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「チャングムの誓い」④ 「食医」

「チャングムの誓い」を41話まで観ました。韓国時代劇を観ていると、強くなければ生きていけないのだとつくづく思います。
 チャングムは水刺官時代に師匠のヤン・ミギョンと一緒に、キョン・ミリの悪事をあばこうとして、逆に無実の罪を着せられて謀反の罪でチェジ島に送られ、その道中で母と慕う恩師ヤン・ミギョンを死なせてしまいます。
 悲しみは癒えず、島に流されても復讐する気持ちは収まりませんでした。何度も脱走を試みますが、医女になれば宮中へ戻れるかもしれないと島の医女キム・ヨジンに教えを受け、一生懸命勉強します。
 
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 チャングムは医女試験に合格し、厳しい教授パク・ウンスに認められて見習い医女として、宮中に戻ってきます。仇敵キョン・ミリ、ホン・リナはチャングムの出現にとても驚き、何とか宮中追い出しを画策します。
 先輩医女の誤診に気づき、王妃の一命を救うのですが、妬みの対象になり、先輩医女はキョン・ミリと通じ合い、チャングムはまたしても宮中で大変なことに見舞われるのです。チャングムの追い出しを謀る先輩医女と医局長官。疫病の村で一人取り残されるチャングムをチ・ジニが助け出します。
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「ホジュン」に、宮廷ドラマの「女人天下」や「チャン・ヒビン」を取り混ぜたような展開になってきました。「女人天下」や「チャン・ヒビン」では後宮の医女たちが女官の取り計らいで、体に悪い漢方薬を盛ることがしばしばありました。薬というのは使い方や人の体質によっては、毒にもなってしまうのです。「王の女」「宮廷女官キム尚宮」でも、体に良いものとして王の病状に合わない食事をだし、王が亡くなってしまいます。
 宮中の医女は陰謀の片棒担ぎもして、女官の頼みで流産の漢方薬を処方することもあります。チャングムの親友パク・ウネも体質に合わない滋養食で、危ない目に会いますが、これからどうなるのでしょう。
 37話の「食医」は素晴らしいお話でした。皇太后がチャングムの恩師パク・ウンスの治療を拒否します。病気が悪化し,一刻の猶予もないのに、王との政治的なかけひきで治療を拒んでいます。さらに恩師パク・ウンスを罷免するとのこと。
 その緊迫した状況でチャングムは皇太后とかけひきをします。チャングムは「私の出した問いに皇太后様が答えられなかったら、治療を受けて下さい。答えることが出来たら私の命をさしあげます。ただし答えられても、皇太后様は治療は受けられるでしょう」と。
 
「人を当てる問いでございます。

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  その方は、古くからの食医でございました。
  明国皇帝の食医はその方に由来すると言われています。
  またその方は一家のしもべで、あらゆる辛い仕事をしながらも
  全員の師匠でもありました。
  この方が生きているこの世は山でありましたが、
  亡くなるとこの世は水に沈んだという伝説があります。
  この方とは誰でしょうか」
 答えは”母”でした。皇太后は自分だと悟るのです。そして子である王の気持ちも。 チャングムは王や王妃の前で説明します。イメージ 5
 「その方の主な役目は食医でございますとは、
  母親は子供の食べるもの、着るもの、眠る事、体の調子に気をつかいます。
  食医とは、王様が召し上がってはならない食べ物とは何か、
  逆に何を召し上がるのが王様のお体に良いのか、
  昼夜を問わず、王様の健康を考えるのが仕事です。
  それゆえ明国の皇帝が置いた食医の由来は母なのです。
  ですから皇后様は王様の母君であり、食医でもあられます」
 「その方は一家で一番辛いしもべで、実は全員の師匠だと申し上げたのは、
  母親というのは、子には寒い思いもひもじい思いもさせず、
  自分は辛くとも、子には平穏を与え 
  子供のためならば、たとえどんなに辛い思いをしても必死に働くからです。
  しかし母のこの慈しみがなければ、 
  子は何一つ自分の身に付けることができないのでございます。
  ゆえに、母親は一家の最も辛いしもべであり、 
  誰よりも素晴らしい師匠だと思うのです」
 「生きていればこの世は山ですが、いなくなればこの世は水に沈むというのは」
 チャングムの問いかけに皇太后が答えます。
 「生きている限り、私は王を守る山であるが、イメージ 1
  死ねば王の涙で、この世は海になるであろう。
 母である私が、どうして王が苦しむことを望むであろうか」
 
 チャングムの問いかけと機転で、皇太后は治療を受けるのでした。この問答に感動しました。
 キムヨンヒョン作家の脚本、"母”を表現する詩的な比喩は素晴らしいですね。
 
 
 
 
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「チャングムの誓い」③ イヨンエ出演ドラマ

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 「チャングムの誓い」ではイ・ヨンエの魅力が十二分に発揮されました。聡明で美しく、清く正しい人。韓国の女優では声が一番きれいでやさしい人です。
 「チャングム」を観た後にイヨンエのドラマを10作観たのですが、意外だったのは「チャングム」のイメージと違う役柄が多かったことでした。
 家庭の事情や貧乏などで環境に恵まれなかったり、シニカルで世の中を斜めに見てしまうような、一言でいうと屈折した性格の役が多かったことです。
 「アスファルトの男」1995年(SBS)のイ・ヨンエは不幸の極めつけでした。派手な化粧で米軍クラブに出入りし、未婚の母になり、韓国にいられずアメリカへ渡ります。苦労と貧乏のなかで働きながら娘を育てます。アメリカ人と結婚するも、酒を飲むと人が変わり、暴力を振るう酒乱の男でした。このドラマは他の話しも暗くて重くて、途中でギブアップしました。イメージ 6
 「宮廷女官キム尚宮」1995年(KBS)では朝鮮王朝歴史上3大悪女であるキム尚宮を演じました。「チャングムの誓い」のキョン・ミリ以上の悪役で、光海君のために王を毒殺します。
 イメージ 1「北の駅から」1996年(MBC)では、イ・ジョンウォンと共演しています。女を捨てるイ・ジョンウォンというイメージがありますがいい人の役です。反対にイ・ヨンエは両親の別居で、愛や結婚を信じていない冷めた心の持ち主です。
 「絆」1996年(MBC) イ・ヨンエは孤児院育ちで、ミステリアスで暗い影のある役です。ただ話が重くて暗くて古臭くて、途中でギブアップしました。
 「私が生きる理由」1997年(MBC) ソン・チャンミンと共演で二人とも汚れ役を演じています。家が貧乏、親が病気なので、性格は地味で真面目でお酒が飲めないのに、家族のために場末のバーでホステスをしています。
 「ドクターズ」1997年(MBC) 冷たくて利己的なチャン・ドンゴンを愛していますが、チャン・ドンゴンはイ・ヨンエのことを都合のいいときだけ呼び出して付き合うだイメージ 2けの女としてしか思っていません。愛のないチャン・ドンゴンとは別れるべきだとは思っていますが決心がつきません。「チャングムの誓い」とは正反対の、明るさのない屈託のある役を演じています。
 「波」1999年(SBS) 両親がいなくて、祖母に弟と育てられた貧乏大学生で、イ・ジェリョンと付き合いますが、学費稼ぎのため、クラブでホステスをします。それがイ・ジェリョンにわかってしまい、罵倒され病気になり、お寺にこもってしまいます。コンプレックスがあって晴れ晴れとしませんが、どうにか誤解も解けて結婚し、大家族の一員として、長男の嫁としても認められ、本来の素直なイ・ヨンエになります。
 「インビテーション」1999年(KBS) イ・ヨンエにはイ・チャンフンという恋人がいるのに、結婚に踏み切れません。偶然再開した幼馴染のキム・サンギュンはイ・ヨンエの親友キム・ミンの婚約者でした。キム・サンギュンは婚約者を捨ててイ・ヨンエに迫ります。イ・ヨンエは、キム・サンギュンと親友のキム・ミンとイ・チャンフンの間で、ドロドロの四角関係に悩み苦しみます。
 イメージ 3「火花」2000年(SBS) 心から愛していない婚約者のチャ・インピョがいるのですが、旅先で出会ったイ・ギョンヨンとお互いに婚約者がいながら激しく愛しあいます。結局は愛を感じない金持ちのチャ・インピョと結婚しますが、家柄の違いで夫の両親にこれでもかといじめられ大変なことに。。。脚本のキム・スヒョンンらしい、人はお互いに傷つけあうという厳しいドラマでした。
 
 イメージ 4このように、本来もっているイ・ヨンエの魅力が惹き出されない役柄が続きました。
 「真実のために」1998年(MBC) 「チャングムの誓い」と同じ脚本家キム・ヨンヒョンの作品です。このドラマでやっと「チャングム」に近い、清く明るく前向きなイ・ヨンエを観ることができました。弁護士役のソン・チャンミンと共演です。二人とも正義感が強く、貧しい人や弱い人の力になって、金持ちや権力者と戦います。イ・ヨンエは暖かく思いやりのある人にピッタリなのです。イメージ 5
 イ・ヨンエには「チャングム」や「真実のために」のような、正しくやさしくくじけない、いつでも前向きな人を演じ続けてほしい。屈折した役や暗い役は他の人でもできますが、「チャングムの誓い」はイ・ヨンエでなければ演じられなかった、と強く思うのです。
 
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「チャングムの誓い」②


 「チャングムの誓い」は特にアジアで、それも中華圏で大フィーバーを巻き起こしました。香港ではドラマ視聴率新記録に輝くほどで、イ・ヨンエが香港へ来訪したときには、小学生のファンからお年寄りまで老若男女、10万人近くの人々が空港、沿道、イベント会場に押し寄せました。
 イ・ヨンエの美しさとともに、体のことを考えた食材や料理の手際の良さ、盛りつけた料理のおいしそうな出来栄え、東洋の財産でもある漢方や鍼を使った医術などが共感を呼んだのでしょうか。香港のフィーバーぶりにはびっくりしました。
 脚本のキム・ヨンヒョン作家は料理と医術を同様に結びつけて、技術や知識ではなく、その都度食べる人の身になって作る、患者の痛みに耳を傾けて治療をするということをテーマにしたような気がします。。
 「チャングムの誓い」はためになったり、感動したりでしたが、ドラマとしてもチャングムの波乱万丈な人生が、ハラハラドキドキワクワクと誰が観ても面白いドラマです。
 
 
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 第1話から謎、事件、陰謀があり最初からドラマの世界へ引き込まれてしまいます。時代背景は知らなくても面白いのですが、燕山君や廃妃ユン妃、中宗や文定王妃のことが分かると面白さも倍になります。
 子供時代のチャングム(チョ・ジョンウン)はクリックリッとして一休さんのようでした。知恵があってトンチもある。出された設問にビックリするような答え。野草を使って母を介抱するチャングム。野いちごを母の口に含ませるチャングムの賢さが痛々しくもあるけれど、逞しくて、愛おしい。「野いちご」のことは大人になったチャングム(イ・ヨンエ)の大事なシーンでも出てきます。
 何度も窮地に立たされては、解決し、活躍するチャングム。前半の宮廷調理場水刺間(スラッカン)での20年間の料理修行、料理対決、忙しい調理場の雰囲気が楽しい。陰謀を画策するキョン・ミリ、パク・ジョンス、イ・ヒド、チョ・ギョンファンらの、適材適所の配役も豪華です。チャングムをヤン・ミギョン、ヨ・ウンゲ、チ・ジニ、イム・ヒョンシクが支えます。
 奴婢になり宮廷を追われ、チェジ島での医術の出会いは、賢いチャングムをさらに前進させて、後半は医女としての人生を歩むことになります。キム・ヨジン、メン・サンフン、パク・ウンス、パク・ウネがチャングムの心強い味方です。
 
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韓国ドラマ 「チャングムの誓い」① (2003年 MBC)

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 2005年から2006年までNHKで放送された「チャングムの誓い」は日本中で話題になり、商店の人や近所の主婦が「チャングム」の「つぎはどうなるの?」で、立ち話をするほど人々を夢中にさせた韓国ドラマでした。純粋にイヨンエの男性ファンも多くて、今のようにまだ嫌韓国ではなく、男性も楽しめる韓国ドラマのバラ色の頃だったと思います。
 当時、皆が夢中になった「チャングム」を途中から観るのをやめてしまいました。吹き替えでなく本物の声で観たかったからで、レンタルDVDで観ようと思っているうちに、KNTVやスカパーのソネットで次々に面白いドラマが始まってしまいました。「順風産婦人科」「ニューノンストップ2」「男女6人恋物語」「波」「ずっと会いたい」「君に出会ってから」「幸せは我々の胸に」「恋の予感」「折鶴「守護天使」」などなど、たくさんありました。
 6年経って「チャングムの誓い」を観ています。おいしいものを取っといて良かったと思います。今こんなに面白い韓国ドラマを観られるなんて、なんて幸せなのでしょう。ヘンボケです。
 イヨンエも美しいのですが、脚本、演出が本当に素晴らしい。イビョンフン監督の最高傑作のドラマだと思います。「ホジュン」「商道」と続き、「正しく生きる人の道」を描いた質の高いドラマに感動して観ています。
 
 
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 「ホジュン」は医術、「商道」は商いを扱いました。「チャングムの誓い」は料理と医術を扱っています。最高の料理を堪能させてもらった上に「ホジュン」のような医術まで。しかもそれぞれチャングムの3人の師匠たちが素晴らしいのです。料理の師匠、チェジュ島での医女との出会い、宮中での医術の師匠。厳しい教えを受けながら成長していくチャングムの姿が見どころの一つになっています。
 
 採点10点 (10点満点)
 
 
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