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角田健一ビッグ・バンド「30周年無観衆ライヴat紀尾井ホール」

 

 

 角田健一ビッグ・バンドの3年前コロナ禍でのライブ演奏です。角田健一ビッグ・バンドは1990年代初頭に結成されましたが、私は恥ずかしながらこのライブを聴くまで知りませんでした。たまたまYou Tubeで聴いたのですが、1曲目の”A列車で行こう(Take the A Train)”からスウィング感に溢れた演奏、編曲も素晴らしく、トランペットなどの楽器のソロも秀逸、今まで聴いた日本のビッグ・バンドでは最高だと思いました。

 3曲目の”ムーンライ・トセレナーデ(Moonlight Serenade)”では涙が出てきてしまいました。グレンミラー以外の演奏で感動したのは初めてです。5曲目の”スウィング・エクスプレス(Swing Express)”はバンンドが滅茶苦茶にスウィングするなか、トランペット、サックス、トロンボーンの奏者が2人ずつアドリブ・ソロを交互に取るのですが、相手のソロを聴きながら個性的な演奏するのが素晴らしいです。ピアノ、ドラム、リズム・ギターに徹してのギター・ソロも最高です。6曲目のデューク・エリントンの”昔は良かったね(Things Aint What They Used to  Be)”はラストを飾るにふさわしく、アレンジが最高、ユーモアとゆとりも感じさせる名演です。

 コメント欄をみても日本からだけでなく、英語圏、ロシア、スペイン、メキシコなど世界中のジャズ・ファンからの賛辞が送られています。ロックの時代、しかも日本ではジャズと言えばピアノ・トリオとハード・バップ系のモダン・ジャズだけが評価されている現代ではビッグ・バンドを維持していくだけでも大変だと思いますが、これからも活躍されることを切に願います。

 

00:52 Take the A Train

06:15 How High the Moon

09:22 Moonlight Serenade

12:51 El Cumbanchero

17:45 Swing Express

25:26 Things Ain't What They Used to Be

 

 

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ランバート・ヘンドリックス・アンド・ロス、ワーデル・グレイ「Twisted 」

 

 

 ランバート・ヘンドリックス・アンド・ロス(Lambert Henndricks and Ross)の”トゥイステッド(Twisted)”です。「ランバート・ヘンドリックス・アンド・ロス」は、女性ジャズ・ヴォーカリストのアニー・ロス(Annie Ross)と男性ジャズ・ヴォーカリストのデニス・ランバート(Dave Lambert)、ジョ・ンヘンドリックス(Jon Hendricks)スの3人で1957年に結成されたジャズ・コ-ラス・グループです。このグループはジャズの演奏をコーラスにアレンジし、ミュージシャンのアドリブ・ソロに歌詞を付けて歌うという独特のスタイルを創造しました。

 1957年のファースト・アルバム「Sing a Song of Basie」(ABC-Paramaunt)ではカウント・ベイシー(Count Basie)のスタンダード・ナンバーを歌い、成功を収め 翌年ベイシー楽団との共演アルバム「Sing Along with Basie」をリリースしました。1959年にColumbia レコードに移籍し、アルバム「Hottest New Group in Jazz」をリリース、「Down Beat」のベスト・ジャズ・ヴォーカル・グループ部門で1959年から1963年まで1位に輝きました。

 UPしたのはアルバム「Hottest New Group in Jazz」から”トゥイステッド(Twisted)”です。名テナー・サックス奏者ワーデル・グレイ(Wardel Grey)のアドリブ・ソロに歌詞を付けてアニー・ロスが歌っています。アニー・ロスはクールでスウィングしていて、ワーデル・グレイのソロを見事に歌いこなしています。

 

 

 

 ワーデル・グレイの演奏す”るトゥイステッド(Twisted)”です。1949年の録音で10吋レコードでリリースされました。ピアノがアル・ヘイグ(Al Haig) ベースがトミー・ポッター(Tommy Potter)、ドラムがロイ・ヘインズ(Roy Haynes)という素晴らしいメンバーです。 

 

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レニー・トリスターノ・セクステット「サックス・オフ・カインド」Live at Carnegiehall Concert 1949

 

 

 前回の「Lee Konitz with Warne Marsh」でジャズ・ピアニストのレニー・トリスターノ(1919~78年)について書きました。1940年代にビバップとは違う、クール・ジャズを創造した偉大なジャズ・ピアニストであるにもかかわらず、正規録音されたレコードが少ないために過小評価されています。

 私はレニー・トリスターノ(Lennie Tristano)の録音の中で、レニー・トリスターノ・セクステット(lennie Tristano Sextet))が、1949年カーネギー・ホールのコンサートで演奏した"Sax of A Kind"が、レニー・トリスターノの音楽の真価を最も表していると思います。1949年12月24日にカーネギー・ホール開催されたコンサートは、レニー・トリスターノ・セクステットの他にバッド・パウエル(Budd Powell)とマイルス・デイヴィス(Miles Davis)のグループ、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)、サラ・ヴォーン(Sarah Vaughn)などが出演する豪華な内容でした。

 このコンサートをラジオからエアー・チェックしたLPが1980年代にリリースされました。エアー・チェック録音のため音質は悪いですが、レニー・トリスターノ・セクステットの演奏"Sax Of A Kind"が素晴らしく、何回も聴きました。冒頭のリー・コニッツの閃光のようなアルト・ソロ、トリスターノとビリー・バウアー(Billy Bauer)の緊張感とスウィング感を伴ったスリリングな演奏、特に3分40秒過ぎからのリー・コニッツとウォーンマーシュのソロとアンサンブルには感動しました。日本のフリー・ジャズのギタリストの高柳昌行氏はレニー・トリスターノ信奉者で、クール・ジャズについて「ハード・バップは表面は熱いが、クール・ジャズは表面は冷静だが内面は熱いものを持っている」と語っていました。

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アルバム「リー・コニッツ with ウォーン・マーシュ」より “Topsy” ”There Will Never Be Another You”

 

 

 アルト・サックスのリー・コニッツ(Lee Konitz)とテナ・ーサックスのウォーン・マーシュ(Warne Marsh)は、1940年代後半にレニー・トリスターノ・セクステットに参加しました。レニー・トリスターノ(Lennie Tristano)はクール・ジャズの先駆者であり、ビバップとは別の形式のジャズを創造しました。ただ正規の録音が少なく、1949年のキャピトル録音ではフリー・ジャズの面だけが強調され、1950年代のアトランティックのアルバムではテープの回転を操作して録音するなど、本来の姿、真価が分かりにくなっています。

 1960年代以降は「スウィング・ジャーナル」の編集長だった児山紀芳氏がレニー・トリスターノに直接会い、1952~66年の録音を集めて日本で発売したアルバム「メエルストムの環」だけが正規発売されたアルバムでした。1990年代以降CDの時代なってからは、未発表のライブ・アルバムや録音がリリースされています。

 UPしたのは1950年代にレニー・トリスターノ・セクステットから独立し、ソロ活動していたリー・コニッツとウォーン・マーシュが共演したアルバム「Lee Konitz & Waern Marsh」(1955年)から"Topsy"です。ギターはレニー・トリスターノ・セクステット時代からの盟友ビリー・バウアー(Billy Bauer)、ベースはオスカー・ペティフォード(Oscar Pettiford)、ドラムはケニー・クラーク(Kenny Clarke)という最高のメンバーです。

 

 

 

 アルバム「Lee Konitz & Waern Marsh」かハリー・ウォーレン(Harry Warrenのスタンダー・ドナンバー"There Will Never Be Another You"です。最高のリズム陣をバックにリー・コニッツとウォーン・マーシュが、レニートリスターノ・セクステット時代を彷彿とさせるソロとアンサンブルを聴かせます。

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ケニー・クラーク フランシー・ボラン「プアー・バタフライ」                 KENNY CLARKE FRANCY BOLAND ”POOR BUTTERFLY”

  
 
 
 ケニー・クラークはアメリカのジャズドラマーで、1940年代のスウィングジャズからビバップに発展する際の、モダンドラミングの開祖と言われています。1940年~50年代にはチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィスなど、多くのジャズミュージシャンと共演し、MJQの初代ドラマーでした。1956年には渡欧し、フランスを中心にジャズドラマーとして活躍しました。
 フランシー・ボーランは、ベルギーのジャズピアニスト・作曲家・編曲家で、1950年代に渡米し、カウント・ベイシー、ディジー・ガレスピーらの楽団の楽曲・編曲を手がけます。ヨーロッパに戻り、ケニー・クラークと共にクラーク・ボーラン・ビッグバンドを結成、MPSレーベルを中心に数多くの名アルバムを録音しました。
 UPした画像は、1961年にドイツで録音され、BLUE NOTEからリリースされたアルバム「Golden Eight」から”Poor Butterfly"です。ケニー・クラーク、フランシー・ボランの他、トランペットのダスコ・ゴイコヴィッチ、ベースのジミー・ウッズらの8人編成で、クラーク・ボラン・ビッグバンドの前身と言えます。
 フランシー・ボランの素晴らしい”作曲・編曲”、タイトでクールなアンサンブル、ダスコ・ゴイコヴィッチ、ジョニー・グリフィン、ベニー・ベイリーなどの豪華なメンバーのソロ、クラーク・ボラン・ビッグバンドは1960年代以降に結成された最高のビッグバンドだと思います。 
 
 
 
  
 
 
 アルバム「Golden Eight」からタイトル曲です。最高にクールでヒップなアレンジ、ジョニー・グリフィン、ダスコ・ゴイコヴィッチの素晴らしいソロ、ケニークラークの疾走するドラミング、ブルーノート・レーベルの、ジャズの隠れた名盤です。
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「鈴懸の径 」 鈴木章治とリズム・エース&ピーナッツ・ハッコー/「シャボン玉ホリデー」より鈴木章治、ザ・ピーナツ、安田伸

 
 
   
 灰田勝彦の「鈴懸の径」をJAZZにアレンジした、鈴木章治とリズム・エースの素晴らしい演奏!。
 「鈴懸の径」は、鈴木章治とリズム・エースに、ベニー・グッドマン楽団の一員として来日していたクラリネット奏者のピーナッツ・ハッコーを迎え、1957年の1月にTBSホールで演奏されました。放送されるや多くの人からリクエストが殺到し、レコード化されました。
  20年前にレコードを買って初めて聴いた時、本当に感動しました。1957年の録音なので、スイングするだけでなく、モダンでクールな雰囲気もあって、最高の「鈴懸の径」の演奏だと思います。クラリネットだけでなく、ヴィヴラフォン・ギター・ピアノのソロも素晴らしい。ユニゾンでのクラリネットの間奏もいかしています。
 
 
 
  
 
 
   
 1964年の読売テレビ「シャボン玉ホリデー」から、ザ・ピーナツ、鈴木章治、安田伸の歌と演奏です。
 「しゃぼん玉ホリデー」というと、植木等の”およびでない”などコントのイメージがありますが、歌と演奏がこんなに質が高かったのだなあと驚いています。
 これに比べて、タレントがべらべら喋るだけの今のバラエティー番組の質の低さには目を覆いたくなります。
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スリム・ゲイラード 「スキヤキチャチャ(Sukiyaki Cha Cha」 「ラーフィン・イン・リズム(Laughing in Rythm)」

 
 
  
 スリム・ゲイラード(Slim Gaillard)は、ノヴェルティー・ソング(コミックソング系)のジャズピアニスト、ヴォーカリストです。
  スリム・ゲイラードのアルバム「Slim Gaillard Rides Again」(1959年 Dot)より、”スキヤキチャチャ(Sukiyaki Cha Cha)”です。チャチャのラテンリズムで、インチキ日本語で、”スキヤキ、ヤキ、ヤキ、ヤキイモ”と歌っているだけのナンセンスなコミックソングです。
  
 
 
 
 
 
  笑い声で音楽にしてしまう、スリム・ゲイラードの”ラーフィン・イン・リズム(Laughing in Rythm)”(1951年)です。1938年にSP録音して以来、何回も録音しています。”チキン・イン・リズム””フラット・フルット・ブギー”とならぶ彼の代表作です。
     (Kann Dorao)
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デューク・ジョーダン 「ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト」「ジーズ・フーリシュ・シングス」

 
 
  
 デュークジョーダンはSteeple Chase レーベルとの契約が1980年に終わり、1982年から日本のレコード会社(BayState,,Three Blind Mise)でレコーディングを始めます。1983年からは個人レーベル「Mashumallow」から、1985年まで8枚のアルバムをリリースしました。
 「Mashumallow」で、私の最も好きなアルバムは「Plays Standards vol.1」です。ただこのアルバムは、LPでいうとA面の3曲(「I Should Care」,「Autumn Leaves,」「Cry Me a River」)はそれほどではなくて、B面の3曲の演奏が素晴らしいのです。
特にB②”The Way You Look Tonight」とB③”Theese Folish Tings」が、1980年以降のデューク・ジョーダンの録音の中ではベストではないかと思います。
 
 
 
 
 
 
 「Plays Standards vol.1」から”Theese Folish Tings”です。スタンダード・ナンバーをメロディーを慈しむように、ロマンティックに演奏するデューク・ジョーダンの名演です。   (Kann Dorao)
 
 
 
 
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テディーウィルソン ビリーホリデイ レスターヤング 「君微笑めば」

 
 
 
 スウィング時代の名ピアニスト、テディー・ウィルソンはジュークボックス用に当時のヒット曲を、ホットなスウィングジャズの編曲で録音するという企画を任され、Brunswick Recordsに1935年~39年に130曲以上の録音をしました。商業的な企画でしたが、当時の一流ジャズミュージシャンを集めたために、ひたすらスウィングするジャズの名演が生まれました。
 ジョニー・ホッジス、ベン・ウェブスター、ロイ・エルドリッジ、ハリー・ジェイムス、レスター・ヤング、ビリー・ホリデイ、ライオネル・ハンプトンなどがセッションごとに演奏、ソロを取っています。
 
 特に1930年代後半はビリー・ホリデイとレスター・ヤングの最盛期であり、二人の最高の歌と演奏を聞くことができます。
 
 UPしたのは1938年の録音”君微笑めば(When You're Smilling)"で、メンバーはオールアメリカンリズムと呼ばれたカウント・ベイシー楽団のフレディー・グリーン(G),ウォルター・ペイジ(B),ジョー・ジョーンズ(Ds)と、バック・クレイトン(Tp)、ベニー・モートン(Tb)、レスター・ヤング(Ts)、ビリー・ホリデイVo)です。
 
 ビリー・ホリデイの歌、テディーウィルソンのソロ、そしてレスター・ヤングのテナーサックスのソロが素晴らしい。僅か30秒のレスター・ヤングのソロに、ジャズのアドリブのエッセンスが凝縮されています。   (Kann Dorao)
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レイ・ブライアント ”ゴールデン・イヤリング””ブルースチェンジズ” Ray Bryant "Golden Earrinngs" "Blues Changes"

 
 
  レイ・ブライアント(1931~2011)はアメリカのジャズ・ピアニストです。1956年に初リーダーアルバムをEPICから、翌年にPrestigeから、『Ray Bryant Trio』をリリースしました。ベースはIke Isaack、ドラムはSpecks Wrightです。
 当時トリオで、女性ジャズ歌手カーメンマックレーの伴奏をしていたので、息の合った名演になっています。ベースとドラムがリズムに徹して快適にスウィングし、レイ・ブライアントのピアノがリリカルにアドリブを紡いでいきます。
 
 1950~60年代のアルバム「Little Susie 」「Con Alma」「Alone with Blues」「Slow Freight」から、1970~80年代にPablo・EmArcyに録音された演奏まで聴きましたが、レイブライアントのアルバムは、『Ray Bryant Trio』(Prestige 1957年)がベストだと思います。
 UPしたのは"Golden Earrings"で、ヴィクター・ヤングの曲です。メロディーの美しさをひきだした、レイ・ブライアントのソロが素晴らしいです。
 
 
 
 
 
 
 レイ・ブライアントのオリジナルで”Blues Changes"です。流麗なピアノソロが心地よい、オリジナルとは思えないほどイイ曲です。   (Kann Dorao)
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