリフです。月の光がこんなにも神聖なものなのかと初めて知りました。

 

月光を飲んでいました

月を眺めていると

月が私の目に映り

私が月になります

その時

胸を大きく開いて

月の光を飲むのです

「即位する以前の貧しい両班の娘だった頃のセリフ」

 

月の光を飲んでおります

月を眺めながら

息を深く吸えば

月の精気が体に入り

世俗の埃を

きれいに払ってくれます

すると私の体や心が

鳥の羽のように軽くなり

空に舞い上がっては

逆に月の中に入っていく気分になります

「懐妊を強く望むときのセリフ」

妃に即位したものの王の高宗にはすでに愛人がいて、なかなか来てはもらえない長い夜を孤独に過ごすジャヨンでした。ムン・グニョンが寂しそうな妃をせつなく演じていました。(秋の童話で家族と別れるときの寂しいムン・グニョンのようでした)

王の子を懐妊できないということは、妃の立場が危うくなったり、権力を後妃に明け渡すことでもあります。

ドラマでは22代王イサンの母親が書き記した「閑中録」などを読むシーンがありました。耐え忍ぶ日々を書物が擦り切れるほど読んで過ごし、ある意味その日々は理論が培われた日々でもあったと思います。

成人の明成皇后を演じた主人公イ・ミヨンは寂しい少女時代と違い、凛とした姿勢で激しさを内に秘め、素晴らしい女性を演じました。80話で降板してしまいまいたが、最終回までイ・ミヨンの明成皇后を観ていたかったというのが本音です。

81話以降はチェ・ミョンギルが演じましたがオーラがなく残念でした。普通の皇后という感じでした。

 

 

 

 

 

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韓国時代劇ドラマ「明成皇后」(KBS 2001~2002 124話)

 

19世紀半ばの東アジアのダイナミックな歴史をしっかりと把握できずに124話を一気に観て、ツタヤに返却してしまい残念です。歴史の資料として見ごたえがあり、もう一度じっくりと堪能したいドラマでした。

只今明成皇后の外伝のような時代劇ドラマ「風と雲と雨」(2020年)を視聴中で毎週楽しみにしています。

1392年から続いた朝鮮王朝。明や清の冊封国でもあります。

朝鮮王朝24代国王「憲宗」(1834~1849年)に子供がいないので王族から王を迎えます。25代国王に選ばれた「哲宗」(1849~1864年)も子供たちが夭折していて、26代国王をまた王族から選ぶことになります。

選ばれた26代国王「高宗」(1863~1907)の妃が主人公の明成皇后です

24代国王「憲宗」の時代からすでに権力は李氏国王から離れて安東金氏と豊穣趙氏の権力争いの時代です。王の権威は地に落ちていました。

有能な王族イ・ハウンは金氏の屈辱にも耐えて息子が王位に就いた暁には、権力トップの金氏を追い落とし、皇太后の趙氏権力も弱めてしまいます。

事実上イ・ハウンは息子「高宗」の父「興宣大院君」として権力を手にして、民は貧しく、腐敗政治の朝鮮王朝の立て直しに着手しました。時代は欧米列強が東アジアに派遣し植民地化を狙う怒涛の幕開けでした。

 

国王の妃は先代妃の閥から選ばれます。興宣大院君は趙氏候補を退けて、後ろ盾がない(邪魔な外戚がいない)閔氏のミン・ジャヨンを自ら選び、明成皇后を誕生させてしまいます。

明成皇后も卓越した頭脳と感性の持ち主です。即位した数年間は王が訪れることもなく寂しく過ごしじっと耐えていましたが、息子の誕生で興宣大院君と対峙することになりました。

耐え忍んできた経験は興宣大院君と明成皇后は同じ。鉄の芯を持つ同士ですが国政に関しては守旧派(鎖国派)と改革派(開国派)の大きな違いがあります。

舅と嫁の内戦が、熾烈な戦いが始まっていきます。

ドラマでは、大院君が清によって天津に幽閉、親日的な開化派の甲申政変、袁世凱率いる清軍、ロシアの南下政策、イギリス牽制、親ロ政策、東学党の乱、日清戦争での戦場、日本人の井上馨、伊藤博文も描かれ、

小さな国朝鮮に西欧、ロシア、清、日本が関わり歴史は否応なしに動いてしまうのでした。

 

興宣大院君を演じたユン・ドングンと明成皇后を演じたイ・ミヨンの心理戦は見ごたえがありました。

ウイキペディアとドラマを比較すると明成皇后を「悪女」と「国を守った烈士」大きな違いがありました。

明成皇后を暗殺したのは日本人なので日本人を悪く描いているとの批判もありますが、私は歴史は真実のみあると思っています。

 

 

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韓国時代劇 「イサン 正祖大王」(2007年~2008年MBC)②

 

 

  2011年に観た韓国時代劇ドラマ「イサン 正祖大王」 (2007年~2008年MBC)を全話観返しました。

 観終えて改めて感じたことは、”韓国の民主(民のための政治)運動・進歩主義は朝鮮王朝時代から根深く強固なものだった!”ということです。

 実在の王「正祖」の生涯はウイキペディアにも詳しく載っていますが、ドラマのほうがより具体的でわかりやすかったです。イサン(正祖)は1770年後半~当時朝鮮で最も先進的な考えを持っており、身分制度を改め例えば庶子(正妻の子ではない)や派閥を越えた人材を登用、奴婢制度の廃止、専売商人の権益廃止、教育改革、農業、生産性の拡大などを進めました。徹夜の毎日で体をこわし、急死してしまいましたが、イ・サンの改革は100年後、200年後の人々の歩む道をしさしたのかもしれません。

 2020年になって「イ・サン」を観たのはイ・ビョンフン監督の監修作品「大王の道」(MBC 1998年)を観たからです。イ・サンの父”思悼世子”と、祖父で21代王”英祖”の確執がどのようなものだったのか、父の残酷な死と無念などを知るにはとても参考になった「大王の道」でした。

 ドラマ「イ・サン」では大妃が悪役に描かれていましたが「大王の道」ではそれほど悪人には描かれていませんし、ファワン王女も思悼世子を慕っていました。ずいぶん脚色したのでしょうか。

 巨匠イ・ビョンフン監督のドラマ「イサン」です。臨場感たっぷりにイサンの子供時代から王位につくまで、王位就任後の改革はイバラの道、ワクワクハラハラなドキドキ感は最高でした。爽快で面白いドラマ作りをしたと感心するばかりでした。なかでもお忍び行脚で逸材と出会った数々の場面は夢中になって観ていました。

 ですが中盤から右腕、忠臣、盟友ともいえるのホン・グギョンが変質していき、それをくどくどと何話も描き続けたのは食傷気味でした。それより改革を中心としたドラマ展開にしてほしかった。歴史に禍根を残した大妃を生かしたイサンの寛容さが、”改革派が粛清されてしまうのではないか”と心配しながらドラマを観終わったので、後味が相当悪かったです。マイナス2点

 

 「イサン 正祖大王」(2007年~2008年MBC)

 監督 イ・ビョンフン

 脚本 キム・イヨン

 出演 イ・ソジン ハン・ジミン イ・ジョンス イ・ビョンホン組の俳優陣

 あらすじ イ・サンは10歳の頃に老倫派の陰謀によって父が米櫃の中で餓死させられる直前にソン・ソンヨン、パク・テスらと出会い、身分を超えた友情を結ぶ。世孫に擁立され10年後3人は再会。即位を阻止しようとする陰謀、何度も暗殺未遂事件があり、忠臣やテス、ソンヨンの活躍で危機を脱する。第22代国王の王位につく。朝廷内の派閥争いや当時の朝廷内の機関である図画署(トファソ、主に朝廷内で起きた行事を絵で記録するための部署)も描き、即位後も常に命を狙われつつ、政治の改革に着手する

韓国時代劇「イサン 正祖大王」(2007年~2008年MBC)①の記事↓

https://blog.goo.ne.jp/yakkogacha/e/4f3be61fba75955983d9b2faf0520860

 

 採点

 王位につくまで10点満点中/8点

 

 即位後10点満点中/6点

 

 

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韓国時代劇ドラマ

韓国時代劇ドラマの記事➡https://ameblo.jp/karennda-1/theme-10111054994.html

 

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韓国時代劇 朝鮮王朝 「イサン 正祖大王」(2007年~2008年MBC)

 張嬉嬪(チャン・ヒビン)の子「景宗王」(第20代王 キョンジョン)が在位4年で逝去した後、チャンヒビンの仇敵チェ氏(後の淑嬪)の子が第21代王「英祖」(ヨンジョ)(1724~1776)として即位します。英祖は朝鮮王朝歴代最も長生きし、在位期間も52年と最も長い王でした。

 英祖は母が宮女の下女で卑しい身分であったため、劣等感もあり、賢い王となるよう非常に努力した王でした。政局は小論派(景宗派)と老論派(英祖派)に分かれており、老論派を徴用しましたが常に党派争いはありました。
 英祖の子、「荘献世子」は第2王后「貞純」(ジョンスン)と老論派の陰謀により、謀反の罪で父英祖の怒りを買い、廃世子になり1762年に米びつの中で餓死してしまうという痛ましい出来事があります。
 この時代のドラマには「大王の道」(1998年MBC)があります。
 
 ドラマ「イサン正祖(チョンジョ)大王」は無念の死を遂げた荘献世子の子イサンが、第22代王になりその治世までを描いたドラマです。
 イサンは10歳のときに、祖父の英祖王によって米びつに閉じ込められた餓死寸前の父を助けようと、父の蒔絵を祖父に渡します。しかし祖父は取り合ってくれず、父の最期を迎えることになります。父の死はイサンの生き方にも大きく影響します。
 
 英祖王は孫のイサンを世孫として認めますが、無理難題を押し付けて厳しく接します。その裏にはイサンを王世孫と認めない貞純王后と老論派の画策がまたしてもあり、イサンは一つ一つ無理難題を解決して行きます。今で言う広報にあたる図画署のソンヨンとの愛、固い友情で結ばれたテスの活躍、王族の陰謀、暗殺未遂と王になるまで波乱万丈な半生を送ります。
 
 英祖王の逝去後、イサンは第22代王「正祖王」(チョンジョ)(1776~1800年)となり、晴れて父親の無念を晴らし、地位を回復します。老論派を牽制し、数々の改革、例えば「身分制度が強い朝鮮で優れた庶子を登用する」、「人民の声を直接聞き入れ政策に反映する」など、大幅な政治改革を行いました。
  重臣たちの反抗もあり、朝廷内部ではかなり不満も溜まっており、改革の先方を担うホングギョンとの行き違い、盟友を流刑にするしかない正祖、老論派との権力争いで王になっても心穏やかな日がありません。唯一やさしい王妃と側室のソンヨンがイサンの安らぎでした。遷都の計画もあり、予定地水原に着々と建設していきます。
 歴代王の中で、民衆の声も聞き、優れた政治経済改革をすすめた王「正祖」でしたが、1800年夏に突然倒れてしまい亡くなってしまいます。その原因は重臣による毒殺とも噂されましたが、近年学者の研究により胃の病気でなくなったとの説が有力になりました。
 この時代を背景としたドラマには、図画署と絵師キムホンドとシンユンボクを描いた「風の絵師」(2007年SBS)があります。
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